真野 秋綱 氏
月刊『FlyFisher』編集長
真野 秋綱 氏
1975年生まれ。2014年より『FlyFisher』編集長を務める。その前には月刊『つり人』編集部で、沖釣りから渓流釣りまでを楽しんでいた。現在は別冊つり人『渓流』も担当。

気軽に遊べて夢中になれる!

身近な川にも泳いでいるコイは、フライフィッシングでねらうと意外に夢中になってしまうターゲット。
オフシーズンに楽しんでいる人も多く、コイ専用パターンを巻いて挑んでいる人も少なくありません。 今回は、東京都を横断するように流れる都市河川、多摩川での釣りを紹介したいと思います。

コイを釣るには、まずは魚影を見つけること。最も姿を見つけやすいのは、流れの緩やかなプールのようなポイント。定位していたり、フラフラとスクールを作って回遊していたりと、その行動パターンはさまざまです。
多摩川は、フライでコイをねらいやすい釣り場です。魚の数が多く、ポイントは中、下流域全域といえます。また数多くある支流でも釣りが可能で、浅川などは人気が高いようです。
同じ場所に泳いでいる魚でも魚体の色や体型はさまざま
同じ場所に泳いでいる魚でも魚体の色や体型はさまざま
関戸橋周辺で合流する多摩川の支流。浅くて、フラットなプールがサイトフィッシングには適しています
関戸橋周辺で合流する多摩川の支流。浅くて、フラットなプールがサイトフィッシングには適しています

パンフライに出るとドキドキ……

パンフライをがっちりくわえた野ゴイ
パンフライをがっちりくわえた野ゴイ
サイトフィッシングでねらいやすいのは、もちろん浅場。あまり動かずに底付近に定位している魚には、上流側からフライを送り込んでいくようにアプローチするのが効果的です。ホワイトやオレンジ、イエローのヤーンをある程度ボリュームを持たせて巻いた、ファジーなシルエットのパターンがおすすめです。
ちなみにこういったスタイルでねらう場合は、フライの位置を確かめながら魚に送り込んでいくので、水中でも視認性のよいカラーが扱いやすいでしょう。
一方、水面付近をフラフラと泳いでいる魚には、ドライフライも効果的です。まずはパンフライを送り込んで魚の反応をみましょう。
水面のフライになかなか反応を示さない場合には、小さくちぎった食パンでチャミングを行ない、魚が水面のエサに興味を示すか確認してみるのも手です。パンを撒く際は魚に向かって投げるのではなく、上流から流れに乗せてポイントまで到達させてやるほうが、警戒心を抱かれずに済みます。魚が上ずって水面のパンを吸い込みはじめたら、フライを流すタイミングです。
ちなみに、タックルは#6~7ロッド、ラインはフローティングのみで充分対応できるので、湖や本流釣りのタックルをそのまま流用して楽しめます。
チャミングの食パンに興味を示しているコイ。こんな状況ではドライフライを投げたいところですが、時にはフライの直下でUターンするツワモノも多く、身近なフィールドだからといって侮れない難しさがあります
チャミングの食パンに興味を示しているコイ。こんな状況ではドライフライを投げたいところですが、時にはフライの直下でUターンするツワモノも多く、身近なフィールドだからといって侮れない難しさがあります

アプローチは極力静かに

身近な川で、比較的簡単にその姿を見つけられるコイですが、意外に警戒心の強い魚なので、ねらう際には静かなアプローチが必要です。不用意に魚に近づくのはもちろんNGですが、フライラインの着水音などにも気を遣いたいところです。
ウエイトを入れたフライを送り込む際にも、ある程度魚から離れた上流に落としてから、口もとにフライを転がしていくような感覚でねらいます。
多摩川のサイトフィッシングでねらえるのは50~60cmの魚が多く、フッキング後はその体重を乗せるような重いファイトでロッドを曲げてくれます。ちょっと空いた時間や遠出するのが億劫な時こそ、よい遊び相手になってくれる身近な存在といえるコイ。全国的なシーズン開幕まで間もなくですが、こんなターゲットもおすすめです。
こんな魚を見つけたらチャンス。上流からフライを口もとに送り込めば、興味を示してくわえてくれるかも。活性が高い時には、フライを追いかけてくることもあります
こんな魚を見つけたらチャンス。上流からフライを口もとに送り込めば、興味を示してくわえてくれるかも。活性が高い時には、フライを追いかけてくることもあります
重い走りが特徴的なコイのファイト。ランディングでは浅場に誘導して、フライを外すのがよいでしょう
重い走りが特徴的なコイのファイト。ランディングでは浅場に誘導して、フライを外すのがよいでしょう
今回ご紹介したエリア
東京都/多摩川水系のコイ釣りMAP
アクセス
中央自動車道・国立府中ICを降りてR20を府中市方面へ。本宿交番前の交差点で右折し、道なりに進むと、関戸橋に差しかかる。その上下流にはフライフィッシングでもねらいやすいポイントが広がる。支流の浅川なども好ポイント。
お問い合わせ
多摩川漁協
TEL 042-361-3542
日釣券1000円
※このコンテンツは2015年2月の情報をもとに作成しております。