フレーム(4)


 CBR600RRの画期的なアルミ製中空ダイキャストフレームは、9個の部品から構成されています。ステアリングヘッド×1、エンジンハンガー×2、ピボットプレート×2、連結部×4という、9個の部品のすべてを頑丈で有機的なひとつのフレームとして、独自の新しい手法によって溶接しました。その理由は、つい最近までアルミダイキャストの溶接には、非常に多くの問題があったからです。高速・高圧の注入工程でアルミ溶液に気泡などの欠陥が入ってしまう場合があります。業界で「ブローホール」と呼ばれているこの気泡は、溶接時の瞬間的な高温を受けると激しくはじけて溶接を失敗させたり、表面を汚くするだけでなく、構造的な強度まで損なう恐れがあります。このような危険性を、Hondaは2つの手法を駆使して回避することに成功しました。ひとつは、新しい「砂中子」精密ダイキャスト技術の開発。もうひとつは、アルミ溶解温度と注入速度の正確な調整です。つまり、溶接強度に影響を与えない完璧な内部品質が鋳造できる絶妙なスピードで、アルミを注入していくのです。



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