天野 三三雄 氏
月刊『Basser』編集長
天野 三三雄 氏
大学在学中に季刊『Basser』の編集アルバイトとして参加。その後、スポーツ紙釣り欄担当を経てつり人社入社。月刊『つり人』副編集長を経て、2009年より月刊『Basser』編集長を務める。『アオリイカ地獄』、『ロックフィッシュ地獄』、『シーバス地獄』などソルト系ムックの編集長も兼務。釣りはルアー全般のほかハゼ、カワハギ、カレイなど江戸前の釣りを好む。

高水温期はマゴチ釣りに最適

マゴチというと真夏のターゲットというイメージが強いと思う。たしかに"照りゴチ"という言葉があるくらいなので食べても旨いのは夏とされる。しかし、実際には低水温期よりも高水温期のほうが食いも活発でよく釣れ、よくエサを食べているので脂が乗っているということのようだ。
夏60cmオーバーともなると迫力満点。首を振る力はすさまじく、ヘビーパワーのバスロッドがバットまで曲げられた
夏60cmオーバーともなると迫力満点。首を振る力はすさまじく、ヘビーパワーのバスロッドがバットまで曲げられた
もっともよく釣れるのは30cmから40cmまで。上アゴにがっちりとフッキングが決まっている
もっともよく釣れるのは30cmから40cmまで。上アゴにがっちりとフッキングが決まっている
9月に入ると気温はめっきりと涼しくなるものの、海水の温度はむしろ1番高いのが9月であり10月もまだまだ海の中は温暖だ。つまりマゴチにとっても活動が活発な時期であり、マゴチが好むハゼシロギスイワシといった小魚が沿岸部にあふれかえる時期はロングランで続くということである。もともと温暖な南房周辺の海域は昔からマゴチが多いことで知られる。

レンタルボートから釣る場合、ボート屋さんであらかじめ活きたカタクチイワシを予約しておけば、かなりの高確率でマゴチが食ってくるし、そのほかヒラメマトウダイカサゴやエソなど多彩な釣果が期待できる。ただし、こうしたイワシはいつも用意があるとは限らないし、もちろん別途エサ代も必要になる。そこでおすすめしたいのがソフトベイトを利用したルアー釣りである。

いろいろなルアーロッドが流用可能

マゴチは浅い砂地で気配を殺し、上目使いで通過する獲物を虎視眈々とねらっている。食欲は旺盛でエビなどの甲殻類から小型のイカやタコ、そして底付近を通過する大半の小魚を捕食対象にする。捕食方法は大口を空けて一気に丸呑みすることもあれば、何度もくわえなおして、徐々に呑み込んでいくこともある。

エサ釣りでは即アワセは禁物で、前アタリのコツコツは見逃して一気にロッドを絞り込む本アタリアワせるのがセオリーだが、ルアー釣りの場合はアタリ即アワセで構わない。とくにジグヘッドにソフトベイトをセットする釣りの場合、ハリ先がむき出しになっているので向こうアワセ気味に掛かっていることも多い。
大型になると抵抗はすさまじい。歯とエラブタにもトゲがあるのでハンドランディングは厳禁だ。これは東京湾周辺では最大級といえる
大型になると抵抗はすさまじい。歯とエラブタにもトゲがあるのでハンドランディングは厳禁だ。これは東京湾周辺では最大級といえる
タックルはわりとなんでもよく、バスロッド、シーバスロッド、エギングロッドなどのスピニングタックルならラインはPE0.8号にリーダーはフロロカーボン3~5号。ジグヘッドは7~28gまでを用意したい。ソフトベイトは小魚を模しやすい3~4インチのカーリーテール系、シャッドテール系、パドルテール系を中心に甲殻類を演出できるホッグ系があればOK。水深10mまでの浅場ならばフロロカーボンラインを巻いたバス用ベイトタックルも流用できる。ルアーを着底させたら、ボトム付近をスイミングさせたり、リフト&フォールで探っていく。アタリは明確なのでわかりやすい。

千葉県の東京湾寄りはレンタルボート銀座

南房から東京湾の内房側にかけての海岸線をクルマで走ると、「貸しボート」の看板を多くみかけるはずだ。北から保田、岩井、富浦、浜田といったところがレンタルボートの釣りが盛んなエリアである。2人乗りの手漕ぎボートから、免許不要の2馬力艇、さらには大人数で乗船可能な船外機付き船まで、実に多彩なレンタルボートが用意されている。 写真のボートは南房館山・浜田海岸の『アジロボート』さんの4人乗りの船外機付きボートだが、カラー魚探や海水循環式のイケス、そして流し釣りに最適なパラシュートアンカーまであり、実に快適である。
マゴチの釣り場は岸からも近く、また高水温時は凪ぐことが多いのでのんびりと楽しめる
マゴチの釣り場は岸からも近く、また高水温時は凪ぐことが多いのでのんびりと楽しめる
高水温期は台風でも接近しないかぎり、もっとも海が凪ぐシーズンであり、なおかつマゴチの釣れる水深は深くてもせいぜい15mくらいまでなので岸から近く、とても安全だ。 なお、マゴチの産卵はエリアによってズレが大きいものの夏を挟んだ晩春から早秋までがピーク。釣れた魚が産卵直前だったり、逆にまだまだ成長途中の小さな個体は元気なうちにリリースしてほしい。
いいエリアに当たると中小型の数釣りが楽しめるが、必要以上のキープは避けて元気なうちにリリース
いいエリアに当たると中小型の数釣りが楽しめるが、必要以上のキープは避けて元気なうちにリリース
たしかにマゴチは刺身、洗い、塩焼き、うしお汁、天ぷらといろいろな料理で美味しくいただけるが、大型マゴチが1尾あれば4人前以上のお造りができる。最小限のキープで、きっちり生き締めした最高の状態のものをいただくのが美味しく食べるコツといえる。
船外機付きボートにセットされているシーアンカー。魚の付き場がわかったらアンカーで固定したほうが釣りやすいが、絞り込みができるまではシーアンカーでブレーキをかけつつスローな流し釣りをするといい
船外機付きボートにセットされているシーアンカー。魚の付き場がわかったらアンカーで固定したほうが釣りやすいが、絞り込みができるまではシーアンカーでブレーキをかけつつスローな流し釣りをするといい
当日は南房のホテルに宿泊。釣魚の持ち込みもOKだったので最大魚をお造りにしてもらったところ、いったい何人前?というボリュームだった
当日は南房のホテルに宿泊。釣魚の持ち込みもOKだったので最大魚をお造りにしてもらったところ、いったい何人前?というボリュームだった
今回ご紹介したエリア
千葉県/南房のマゴチゲームMAP
アクセス
館山と富浦へは富津館山自動車道の終点・富浦ICからR127を南下。R128、R410 を経由して房総フラワーライン(県道257線)を洲崎方面へ。保田へは富津館山自動車道・鋸南保田IC、岩井へは鋸南富山ICからが便利。
※このコンテンツは2012年9月の情報をもとに作成しております。