フレーム(2)


●RC211Vから継承された新しいフレーム設計
 マスの集中化を追求しつつ、小型化を実現するという具体的な目標を追求して設計されたCBR600RRのフレームは、ライダーをステアリングヘッドに接近させ、体重をマシンのマス中心のほぼ真上に配置させます。これは、フューエルタンクの設計を抜本的に見直したからこそ可能になったライディングポジションです。フレーム全体の剛性は現行のCBR600FおよびCBR600F4iと同等ですが、ステアリングヘッドまわりの捻れに対する剛性を高めています。これは、バイクが左右に振れたときのサスペンションにかかるストレスに対し、保持力をより増大させるためです。
 フレームの設計にあたって、高い剛性を確保することはとても重要なのですが、単にフレーム全体を頑丈にするだけでは、操縦安定性とコーナリングコントロールが犠牲になりかねません。高速走行時での悪い路面状況下で、この点は特に問題となります。




 そこでCBR600RRでは、「横」に対する剛性を、フレームの中央近くでわずかに下げるという手法を採用しました。これにより、ライダーの操縦に対して自然な旋回特性を得ることができ、強化された捻れ剛性とあいまって、優れた旋回性と操縦安定性を高次元で両立することができたのです。
 これらのフレーム構造は、ユニットプロリンクにより、リアクッションの荷重をフレームが支持しない構造となったことで確実に達成された、画期的な新しい技術の副産物でもあるのです。
 このような各種の改良が総合されることによって得られた結果は、まさに目覚ましいものでした。CBR600RRのコーナリング性能と操縦安定性は、これまでにないレベルにまで達しています。またサーキットを疾走するマシンとしても、高いレスポンスと高いコーナリングコントロールの融合は、クラスや排気量を問わず、新たなベンチマークとなるでしょう。この高い操縦性の秘密は、革命的なフレーム構造なしでは実現不可能だったのです。




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