CB400SF

 

パワーユニット(2)


●HYPER VTEC SPECII
 今回新たに開発した「HYPER VTEC SPECII」は、前回モデルに搭載され非常に高い評価を得た「HYPER VTEC」をさらに進化させたものです。

 その開発意図は、CB400 SUPER FOURが免許取得したてのライダーから大型免許保有者まで、幅広いユーザー層に受け入れられているモデルであることが重要な要因となっています。つまりユーザーのテクニックによってはパフォーマンスの差が大きく出てしまう機種であり、調査結果からもCB400 SUPER FOUR HYPER VTECのユーザーの、特に初心者の方では6,700回転域からの4バルブ領域を充分に使いこなせていないという多くのお客様の声がありました。開発チームはこの結果をひとつの課題として、より多くのユーザーの方にHYPER VTECの4バルブ領域を楽しんでいただくために、新たなHYPER VTECである、「HYPER VTEC SPECII」の開発に取り組んだのです。

 「HYPER VTEC」は、Honda独自の油圧制御によるVTEC技術をベースとし、設定した回転数になると1気筒あたりの作動バルブ数を2個⇔4個と切り換えるバルブ制御システムです。今回の「HYPER VTEC SPECII」は、バルブタイミング、排気系諸元やキャブレターのセッティング、点火時期などをリファインすることで、中速域のトルクアップと全域でのよりスムーズな出力を実現し、2バルブ⇔4バルブの切り換えタイミング回転数を従来の6,750rpmから6,300rpmへと変更。ローからトップまですべての走行状態でVTECを実感できるパワフルかつスポーティーな仕上りとしました。

 バルブ数の切り換えは、低・中速域では吸気・排気側ともバルブを1個休止状態にし、1気筒あたり2個の対角線上のバルブを作動。ベストな吸・排気効率を実現するとともに、力強い加速とトルクを得ています。一方6,300rpmを超える高回転域では、1気筒あたり4個のバルブすべてがフル作動。直4エンジンならではのスムーズで伸びのある出力特性を発揮します。
これらのバルブ切り換え機構は、バルブリフターに内蔵された切り換えピンの位置によって、バルブの休止/作動を制御します。

 またバルブの駆動には、カムがリフターを介してバルブを直接押す「直押し式」を採用。そのシンプルな構造は、マシンの軽量化や燃焼効率の向上、フリクションの低減などに貢献し、燃費の向上にも寄与しています。

●バルブ休止状態(低・中回転域)
油圧を制御するスプールバルブで油圧をカットしているため、切り換えピンは停止している。切り換えピンホルダーに設けられた穴にバルブステムが潜り込むため、カムシャフトが回転してもバルブは作動しない。

●バルブ作動状態(高回転域)
設定した回転数に達するとスプールバルブが開き、油圧が油圧通路内にかかり、切り換えピンが作動する。バルブは切り換えピン穴に潜り込むことができず、カムシャフトの回転によって作動する。



HYPER VTEC 作動図

HYPER VTEC作動図

HYPER VTEC作動図


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