パワーユニット(2)


●HYPER VTEC SPECIII
 今回新たに開発した「HYPER VTEC SPECIII」は、これまでの「HYPER VTEC SPECII」の、“正常進化”と位置づけています。
 「HYPER VTEC」は、初心者からベテランまで幅広いユーザーに体感していただけるよう2バルブと4バルブの切り換えによる全回転域での出力特性の向上を目的に開発しました。さらに、「HYPER VTEC SPECII」では2バルブと4バルブの切り換えポイントを変更することで、扱いやすさとよりエキサイティングな出力特性を体感していただけるようにしました。「HYPER VTEC SPECIII」では、さらなる乗り心地の向上と燃費向上を目的に開発しました。
 「HYPER VTEC」は、Honda独自の油圧制御によるVTEC技術をベースに、設定した回転数になると1気筒あたりの作動バルブ数を切り換えるバルブ制御システムです。初代の「HYPER VTEC」では、バルブ切り換えタイミングを6,750rpmに設定。これにより、低・中速回転域と高速回転域それぞれで力強い出力特性を実現し、燃料消費率を従来のモデルの34.7km/Lから37.0km/Lと、6.6%(60km/h定地走行テスト値)向上しました。また、「HYPER VTEC SPECII」では、初心者でもワイドバンドで4バルブ領域を体感していただくことを目的として、このタイミングを6,300rpmに変更しました。これにより、1速から6速まですべての領域でVTECを実感できるパワフルかつスポーティーな仕上りとしました。
 今回の「HYPER VTEC SPECIII」のECUは、これまでの2バルブ作動時と4バルブ作動時の2つの点火時期マップに対し、新たに6速専用点火時期マップを加え、1速から5速で2つの点火時期マップを持ちながら、新たに6速のみの2つの点火時期マップを所有し、合計で4つの点火時期マップを所有しています。これにより、バルブの切り換えタイミングの違和感が無くなり、スムーズな切り換えを実現しています。また、このECUはエンジン回転数と車速からギアポジションを判断し、「1速から5速の点火時期マップ」、もしくは「6速の点火時期マップ」のいずれかの点火時期マップの使用を決定します。そしてバルブの切り換えタイミングは、回転数を6速に限り6,300rpmから6,750rpmへ変更しています。ECUは使用ギアを6速と判断した場合、6速の点火時期マップを使用して、6,750rpmで2バルブから4バルブへ切り換わり、100km/hでの高速巡航時の燃費の向上に寄与しています。

 
 


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