SCENE :
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世界にひとつだけの毛バリ

世界にひとつだけの毛バリ

岩場を踏み越え中級コースへ

後半は、釣り場の上流へ足をのばして新たなポイントにチャレンジ。木の橋を渡ると川幅が狭まり、左右の岸から大きな岩が迫ってきます
後半は、釣り場の上流へ足をのばして新たなポイントにチャレンジ。木の橋を渡ると川幅が狭まり、左右の岸から大きな岩が迫ってきます
「僕が教えることは、もう何にもなくなっちゃったなぁ」
吉田先生はそんなことを言ってますが、私たちはもっともっとテンカラのことを知りたい! というわけで、後半は釣り場の上流へ向かうことにしました。「TOKYOトラウトカントリー」の範囲は、クラブハウスから上下に約750m。川の周囲はボルダリング(=岩登り)のコースにもなっているんだとか。「本当にこんな場所を登るの!?」と驚くような巨岩がひしめき合っていますが、ボルダリングの人たちは「こんな所に魚がいるの!?」って思ってるかもしれません。
岩のあいだに渡された木の橋を渡って、階段状に続く川を100mほど遡ったところで再びサオを出すことにしました。
毛バリがあっというまに流されちゃいます……」
とマリコちゃん。目の前には流れの速い瀬が広がっているので、さきほどの淵とはまったく勝手が違います。
後半は、釣り場の上流へ足をのばして新たなポイントにチャレンジ。木の橋を渡ると川幅が狭まり、左右の岸から大きな岩が迫ってきます
さっきのポイントより流れが速い! 上流に振り込んで下流へ流す、という基本動作を教えてもらいました。でもちょっと難しい……
さっきのポイントより流れが速い! 上流に振り込んで下流へ流す、という基本動作を教えてもらいました。でもちょっと難しい……
「まず自分の立ち位置から、上流へ45度くらいの角度で振り込んでください。毛バリが流されるのに合わせてサオを送って、下流側の斜め45度くらいまで流しましょう」

魚は上流を向いて泳ぎながらエサを待っているので、まずは毛バリを自然に流してやるのがポイントなんだそうです。下流へ流しきったあとも、すぐにピックアップするのではなく、サオを上流へスーッと引いて、毛バリを水中で泳がせるようにします。つまり「上流へ振り込む」→「下流へ流す」→「上流へ戻す」→「ピックアップ」という一連の動作を繰り返すわけです。ちょっと難しくなってきた~!
「あの大岩の陰に、キラっと魚影が見えましたよ」
先生の指差すポイントへ何度もアプローチしたんですが、残念ながらアタリはありませんでした。気づいた時にはもう夕暮れ。そろそろ帰らなきゃ。 テンカラは動作がシンプルで、リールをいじったりエサをつけたりする必要がないから、釣りにすごく集中できるんですよね。入門は簡単だけど奥が深い。テンカラ、クセになっちゃいそうです。

すっかり暗くなってしまいましたが、狭い夜道も視界の広いライフDIVAなら安心。朝から晩までたっぷり遊んで、釣りも食事も景色も満喫。こんな場所が東京都内にあったなんて……もっと早く知りたかった! バーベキューもできるので、暖かい時期に大勢で来るのも楽しそうです。
最後にちょこっとルアーも投げてきました。自作のネイルスプーンでサクっとヒット。ひょっとして私、上手くなってる?
最後にちょこっとルアーも投げてきました。自作のネイルスプーンでサクっとヒット。ひょっとして私、上手くなってる?
毛バリを凝視する集中力、そしていつでもアワセに入れる前傾姿勢。マリコちゃん、かなりプロっぽい!
毛バリを凝視する集中力、そしていつでもアワセに入れる前傾姿勢。マリコちゃん、かなりプロっぽい!
To be continued...

番外編:毛バリのタイイング教室

テンカラやフライは、自分で毛バリを作るのも大きな魅力のひとつ。吉田さんはその昔、2年間も釣りをせずに毛バリだけを巻き続けたこともあったとか。私たちも毛バリの手作りに挑戦してみました。
「自分の好きな色を選んでいいですよ」
と言われて、私が選んだのは白のハックル(ミノ毛)にグリーン系のボディー。使った時の見やすさと、虫っぽさを両立させたカラーコーディネイトのつもりです。
するとマリコちゃんは、
「私は、ピンクと白とブルーのボディーで!」
……こういうのって、性格がストレートに出るよね。クルマを選ぶ時も、私はベーシックな色に目が行きがちだけど、マリコちゃんは気に入ったカラーを迷わず選ぶタイプ、じゃないかな?
完成した毛バリを見ると、精巧な美術品のようで難しそうですが、専用の道具さえ揃えれば誰にでも作れます。吉田さんはタイイング教室もやっているので、まずはそこで教わるのもオススメ。詳しくは「吉田毛鉤」のウェブサイトをどうぞ。

まもなく渓流も解禁シーズン。今年は自然の釣り場に出かけて、自分の作った毛バリで釣ってみたいなぁ。
動画で解説!
毛バリの手作りに挑戦(1分32秒)
毛バリの手作りに挑戦(1分32秒)
※撮影:浦壮一郎/文:水藤友基
※このコンテンツは、2011年2月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。