フレーム(1)


 あらゆるスポーツバイクの設計と性能に最も大きな影響を与えるのが、重量配分です。過大な重量とマスをバイクの外側に近い部分へ集めてしまうと、強い慣性力が発生し、全体を素早く傾けて方向転換する能力に悪影響を与えます。そこで現在、レーシングマシンと高性能スーパースポーツでは、マスを車体の中心に集中させることを重視するよう力を注いでいます。
 ホイールやサスペンション部品の軽量化をはじめ、ヘッドライトのガラスをプラスチックに交換するといった些細な部分に至るまでのすべての要素が、ライダーの意思に正確に応えるシャープなハンドリング性能に多大な影響を与えるのです。当然、速度が上がれば、比例してその影響も大きくなります。そのため、ライダーを含む、重量のある部品をマスのより中心へと近づけることと同時に、バンクする際の回転軸から遠い部品を軽量化することを、集中的に研究してきました。その狙いは、よりシャープかつ正確なハンドリングを確保し、ライダーのフィーリングをバイクの動きと一体化させることです。
 基本設計にあたって大いに参考にしたRC211Vと同様、CBR600RRもサーキットでのポテンシャルを視野に入れたコンパクトなマシンとなっています。新たな構造をもつ新型フレーム、画期的なフレームレイアウト、そしてRC211Vからフィードバックしたサスペンションシステムを組み合わせることにより、高性能かつ高いレスポンスを実現しました。各地のレーシングコースで、CBR600RRはラップタイムを大きく短縮していくことが予想されます。




前ページへ前ページへ前ページへ目次へ次のページへ次のページへ次のページへ