SUPER HAWK III - 1980.07

SUPER HAWK III
SUPER HAWK III
 
技術解説資料2

二輪車のブレーキに一つの革新!!
ホンダ独自のデュアルピストンキャリパー
ホンダの技術陣が二輪車用のディスクブレーキの性能を追求し、到達した画期的なニュー・ディスクブレーキシステムです。構造は、その名の通り、一つのキャリパーに2つのピストンを平行に設けています。この2つのピストンの総面積は従来型の1つのものと、ほぼ等しい面積です。従って小径ピストンでも同一のブレーキ圧力に対しては同一のパッド押し力が発生します。
なぜ、このシステムがこの2輪車に適しているのか——

1 同一外径のディスクでも従来型キャリパーに比較して約10%ディスクの有効径を大きくできます。
つまり、ピストンの径が小さくなった分だけピストンの位置をディスクの外径方向に移動できるからであり、この結果ブレーキの効きは、それに比例して約10%向上します。

2 ディスクを軽量化でき、バネ下重量を軽量化し乗り心地、取廻し性に極めて良い結果をもたらします。
小径ピストンを2コ並べることにより、それに押されて作用するパッドも横長形状となりこれによって摺動巾を狭くできます。外径が同じでディスク摺動巾を狭くできれば、ディスク同径部に軽量孔を設けることができ、その分ディスクは軽くなり、バネ下重量の軽量化がはかれるわけです。

3 キャリパーの剛性を高くできます。
キャリパーの軽量化をはかりながら、しかも剛性を上げる、というブレーキ設計の長年の目標に大きく応えました。約10%軽量化でき、さらに約20%の剛性アップが可能となったのです。なぜ約20%も剛性が向上したか。それは、キャリパー本体のアームの長さが短かくできるので、ピストン反力により発生するキャリパーアームの曲げモーメントが減り同一ピストン反力の場合の変形が小さくなるからです。剛性のないキャリパーは、ブレーキをかけたとき、その液圧でキャリパーが大きく変形し、レバーのストロークが必要以上に増え、いわゆる《スポンジブレーキ》になり、コントロールが難しくなるのです。

デュアルピストンキャリパー
単位:mm




← 前ページへ--- 目次へ--- 次のページへ →