V-TWIN MAGNA - 1994.06

V-TWIN MAGNA
V-TWIN MAGNA
 
パワーユニット

 パワーユニットには、2.3kgm/7,500rpmの太いトルクを持ち、27ps/10,000rpmの最高出力を発揮する信頼の水冷・4サイクル・DOHC・4バルブ・90度V型2気筒249cm3を採用。
 発進時から適度な鼓動感と排気音を味わえるクルージング走行を可能とするため、仕様変更にあたってはクランクの慣性マスを大幅にアップさせるとともに、低速トルクを重視した出力特性とし、ギア・レシオを一新した超ワイド5速ミッションの採用とあいまって、従来と比べてまったく新しい特性のパワーユニットとしています。
 また、90度V型2気筒の採用によって一次振動を抑えながらも、2次振動はすべて取り除くのではなくライダーにとっての解放感・快適性に寄与する振動はあえて活かすなど、アメリカン・カスタムの醍醐味を満喫できるパワーユニットとしています。
 さらに、堂々とした車体に負けない存在感あふれるパワーユニットとするために、クロームメッキや、バフクリアパーツを随所に採用し、質感の高いエンジンとしています。

エンジン
出力特性比較図 
出力特性比較図 
 車速線図
  車速線図

 低・中回転域での小気味よい鼓動感と、ゆったりおおらかな走りを実現させるため、エンジンのトルク特性は3,500rpm付近の低回転域でトルクフルな設定とするとともに、高回転域では低振動でリニアに伸びる2面性を持たせた特性としました。
 具体的にはインレットポート径の最小ポート部を約40%まで絞り、低・中回転域での吸気効率を向上させるとともに、クランク系の慣性モーメントをクランクシャフトで約18%、ジェネレータで約19%のアップを図るなど、低回転域での粘り強さを実現するとともに、高回転域でのリニアなトルク特性の両立を図りました。

 
吸気ポート比較図
吸気ポート比較図

クランクウェブ比較図
クランクウェブ比較図

 

フライホイール比較図
フライホイール比較図

 

 アメリカン・カスタムの魅力でもある乗車時の排気サウンドの演出にあたっては、排気音を中心とした低周波音を強調し、V型2気筒エンジンならではの低・中回転域での小気味良い鼓動感を得ることを目標としました。
 ロー&ロングのボリューム感あふれる車体デザインを構成しているダブルショットガンマフラーは、単独のパルス感を向上させるため1気筒あたり1本と個々に分け、さらにマフラーをショートタイプとして片側に集中させることによって心地よい排気サウンドを楽しめるものとしました。

 
エキゾーストシステム
エキゾーストシステム

 さらに、常用速度域での音圧レベルを高め、ゼルビスと比較しマフラーエンドとライダーの耳の間の距離を約165mm短く設定するなど、乗車時にライダーが聞く排気音を約25%力強いものとしています。
 また、マフラー構造を2室膨張タイプとし、膨張室数を少なくすることによって源音フィーリングを活かした排気サウンドとしたほか、インナーパイプのサイズ、長さ、グラスウール、セパレーター配置の最適化を図ることで高周波音の割れ感を抑えた良質な排気サウンドとしています。これらの設計にあたっては、実際に走行中にライダーが聞いている排気音の特性を解析し、低周波の波形の山と谷の差を強調させることで小気味よいパルス感を演出しました。

 

音圧イメージ比較図
音圧イメージ比較図

 

低周波時間軸波形
低周波時間軸波形

 
上図の車速と音圧の関係を見ると音圧が大きくライダーの耳に聞こえていることがわかります。


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