全国の河川や港湾部に生息し、落とし込み釣り、ダンゴ釣り、投げ釣り、イカダ釣りなど、昔からさまざまなエサ釣りで人気の対象魚となってきたクロダイ。人の身近にいる一方、警戒心が強く釣るのが難しい魚ともされてきたが、近年、コツを掴めばルアーでも効率よくねらえることがわかってきた。現在では「チニング(ルアーでねらうクロダイ釣り)」として専用のロッドやルアーも登場しており、ルアーフィッシングの人気ジャンルの1つになっている。
チニングでよく釣れるのは、クロダイやキビレ。クロダイは西日本でチヌと呼ばれ、「チニング」の名称の元になっている。キビレの標準和名はキチヌでクロダイの近縁種にあたる。
クロダイはその名の通り全体に黒っぽい魚体をしている。キビレは全体に白味を帯びた銀色で、黄色い尾ビレと尻ビレを持っており、どちらもアベレージサイズは30〜40cm。そのうえで、クロダイは50cm、キビレは45cmを超すと大物とされる。
両種とも海もしくは海の影響を受ける汽水域に生息しており、クロダイはゴロタ、牡蠣殻、消波ブロック、壁際など、障害物の多い環境を好む。キビレは砂泥質のエリアなど、それよりも開けた場所を好む傾向がある。
食性はどちらも雑食で、貝類、甲殻類、小魚、ゴカイ、海藻類など、食べられるものならなんでも口にするが、人の気配などに対する警戒心は強い。ルアーでねらえるシーズンは主に春から秋の暖かい時期。水温が下がる冬は一般的にはオフシーズンとなる。