アユの友釣りは一度やったら病み付きになるといわれる釣りの代表格で、20年ほど前の全盛期にはアユ釣り人口700万人ともいわれていました。しかし、河川環境の荒廃に伴い、アユの漁獲は減少の一途をたどっています。そんななか、山紫水明の高津川には、昔日と変わらぬ数の天然アユが毎夏ソ上し、出会いを求めて全国から多くの釣り人がやってきます。
山間を縫うように静かに流れる山陰地方の清流を初めて私が訪れたのは、まさにアユ釣り全盛時代。当時の高津川は、アユ釣り場としてそれほどメジャーではありませんでした。ほかにもいい釣り場がたくさんあったのです。しかし、私は川相の美しさ、水の透明度に目を見張り、アユの多さには肝をつぶされました。まさに「踏み潰すほど」多くのアユが、川のいたるところでナワバリを持っているではありませんか。
ハナカンを装着したオトリを水中で放そうとすると、まだ私の手のひらの中にいるにもかかわらず、天然アユがオトリを攻撃しにくるのです。この魚影は健在で、今では全国有数のアユ釣り場に数えられるようになりました。