SUPER HAWK III - 1980.07

SUPER HAWK III
SUPER HAWK III
 
技術解説資料3

フロント
セミ・エアサスペンション
空気バネと金属スプリングの合成バネ特性を最大限に生かし、乗り心地と操縦安定性を両立させたエア封入式フロントサスペンションをいいます。
基本構造は、従来のテレスコピック型とほぼ同じですが、フロント・フォーク内に空車状態で、0.8kg/cm3程度の空気圧が封入されていて、左右のフロント・フォーク内圧は均一になるように、イコライザーパイプでつながれています。
一方、空気バネの特性を最大限に生かすには、フォークの摺動フリクションを極力小さくし、作動性をよくしなければなりません。そのため、このフロント・フォークには、その先端にスライドブッシュ、ボトムケース、口元にはガイドブッシュが嵌合され、これらのブッシュはいずれも摺動面が摩擦係数の低いテフロンがコーティングされていて、フロント・フォークの作動抵抗は極めて小さくなっています。
なお、金属スプリングは、主に低荷重領域でのバネ特性を補助する目的で装着されますが、当然その負担する荷重は小さくてすみ、その分スプリングの重量は従来タイプに比べて軽くなり、バネ下重量の軽量化に役立ちます。このサスペンションの最大の特徴は、何といってもエア・スプリングと金属スプリングの合成で得られたバネ特性(図2の実線)です。低荷重領域、つまり1人乗り1G〜2Gでのバネ定数を極力低くすることにより、乗り心地向上(スムーズなフロント・フォークの作動)が得られます。一方、悪路等で衝撃を受けた場合等、ストロークが全屈近くの領域になるとバネ定数が急激に高くなり、車体の沈み込みを適度に緩和します。従って平担路でのクッションの作動性は良好で、そのうえ悪路でも全屈することなく、踏破性が格段に向上しました。
またスライド部に新設されたテフロン・コーティングのブッシュにより、フロント・フォークの摺動抵抗は従来型の約1/3と飛躍的に減少し、特に微少ストロークでのサスペンションの作動性向上に寄与しています。
より理想の2輪用フロント・サスペンションを求めるにあたり、その重量をアップさせることなく、逆に軽量化をはかれたのは、最も基本となるバネ特性向上、摺動抵抗減少等が得られる理想的な構造が、エアスプリングとテフロン・ブッシュを採用することによって到達できたからです。

図1
フロントセミ・エアサスペンション
 
図2
合成バネ特性
 図3
金属バネ特性




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