天野 三三雄 氏
月刊『Basser』編集長
天野 三三雄 氏
大学在学中に季刊『Basser』の編集アルバイトとして参加。 その後、スポーツ紙釣り欄担当を経てつり人社入社。月刊『つり人』副編集長を経て、2009年より月刊『Basser』編集長を務める。『アオリイカ地獄』、『ロックフィッシュ地獄』、『シーバス地獄』などソルト系ムックの編集長も兼務。釣りはルアー全般のほかハゼ、カワハギ、カレイなど江戸前の釣りを好む。

航程3分、着いたその場が一級スポット

総延長322km、日本最大級の大河である利根川。千葉県と茨城県の県境を流れる最河口部の右岸、千葉県側には漁業基地として知られる銚子港がある。この港を川の流れから守る導流堤として造られたのが全長約2kmの一ノ島堤防であり、その沖には海の高波から銚子港をブロックする地続きの夫婦ヶ鼻堤防がある。
このふたつの巨大堤防の内、渡船を利用して釣りが楽しめるのは一ノ島堤防だ。堤防の沖面はモロに利根川河口部に面し、淡水と海水が混ざり合う汽水域のため多彩な魚がねらえる。汽水域という条件からも想像がつくように、もっとも人気のルアーターゲットはシーバスであり、エサならクロダイ。これが両横綱だ。
太平洋に面した最下流の灯台側から一ノ島堤防全体を俯瞰。写真右側は利根川に面した汽水で奥側に見える小島状の磯周りが船着場付近でシーバスの実績が高い。手前のゴロタや枝分かれする堤防のテトラ側もねらいめ
太平洋に面した最下流の灯台側から一ノ島堤防全体を俯瞰。写真右側は利根川に面した汽水で奥側に見える小島状の磯周りが船着場付近でシーバスの実績が高い。手前のゴロタや枝分かれする堤防のテトラ側もねらいめ
シーバスは良型中心で大型も夢ではない。ここ一ノ島堤防のシーバスは群れで行動することが多いため、1尾釣れると連発することが多い。しかも日中のドピーカンでもカタクチイワシの接岸次第でトップで炸裂するからプラグ各種を持参のこと
シーバスは良型中心で大型も夢ではない。ここ一ノ島堤防のシーバスは群れで行動することが多いため、1尾釣れると連発することが多い。しかも日中のドピーカンでもカタクチイワシの接岸次第でトップで炸裂するからプラグ各種を持参のこと
とくにシーバスは、カタクチイワシの接岸さえあれば、日中でも大型が連発する。それも平均して70cmオーバー。80cmクラスはザラという関東でも有数のシーバス釣り場である。
渡船を利用といっても航程わずか3分と実にお手軽だ。しかも2kmもの堤防はどこも有望ではあるが、渡船が着く堤防中央あたりがもっとも高実績のため、ほとんど移動せずにここで粘る釣り人も多い。
水深は足もとで1~2mほど。沖に行くほどなだらかに深くなる。ミノーなどの遠投でねらえる範囲なら水深5mほどだが、そこからカケアガリの先は水深8m以上の深い砂地になっている。スピンテールジグなど遠投が効いて、なおかつボトム付近まで沈めやすいルアーでねらうとよい。
船着場付近はちょうど堤防のカーブになっていて利根川の流れと沖からの海水がぶつかり合い、潮目ができやすい。つまりベイトが溜まりやすくシーバスも集まりやすいという。セイゴクラスが釣れることは少なく、逆にスズキサイズが多いから、ミノーは11~14cmクラスのシンキングタイプが中心。これで表層付近をサーチし、遠投や沈ませる必要があるときには20g前後のバイブレーション、スピンテールジグの出番。

もちろん、釣り場は船着場付近だけではなく、その上流にも下流にも、また枝分かれする各堤防でも釣れるから、潮の流れが悪いときには大きく移動してみたい。
一ノ島堤防と銚子港の岸壁は目と鼻の先。航程3分ほどなので実に手軽だが、やはりオカッパリとは比較にならないほど釣果に期待ができる
一ノ島堤防と銚子港の岸壁は目と鼻の先。航程3分ほどなので実に手軽だが、やはりオカッパリとは比較にならないほど釣果に期待ができる
船着場周辺。堤防が緩やかにカーブしており、ちょうど利根川の流れがぶつかるため、潮目ができやすくベイトフィッシュが溜まりやすい。シーバスの群れが寄ればナブラが立つことも多いから興奮するだろう。足場が高いのでロッドは9ft以上が扱いやすく、玉網も5m以上のものが必要
船着場周辺。堤防が緩やかにカーブしており、ちょうど利根川の流れがぶつかるため、潮目ができやすくベイトフィッシュが溜まりやすい。シーバスの群れが寄ればナブラが立つことも多いから興奮するだろう。足場が高いのでロッドは9ft以上が扱いやすく、玉網も5m以上のものが必要

シーバスの回遊がなさそうでもヒラメなら…

スピンテールジグでボトム付近を探っているとよくヒットするのがヒラメだ。ここ銚子周辺は沖釣りのヒラメ釣りが盛んで、稚魚放流も多いことから、幼魚と成魚、放流と天然を問わずヒラメが多い。やはりカタクチイワシが接岸しているときに岸寄りに多く集まる傾向があるが、沖の砂地にはシロギスも多いことから必ずしもカタクチイワシがいないと釣りにならないということではない。
むしろ、大型シーバスをねらって意気揚々と沖堤に渡ったもののカタクチイワシもシーバスも回遊していない状況に陥ったときこそヒラメねらいに切り替えてみればよい。
広範囲をスピーディに探れるのはスピンテールジグ。遠投して、ボトムまで落としたら浮きあがらないように注意しながら巻いてくるだけなので簡単だ。15~30gを用意するといいだろう。同時にシーバスや青ものまでねらえるマルチなルアーだ
広範囲をスピーディに探れるのはスピンテールジグ。遠投して、ボトムまで落としたら浮きあがらないように注意しながら巻いてくるだけなので簡単だ。15~30gを用意するといいだろう。同時にシーバスや青ものまでねらえるマルチなルアーだ
ヒラメねらいの定番、シャッドテールワームのジグヘッドリグ。ワームは5in前後でシャッドテールのほかカーリーテールやピンテールも効く。ジグヘッドは10~20gを用意すればOK
ヒラメねらいの定番、シャッドテールワームのジグヘッドリグ。ワームは5in前後でシャッドテールのほかカーリーテールやピンテールも効く。ジグヘッドは10~20gを用意すればOK
ボトムから大きく離れていなければシンキングミノーでもよいが、堤防の足場も高いことからこうしたルアーは浮きあがりやすい。やはりボトム付近を探りやすいのはソフトベイトをセットしたジグヘッドリグキャロライナリグテキサスリグである。
シャッドテールやピンテールなど小魚を模した4~6inのワームを使うが、フッキングを重視するならフックが剥き出しになっているジグヘッドが一番だ。しかし根掛かりや藻の絡みが多いならオフセットフックを使ってフックポイントをワーム内に埋め込んだキャロライナリグやテキサスリグを使う。このほか広範囲をスピーディに探るならスピンテールジグが便利。ブレードのフラッシング効果で目立ちやすく、ヒラメとシーバスの両方を同時にねらうこともできる。
ちなみに、夏のヒラメは猫マタギなどとも呼ばれるが、きちんと血抜きをしたうえでムニエルなどで食せばとても美味しい。
また、銚子周辺は地球が丸く見えることで有名な犬吠埼灯台や名物のイワシ料理がいただける小料理屋さん、そして市場巡りなど見どころもたくさん。おすすめは朝イチの渡船で沖堤防に渡り、午後には下船して周辺をドライブ。日帰り入浴施設などで汗を流して帰るとよい。これからの夏場は大きめのクーラーボックスに多めのドリンク、氷を詰め込んでいくことも忘れずに。
カタクチイワシが寄らずシーバスの気配もないことからヒラメねらいに転じたところジグヘッドリグにヒットしたヒラメ
カタクチイワシが寄らずシーバスの気配もないことからヒラメねらいに転じたところジグヘッドリグにヒットしたヒラメ
バイトはあるものの食い込みが浅かったため、ヘッドの重みをなくすためにキャロライナリグに変更してキャッチしたヒラメ
バイトはあるものの食い込みが浅かったため、ヘッドの重みをなくすためにキャロライナリグに変更してキャッチしたヒラメ
今回ご紹介したエリア
千葉県/銚子・一ノ島堤防のヒラメ&シーバスMAP
アクセス
東関東自動車道・佐原香取ICから国道356号を小見川・利根川方面に約35km
お問い合わせ
渡船は銚子市川口の「田中釣具店とね丸」(TEL 0479-24-1238)を利用して一ノ島堤防へ。
渡船料金は1人1500円で朝6時から15時まで
※このコンテンツは2014年6月の情報をもとに作成しております。