従来のXLシリーズは、オフロード走行専用車のXRシリーズのテクノロジーやイメージをフォローするという位置づけで開発されており、オフロードユースにおいてその性能を100%発揮するXR250Rに、必要最小限の保安部品を装着するという「XRのオンロードミニマム」という考え方で、長年にわたり熟成を重ねてきました。
そして今回のスーパーXR250/XR BAJAにおいては、進化したスーパーXR250Rの基本性能をベースに、出力特性や排気音、保安部品の装備などを考慮した上でストリート・ユースを可能とし、オフロード走行のみならず、市街地走行から高速道路まで、様々な場所でより多くのライダーに受け入れられるよう、幅広い使い勝手に対応させるという手法を採りました。
また、XRを進化させたモーターサイクルであるために、ネーミングにもXRを採用しました。
1. |
始動性の進化 |
スーパーXR250/XR BAJAでは、スーパーXR250Rのキック始動に対し、セルモーターによる始動方式を採用しました。これによって市街地走行時の使い勝手はもちろん、キックスタートが困難な険しい地形でも再始動を容易にすることで結果的に走破性を向上させるとともに、レース出場時には疲労時でも再始動が楽に行えるなど多くのメリットを確保しました。
特に、オートカムデコンプ機構の採用によってセルモーターへの負荷を小さくすることで、セルモーターのみならず、バッテリーの小型・軽量化を実現し、重量増加も最小限に抑えることができました(オプショナルパーツのキックアームを装着することでキック始動式併用も可能です)。 |
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2. |
ドライバビリティの進化 |
スーパーXR250Rと同様、低・中回転域のトルクアップと高回転域での伸び感を向上させながらも、さらに、市街地走行などでの扱い易いエンジン特性とするためにキャブレターをスーパーXR250RのPD型からCV型へと変更。強制リフト機構の追加等によって、CV型のスムーズさとPD型のリニアリティを兼ね備えた特性を実現しています。
さらに、ドライバビリティを向上させるため、スロットル荷重の軽減化を図りました。 |
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3. |
操縦安定性の進化 |
フレームは、スーパーXR250Rを基本としながら、高速時の直進安定性や2名乗車、荷物の積載といった使用用途に対応させるため、ガセットやエンジンハンガー形状の最適化を図っています。
足廻りでは、車両重量、重量バランスの変更に伴い、サスペンションストロークとフロントフォークオフセットを変更し、ディメンションの最適化を図っています。
また、サスペンションセッティングもスプリング荷重および、減衰力特性の見直しによって、オフロード走行においても十分な衝撃吸収能力を確保しています。
サスペンションストローク比較 |
’94XLR250: |
フロント260mm/リア260mm |
スーパーXR250R: |
フロント270mm/リア270mm |
→スーパーXR250 : |
フロント265mm/リア260mm |
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フロントフォークオフセット比較 |
スーパーXR250R: |
60mm |
→スーパーXR250 : |
62mm |
またスーパーXR BAJAは、ヘッドライトとメーター類のマスによる操縦安定性への影響を抑えるためにフレームマウント式とすることによって、ビッグなヘッドライトからは想像できない軽いハンドリングと、安定したスタビリティを実現しています。
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4. |
足着き性の進化 |
サスペンションストローク等の変更によって足着き性を’94XLR250Rと同等のものとし、様々な使用環境に対応する使い勝手を実現しました。 |
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5. |
その他、取り扱い及び装備仕様の進化 |
一般公道における使い勝手を向上させるため、時計、ストップウォッチ、ツイントリップ付き多機能デジタルメーターや大型デュアルヘッドライト(スーパーXR BAJA)を採用しました。
これらの装備は一般的な使い勝手だけではなく、ラリー形式のエンデューロや、夜間走行で役に立つ実戦的な装備です。
また、ステンレス製エキゾーストパイプをテンパーカラー処理するとともに、蛍光色シートを採用するなど、随所を高品位仕上げとしました。
これらの結果、スーパーXR250/XR BAJAは、スーパーXR250Rの良さである“自由自在な取り廻し性能によって楽しく軽快で、しかもライダーに優しい操作性能によって走り続けることのできる”というXRスピリットを、オフロードでも一般公道でも味わえる、新世代のデュアルパーパスモデルとしています。
これらによって、スーパーXR250/XR BAJAにおいて実現した基本性能。それは、
タフであること。自在であること。
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