八木 健介 氏
月刊『FlyFisher』編集長
八木 健介 氏
編集アルバイトとして2001年から月刊『FlyFisher』の製作に参加。
その後、副編集長を経て2010年10月から編集長を務める。休日の釣りは専らフライフィッシング。近所のコイ釣りから、渓流のヤマメ・イワナ釣り、本流のニジマス釣りと、フィールドに合わせた旬の対象魚を追う。

家族連れでも個人でも楽しい

長野県の佐久穂町にある「八千穂レイク管理釣り場」は、標高1500mの八千穂高原にある、人造湖を利用したルアーフィッシングおよびフライフィッシングの専用フィールド。周囲にはキャンプ場もあり、シラカバなどの自然林に囲まれた避暑地エリアが広がっていて、浅間山・秩父山系の山並みが見える絶好のロケーションの中で釣りが楽しめる。
八千穂レイクは釣れるニジマスのコンディションがよい。数が多いのは40~50cmクラスだが、60cmオーバーもしばしば釣られている
八千穂レイクは釣れるニジマスのコンディションがよい。数が多いのは40~50cmクラスだが、60cmオーバーもしばしば釣られている
釣り場がオープンするのは、周囲が雪に閉ざされる期間をのぞく春から秋まで。2013年は4月19日にオープンしており、11月4日まで営業予定。敷地内には簡単な食事もできる清潔な受付・管理棟があり、湖面面積約3万7000m2の中にニジマスブラウントラウトイワナといったマスの仲間が多数放流されている。なかでもニジマスは、40~50cmクラスの型のよいものが多数放流されていて、周囲の景観と並びこの釣り場の人気を高めている。
「釣りっ子ランド」は気軽にエサ釣りが楽しめる浅めの池。管理棟と八千穂レイクの間にある
「釣りっ子ランド」は気軽にエサ釣りが楽しめる浅めの池。管理棟と八千穂レイクの間にある
また、管理棟と湖の間にある「釣りっ子ランド」は、ニジマスを放流したエサ釣り専用の池。こちらは魚の姿を見ながら手軽にエサ釣りが体験でき、エサとサオを含んだタックル一式が1回1500円で借りられる。夏休みのこの時期、子連れのファミリーフィッシングにもぴったりだ。

選べる岸からの釣りとフローターの釣り

八千穂レイクには全部で9ヵ所の桟橋が設置されており、岸からの釣りは、この桟橋から楽しむのがルールとなっている。桟橋は足場がよく、足もとは普通のスポーツシューズでもまったく問題ない。

一方、これからの夏のシーズンに八千穂レイクを訪れるなら、ぜひチャレンジしてみたいのが「フローター」を使った釣り。いわゆる釣り専用の浮き輪を利用して水面に漕ぎ出すもので、八千穂レイクではボートを利用することはできないが、このフローターに限っては湖面に出ての釣りが可能になっている。
八千穂レイクの全景。岸から釣る場合は手前に写っている桟橋を利用する。フローターは全域にアクセスが可能だ
八千穂レイクの全景。岸から釣る場合は手前に写っている桟橋を利用する。フローターは全域にアクセスが可能だ
フローターのレンタルは「フローター本体、フィン(足ヒレ)、フローティングベスト、ホイッスル」がセットになって1000円。フィンはウエーダーにウエーディングシューズを履いた上から着用する
フローターのレンタルは「フローター本体、フィン(足ヒレ)、フローティングベスト、ホイッスル」がセットになって1000円。フィンはウエーダーにウエーディングシューズを履いた上から着用する
フローターの釣りをする場合は、まずウエーダーを着用する必要がある。あとはその状態で足ヒレ(フィン)を装着し、安全のためのフローティングベストやホイッスルを身に付けるが、八千穂レイクではこれらフローターの釣りに必要になる道具の一切(ロッドやリールをのぞく)を1000円のお手頃価格でレンタルすることができる。もちろん、慣れないうちは余り遠くまで漕ぎ出ないほうがよいが、まったくの自然湖に比べると湖面の波立ちなども少なく、「一度はフローターの釣りもやってみたい」という人には初挑戦の場所としても最適だ。

フローティングラインでのドライフライ・フィッシングがおすすめ

フローターでの釣りの場合、タックルは8~9フィートの6番ロッドにフローティングラインの組み合わせがまずはおすすめ。リーダーはナイロンの12フィート5X程度がよいだろう。フライの交換が続いてリーダーの先端が短くなってきたら、適宜5Xのティペットを継ぎたす。フライはドライフライを浮かべるほか、ソフトハックルを水面下でリトリーブしたり、あるいは小さめのフローティングニンフを浮かべてねらってみるとよい。いずれにしても周囲は草の茂っている土手や湖畔の林が水面までせり出しているところが多くあるので、そこから湖面に落下する陸生昆虫を意識して、#10~18サイズのパラシュートフライやエルクヘア・カディスといったフライをメインに用意しておく。岸際を移動しながら一定間隔でドライフライを浮かべて、ライズがあればその近辺にフライを浮かべてみよう。
フローターは管理棟から一番近い専用の桟橋で脱着する。初めてトライする場合は、あらかじめスタッフに声を掛けて教えてもらえばスムーズだ
フローターは管理棟から一番近い専用の桟橋で脱着する。初めてトライする場合は、あらかじめスタッフに声を掛けて教えてもらえばスムーズだ
釣りをしている最中にフローターから滑り落ちないように、股の間のベルトは必ず留め、ホイッスルは万一落水した際に、スムーズに助けを呼ぶために使用する(フローティングベストにあらかじめ取り付けられている)
釣りをしている最中にフローターから滑り落ちないように、股の間のベルトは必ず留め、ホイッスルは万一落水した際に、スムーズに助けを呼ぶために使用する(フローティングベストにあらかじめ取り付けられている)
桟橋からの釣りの場合は、フローターで使用するのと同じタックルを使ってドライフライでねらうほか、リーダーの途中にインジケーター(マーカー)を取りつけて、その先にエッグフライやオクトバス・ボムなどのいわゆる管理釣り場用のフライを結び、水中にフライを漂わせておく釣りも反応が得やすい。その際、フライをインジケーターから離す距離は1mくらいから始めて、反応がなければ徐々に長くしてようすをみてみるとよいだろう。

八千穂レイクでは、釣れた魚は基本的にキャッチ&リリースすることになっており、フライもバーブレスフックを使用する必要がある。ただし、魚を持ち帰りたい場合は、管理者にその旨報告すれば一尾まではOKだ。
足にフィンを付けたら地上でも水面でも進行方向は後ろ向きになる。身体が左右に大きく揺れるのは効率が悪い漕ぎ方なので、水中の足はおもに膝から先を静かに使う意識で少しずつ進むようにしてみよう
足にフィンを付けたら地上でも水面でも進行方向は後ろ向きになる。身体が左右に大きく揺れるのは効率が悪い漕ぎ方なので、水中の足はおもに膝から先を静かに使う意識で少しずつ進むようにしてみよう
一年のうちでも高原の釣りが最も気持ちよくなるこの季節。ファミリーでの周辺観光のルートに組み入れるもよし、フローターを使った本格的なフライフィッシングに出かけるもよし。周囲の美しい自然を眺めながら、ゆっくりと楽しい時間を過ごしていただきたい。
今回ご紹介したエリア
長野県/八千穂レイクのニジマスMAP
アクセス
上信越道佐久ICから45分。中央道須玉ICからは85分。R141を佐久穂町内の「清水町」交差点でメルヘン街道(県道299号)へ入ると、八千穂高原内に釣り場への入口がある。
お問い合わせ
大人の1日券は3500円で半日券は2700円。そのほか遊漁規則やレンタルタックルなどの料金の詳細は公式ウェブサイトに掲載されている。
https://yachiho-kogen.jp/article/reiku/
※このコンテンツは2013年8月の情報をもとに作成しております。