天野 三三雄 氏
月刊『Basser』編集長
天野 三三雄 氏
大学在学中に季刊『Basser』の編集アルバイトとして参加。 その後、スポーツ紙釣り欄担当を経てつり人社入社。月刊『つり人』副編集長を経て、2009年より月刊『Basser』編集長を務める。『アオリイカ地獄』、『ロックフィッシュ地獄』、『シーバス地獄』などソルト系ムックの編集長も兼務。釣りはルアー全般のほかハゼ、カワハギ、カレイなど江戸前の釣りを好む。

都内から至近の釣り場がさらに至近に!

房総半島中央部を南北に貫通して東京湾へ注ぐ養老川。その養老川を高滝ダムで堰き止めて完成したのが高滝湖である。平成2年に完成した比較的新しい釣り場であるが、すでに関東でも一、二をあらそうほど人気のブラックバス釣り場としてにぎわい、また、冬期にはワカサギ釣りでも大勢のファンが集う。
今回、この高滝湖をオススメする理由はふたつある。ひとつは首都圏からのアクセスのよさだ。市原市にあるため、もともとアクアライン経由でも、京葉道から館山道経由でもそう遠くはなかったものの、最寄りと呼べるほど至近なインターチェンジはなかった。ところがこの春のゴールデンウイークの直前に圏央道が開通。アクアラインを渡り、木更津JCTを過ぎ、それまでは木更津東IC止まりだった圏央道が東金JCTまでつながったのである。木更津東ICの次の市原鶴舞ICを出て県道168号線を約2km西に進めば、高滝湖の中心部でボート店や遊漁券売り場のある加茂橋のたもとへ出る。都内から1時間以内で釣り場に到着することができるようになったのである。
圏央道・市原鶴舞ICから10分ほどのところにある「高滝湖観光企業組合」(TEL 0436-98-1277)。ここで日釣券を購入する。貸しボート、貸し自転車もある
圏央道・市原鶴舞ICから10分ほどのところにある「高滝湖観光企業組合」(TEL 0436-98-1277)。ここで日釣券を購入する。貸しボート、貸し自転車もある
ダウンショットリグでキャッチしたナイスサイズ。ここ高滝湖は平均してバスのサイズがよいことも人気の理由だ
ダウンショットリグでキャッチしたナイスサイズ。ここ高滝湖は平均してバスのサイズがよいことも人気の理由だ
そして、もうひとつの理由は釣りやすさ。普通、川を堰き止めて造られたダム湖は切り立った地形が多いため、岸からの釣りはしにくいものだが、この高滝湖は巨大な皿池に近い形のため、湖岸線のほぼ全域で足場がよく、オカッパリがとてもしやすい。加えてバスの個体数が多く、サイズも平均で35cm、1日やれば40cm以上の大型が釣れることも珍しくない。 アクセスがよく大型も釣れることから人気が高くプレッシャーも高いが、それでも他の釣り場と比較すればイージーにバスに出会うことができ、足場のよさから家族連れにも最適なフィールドといえる。

水通しのよいところを重点的に!

6月といえば多くのブラックバスは産卵を終えて、体力を取り戻すべく盛んに捕食する好機である。トップウォーターからボトム まで多彩なルアーで反応があり、また、ヒットしたあとのファイトもすこぶる強くなるから楽しい。
一見すると平坦に見える湖も、その湖底にはたくさんの流木などが沈んでいるため、そうした沈み物の周りをダウンショットリグやスモールラバージグなどのライトリグで丁寧に探る釣りは1年を通じて効果的だ。

また日差しが強くなる時期のため、樹木のオーバーハングの下や、草や流木がマット状に覆うカバーの下といったシェードはバスが潜んでいる可能性が高い。オーバーハングの下には甲虫などを模した虫ルアーが効くほか、朝夕などはポッパーなどのトップウォータープラグに反応することもある。ただし湖岸際の多くが護岸されているため本湖には大規模なオーバーハングは少ない。だからこそ小規模の樹木やちょっとした草でも一級のカバーになる可能性があるので見逃さずに探りたい。そして濃いカバー周りを探るなら根掛かりしにくいテキサスリグなどで探っていく。
夏に近づくほど水の動いている部分と停滞している部分で魚の密度が変わってくる。ダム湖でも川である以上は上流から水が流れ、放水をすれば強い流れが生じる。そうした水の流れが当たりやすいのはワンドなど奥まったところではなく岬状にせり出したところや、ボトルネックのように狭まったところだ。水に動きがあるところはベイトフィッシュも、それをねらうバスの活性も高いことが多いので、重点的に探ってみたい。
足場はこんな感じの緩い傾斜のところが多い。沖に点在する沈み物と、岸際に寄せられて溜まった流木などの際を丁寧に探っていく
足場はこんな感じの緩い傾斜のところが多い。沖に点在する沈み物と、岸際に寄せられて溜まった流木などの際を丁寧に探っていく
テンカラやドライフライを振ってみるのも面白い。ブルーギルや小さなバスが果敢に水面に飛び出すはずだ
テンカラやドライフライを振ってみるのも面白い。ブルーギルや小さなバスが果敢に水面に飛び出すはずだ

釣り+αが無理なく組み込める

湖岸線の大半が足場の低い護岸のためお子さん連れで楽しむにも最適な高滝湖。釣りをする前には加茂橋のたもとにある「高滝観光企業組合」にて630円の日釣券を購入することから始まる。同店ではルアーや小物釣りの仕掛けやエサなども販売している。今、釣れているエリアやルアーを聞いて、ここで購入するのもいいだろう。
また、高滝湖で釣れる魚はバスだけではない。ワカサギは冬期限定だが、この時期でもヘラブナコイのほか、チビッ子でも簡単に釣れるブルーギルオイカワも非常に多い。 正直、日陰が少ない本湖で日中にアタリもないまま釣り続けるのは辛い。そんなときはサシやアカムシ、ミミズなどをエサにウキ釣りに転じればアタリもあって楽しめるはずだ。
上流側にはこうしたホソもあり、ノベザオで小もの釣りを楽しむこともできる
上流側にはこうしたホソもあり、ノベザオで小もの釣りを楽しむこともできる
小さくカットしたミミズをエサにすればオイカワやブルーギルが簡単に釣れる
小さくカットしたミミズをエサにすればオイカワやブルーギルが簡単に釣れる
家族連れなら、プランはいくつかある。ダムと最寄りICの中間にはゾウなどの動物とふれあえる施設があるので、半日釣り、半日家族サービスというプランも無理なく組めるし、アクアラインを渡る手前の木更津市にできたアウトレットモールでショッピングというプランもありで、こちらは奥様に喜ばれること請け合いだ。
ただし、こうした施設の増加とアクセスの向上で、週末のアクアラインの混雑は激しいのも事実。渋滞のピークが過ぎるまで、同じく木更津市金田の温泉施設で日帰り温泉に浸かったり、温泉プールで遊んだりしてから帰ると、ガラ空きのアクアライン、首都高速でスイスイと都内に帰ることができる。実際、週末のアクアライン渋滞を避けるための温泉&プールは我が家の定番コースであり、高滝湖を起点に、朝夕は釣り、日中と夜は家族サービスというプランは子どもたちにも好評なのである。
今回ご紹介したエリア
千葉県/高滝湖のブラックバスほかMAP
アクセス
東京湾アクアラインを渡り木更津JCTを圏央道方面へ。市原鶴舞ICを出て左折。「高滝湖」の標識に従い最初の交差点を左折。県道168号線を約2km西に進めば加茂橋。
※このコンテンツは2013年6月の情報をもとに作成しております。