第2回実釣編①:シロギス釣り
秋の館山湾で2馬力ボートを使ったシロギス釣りに挑戦

マイボートを使った釣りは、「手前船頭(自分自身が船長)」で、好きな場所に出向き、自由度の高い釣りができる。なかでも動力を利用しながら、免許不要で楽しめる「2馬力ボート」は、必要な機材の購入や保管もしやすく、これから挑戦してみたい人にも人気だ。前回の「基礎知識&準備編」に続き、ここでは「実釣編」として、2馬力ボートを使ったシロギス釣りの楽しみ方を紹介する。

丸山 剛さん
丸山 剛さん
1962年生まれ。神奈川県厚木市在住。フィールドフォトグラファーとして、国内外のさまざまな海や山に出掛ける。釣り、ツーリング、沢登り、山スキーと幅広い外遊びに精通し、海では東京湾や相模湾に自身の2馬力ボートを浮かべて旬の魚を釣るのが得意。

2馬力の動力を生かして、
いざ大海原へ

この日はボート日和の凪。
静かな湾を
BF2の動力で軽快に進む

丸山さんが2馬力ボートでのシロギス釣りに訪れたのは、千葉県館山市の船形漁港。目の前に広がる館山湾は、栄養豊富な東京湾から出ていく流れと太平洋を北上する黒潮とがぶつかって、多くの魚が集まる場所である。湾内には広大な砂浜があり、シロギスの魚影も非常に濃い。

この日は風もなく波も穏やかな絶好のボート釣り日和に恵まれたが、まだ残暑が厳しく準備するだけで汗が滴るほどだった。それでも沖に出てしまえば風は爽やか。そして自在な動力を得られる2馬力ボートなら、大海原を独り占めしているかのような開放感に浸れる。この感覚が忘れられず2馬力ボートに魅了される釣り人が多いのだ。

遠くに館山の陸(おか)を見ながら釣り開始。2馬力エンジンの動力があれば、こんな景色も独り占めできる

「まずは浅場や川の流れ込みがある場所から探ってみましょう」
丸山さんは魚探を見ながらポイントを絞り、最初に水深4~5mのエリアから探り始めた。軽く仕掛けを投げて着底させ、オモリが砂煙を立てるようにズルズルと引いてシロギスのアタリを待つ。

シロギスは群れで行動する習性があり、ひとたび居場所を探り当てれば続々とアタリが出て数釣りが楽しめる。シロギス釣りの醍醐味といえる部分だが、2馬力ボートの機動力が、この点でも非常に有利なのはいうまでもない。宝探しのような感覚で居場所を予想し、それを探り当てた時は、思わず「よし」と声が出る。

大きくポイント移動したところで
待望のアタリ!

この日は出航時間が潮の流れの緩い干潮のタイミング。すぐに連続ヒットとはいかないが、海の釣りではよくあることなので焦る必要はない。「魚の食いがまだ渋いですね。ひとまず大きく移動してみましょう」と丸山さん。最初にサオをだしたエリアから、船形漁港を挟んで大きく北側への移動を決めた。こういった思い切ったポイント移動も、たとえば手漕ぎボートでは難しいが、2馬力エンジンの動力があれば「思い立ったら即実行」できる。

思い立ったらすぐ移動。機動力を生かして釣りができる

移動した先のポイントは、海底に岩礁などが点在していた。こうした場所は、シロギス以外の魚にとっても付き場になっている可能性がある。すると、岩礁に仕掛けが引っ掛からないように注意しながら探っていったところで、「ビビビビッ!」とシャープな反応が伝わってきた。

最初の移動のあと、「何か来たよ」と丸山さん。小気味よい感触の主は……
釣り人の間で“チャリコ”と呼ばれるマダイの幼魚。シロギス仕掛けにもよく食ってくる

水面近くまで浮いてからも、元気に泳ぎ回ったのは、“チャリコ”と呼ばれるマダイの幼魚だ。サイズこそ大物ではないものの、エサ釣りはこういったゲストが頻繁にアタリを送ってくれ、飽きることがないのが楽しい。

本命のシロギスが
立て続けにヒット!

その後、岩礁のポイントはチャリコがかなり元気だったこともあり、本命のシロギスの群れを求めて再び移動。最初に探ったエリアのさらに沖側、水深8~9mのラインを流し釣りで探ることにした。

アタリの出方を見ながら少しずつ深い場所を探っていく

すると、この見立てが正解だったようで、ついにシロギスが立て続けにヒットし始めた!

手前船頭で探り当てたシロギス。中には20cmを超える良型もまじり、「これならお造りで楽しめるね」と丸山さんもご満悦だ

広い海からポイントを絞り込んだ釣り人の経験と勘、スピーディな移動を可能にする2馬力エンジンの存在。その2つの要素が噛み合い、ボートからの手前船頭で、シロギスの引き味を堪能することができた。自分の判断の積み重ねで釣れた魚には、他では味わえないうれしさがある。

次ページからはタックルや釣り方といった、ボートからのシロギス釣りの具体的な方法を紹介していこう。

※このコンテンツは、2023年10月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。