VTR - 1997.11

VTR
VTR
 
パワーユニット

 パワーユニットには2.4kgm/8,500rpmの太いトルクと32ps/10,500rpmの最高出力を発揮する熟成の水冷・4サイクル・DOHC・4バルブ・90度V型2気筒・249cm3を採用。高回転時の吹け上がり感を損なわずに、低・中回転域におけるトルク感の向上を目標に、全回転域でフレキシブルな特性をめざしました。さらに、フライホイールの慣性マスを大幅に向上させるとともに、ギヤレシオのワイド5速化とあいまってVツインエンジンの鼓動感を全回転域で満喫できるパワーユニットとしています。
 また、左右クランクケースカバー、ヘッドカバーに高品位仕上げを施し、質感の高いエンジン外観としています。
VTR
エンジンの熟成
 パワーユニットには長年に渡り熟成を重ねてきた、定評ある水冷・4サイクル・DOHC・4バルブ・90度V型2気筒・249cm3エンジンを採用。今回、高回転域での吹け上がり感を損なわずに、低・中回転域におけるトルク感を向上させるため、シリンダーヘッド・インテークポート形状を変更するとともに、インレット/アウトレットカムシャフトのバルブタイミングおよびバルブリフト量を変更したほか、吸気側では、フロント/リアに不等長エアファンネルを採用しています。

吸入経路断面図 出力特性
吸入経路断面図 出力特性
バルブタイミング比較
バルブタイミング比較

 また、フリクションの低減を図るため、バルブスプリングを、従来モデルのダブルスプリングからシングルスプリング化するとともに、カムチェームは、メカ音の低減を図って新型サイレントチェーンを採用するなど、エンジンの高効率化や静粛性の向上を図って細部に熟成を施しています。
 さらに、ACGフライホイールの形状を変更し、慣性マスを約12%増加させたほか、ミッションを従来のクロス6速からワイド5速化することで、Vツインエンジンならではの加速感や鼓動感を表現しています。

 また今回、完成車部品点数の削減と、車両重量の低減、剛性の向上によるメカ透過音の低減を図るため、従来モデルのクランクケースブリーザーをヘッドカバーブリーザーへと変更し、これに伴いヘッドカバーを新設計しました。


バルブスプリング比較 フライホイール比較
バルブスプリング比較
フライホイール比較


吸気系


 吸気系は、エンジンの要求吸入量に対し常に適切な混合気を供給し、リニアなスロットルレスポンスを実現するφ32mmVD型キャブレターを、大容量エアークリーナーと組み合わせて採用しています。これによって、低・中回転域の豊かなトルク感と高回転域のスムーズな吹け上がり感を両立させています。
また今回、前後気筒のエアーファンネルをそれぞれの気筒の燃焼に最適な長さに設定することで、燃焼効率と燃費の向上を図っています。  それらの結果、40.0km/L(60km/h定地走行テスト値)という優れた燃料消費率を実現し、13Lのフューエルタンク容量とあいまって、ロングツーリング時の利便性を高めています。

 エアクリーナーケースは、6.1Lの大容量を確保し、V型エンジンの中央上方部に配置することで抵抗の少ないストレートな吸気を可能としています。今回、ケースの内部構造を見直すことで、ダイレクトなスロットルレスポンスを実現し、全回転域で扱い易さとスポーツ性を両立しています。

 フレームヘッドパイプ後方に配置したラジエター冷却水のリザーバータンクは、本来の予備タンクとしての機能の他に、エアークリーナーの吸気ダクトに対してフレッシュエアーによる動圧影響のコントロール機能および、走行時のキャブレター温度の安定化のための隔壁機能等、複数の機能を持たせています。  


   


← 前ページへ--- 目次へ--- 次のページへ →