フレーム(5)


●アルミダイキャスト製新型シートレール
 Hondaの精密ダイキャスト技術を採用したのは、フレームだけではありません。シンプルで軽い形状と構造的な強度を確保するため、シートレールまでもがこの技術によって作られているのです。CBR600RRのシートレールが支えなければならないのは、車体の中心近くに配置された新しいエキゾースト・システムを完全にカバーするテールカウル、そしてライダーとパッセンジャーです。最適な強度と剛性を提供しつつ、この2つを有機的に支えられる設計が、新しいダイキャスト技術によって現実となりました。
 スチールやアルミを溶接した一般的なシートレールは、軽さと強度を主眼においた構造となっています。従来のパイプ素材のシートレールによって制限される狭い空間の中で、CBR600RRのシート下にエキゾーストシステムを配置するには、パイプワークを大きく変形させる必要が生じます。これでは、エンジンの性能に悪影響を与えかねません。
 Hondaの新たな鋳造技術は、最適に配置された台形のマフラーをすっぽり包むための特殊な形状を持つシートレールの成形を可能にしました。同時に、このシートレールは製造工程とコストを大幅に削減します。構成する部品がフレームにマウントされるレール2本と、横方向への強度と剛性を確保するためボルト止めされている構材3本の、わずか5個で足りるからです。2本のレールは、リア部分で内側にカーブしてボルト止めしており、高価で時間のかかる溶接作業を不要にして構造上の強度を実現しています。このモジュラー設計によって、独特のエキゾーストシステムレイアウトの成立を可能とし、メンテナンスもより簡便になりました。




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