天野 三三雄 氏
月刊『Basser』 編集長
天野 三三雄 氏
大学在学中に季刊『Basser』の編集アルバイトとして参加。その後、スポーツ紙釣り欄担当を経てつり人社入社。月刊『つり人』副編集長を経て、2009年より月刊『Basser』編集長を務める。『アオリイカ地獄』、『ロックフィッシュ地獄』、『シーバス地獄』などソルト系ムックの編集長も兼務。釣りはルアー全般のほかハゼ、カワハギ、カレイなど江戸前の釣りを好む。

山上湖で避暑フィッシング

今年の梅雨は長く、そして暑い。不快指数はとどまるところをしらないほど上昇し、どこかに爽やかな釣り場はないものかと考えているアングラーも多いことだろう。そこでおすすめしたいのが群馬県丸沼。標高1269mと日本一高いところにある湖として知られる中禅寺湖よりもさらに高い標高1460mにある周囲約6㎞の沼で、真夏でも気温が25℃を超えることがない、まさに真夏の別天地といえる。
6月の丸沼は涼しいを通り越して肌寒いほどの冷気に包まれていた。これからは最高の避暑地になる
6月の丸沼は涼しいを通り越して肌寒いほどの冷気に包まれていた。これからは最高の避暑地になる
大正時代に日本で初めてフィッシングクラブが発足し、開高健をはじめとする文人墨客に愛された由緒あるゲームフィッシングの聖地として知られ、ニジマスのほかブラウントラウトニッコウイワナオショロコマヤマメサクラマスなど多彩なターゲットがねらえ、トラウトのエサとしてワカサギも放流されている。といっても平野部の管理釣り場とは一線を画し、日光白根山の噴火により堰き止められた自然湖は今なお白樺やブナの原生林に囲まれており、また12月から4月下旬までの半年近くも雪に閉ざされ道路も閉鎖されることから魚たちもどんどん野生化していく。

夏休みはファミリーで

清冽な青々とした水を湛え、周囲は鬱蒼とした森。鳥のさえずりとセミの合唱に包まれながらのトラウトフィッシングは爽快そのもの。季節柄、夏休みを利用したファミリーフィッシングに最適なロケーションといえる。
湖畔の一軒宿『丸沼温泉 環湖荘』(℡0278-58-2002)。入漁券の購入やボートの受け付けはこちらで。源泉かけ流しの温泉も魅力
湖畔の一軒宿『丸沼温泉 環湖荘』(℡0278-58-2002)。入漁券の購入やボートの受け付けはこちらで。源泉かけ流しの温泉も魅力
丸沼の釣りの受け付けは湖畔の一軒宿の『丸沼温泉 環湖荘』へ。入漁料=おとな2100円、子ども1050円。釣りは日の出から日没まで楽しめ、釣獲制限尾数は5尾。おすすめは宿泊と遊漁料がセットになった釣り宿泊パック(1泊2食付きで1万2300円)。大浴場のニジマス風呂では水槽の中にイワナ、ヤマメが泳ぎ、浴槽中央のニジマス像の口から源泉100%かけ流しの天然温泉が注がれる。
岸からも釣りは楽しめるが、1日たっぷりと釣りをするならボートを借りたい。料金は平日2700円、土日祭日3200円。エレクトリックモーターの持ち込みもOK(船外機は不可)だが、さほど大きな湖でもないので手漕ぎでも充分に楽しめる。ファミリー釣行なら、朝夕のいい時間だけ岸から釣りをして、明るい時間は周辺散策に出掛けるのもいいだろう。
ボートはすべて手漕ぎだが、エレクトリックモーターの持ち込みはOK
ボートはすべて手漕ぎだが、エレクトリックモーターの持ち込みはOK
また、丸沼に隣接する大尻沼もおすすめだ。丸沼の半分ほどの大きさで、さほど深くなく、トラウトの量も充分とあってファミリー向けといえる。こちらはボート釣り専用で、入漁料2100円とボート料金3200円が必要。なお、こちらは人気が高く全艇が貸し出しになることが多いため、電話にて事前の予約が必要だ。もうひとつ、菅沼という釣り場も隣接しているが、解禁日が限定されているため、事前に確認してほしい。
7㎝ミノーにヒットしたアベレージサイズのニジマス
7㎝ミノーにヒットしたアベレージサイズのニジマス

虫パターンも面白い

5㎝ミノーにヒットした50㎝オーバーのニジマス
5㎝ミノーにヒットした50㎝オーバーのニジマス
ボートからのルアーの釣りの場合、6フィート前後のスピニングタックルが1本あれば事足りる。トラウトロッドのほか、軟らかめのバスロッド、あるいは硬めのメバルロッドなどでも流用が効く。
2000番台のスピニングリールにナイロンまたはフロロカーボンの3~4.5ポンド前後を巻いておくが、ここは釣れる魚のサイズが大きめなので、不安があれば5ポンド以上も用意したい。ただし、ラインが太くなると軽めのルアーが使いづらく、ライントラブルも増えるため、4ポンドまでが使いやすいだろう。
ルアーはフローティングミノーサスペンドミノー、シンキングミノーは欠かせない。そのほか夏場の定番として虫パターンも見逃せない。小さな甲虫から大型のセミまで、オーバーハングの周囲では虫の落下を心待ちにしているトラウトが少なくない。セミをはじめとする虫系ルアーの用意もお忘れなく。
頻繁にセミや甲虫が落下する季節のため、トラウトたちも岸辺でセミの落下を待ち伏せている
頻繁にセミや甲虫が落下する季節のため、トラウトたちも岸辺でセミの落下を待ち伏せている
このほか大尻沼では5~10gのスプーンが定番で、色は黒と緑がよく、このふたつが振るわないときは白がいいという。 なお、同沼ではワームの使用は禁止されている。
今回ご紹介したエリア
群馬県/丸沼のニジマスMAP
アクセス
関越自動車道・沼田ICからR120(沼田街道)を中禅寺湖方面へ約90分
※このコンテンツは2010年7月の情報をもとに作成しております。
※環境省レッドリスト等の掲載種については、法令・条例等で捕獲等が規制されている場合があります。必ず各自治体等の定めるルールに従ってください。