STREAM - 1981.11

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STREAM開発にあたって

新しいカテゴリーの乗りもの=スリーター
ホンダはこれまで“技術は社会に貢献するための手段である”という基本理念にそって、常に新しいカテゴリーの製品開発に挑戦し、かずかずの独創性に富んだユニークな製品を世に送り出してきました。
例えば、2輪車においては〈スーパーカブ〉(昭和33年)、〈ロードパル〉(昭和51年)、そして昨年国産スクーター復活第一号の先鞭をつけた〈タクト〉など、それぞれの時代にない新しい製品として誕生させました。
それらの製品は、それまでなかった新しい市場を創造しリードしてきました。これは社会のニーズを先取りした製品の先見性が多くの人々に受け入れられた結果であると考えます。
2輪車は、ロードパル発売以降定着したファミリーバイクによって、女性マーケットが拡大し、各家庭に広く普及しました。
2輪車と4輪車とは、それまで別々のマーケットとして発展してきましたが、ファミリーバイクの普及やスクーターの出現により、両者がより便利に使い分けられる傾向が顕著にみられるようになりました。ホンダはこれらの現象をふまえて、双方の長所を生かし2輪ユーザー、4輪ユーザーはもとより、これまでの“乗りもの”では満足して戴けなかった人々にも受け入れて戴ける“乗りもの”——フロントに1輪リアに2輪を備えた第3の乗りもの〈ストリーム〉を開発しました。
 
〈ストリーム〉の開発にあたっては、これまでのクルマの概念にとらわれず、新しい着想・思想をとり入れることからスタートしました。
今日の混合交通のなかで、その価値を充分に発揮できる乗りものであること。つまり2輪車の特長であるスムーズ・軽快・経済性を損なうことなく、4輪車の特長である居住性、快適性を合わせもつ乗りものとして具現化しました。
そのために、まず居住性の追求から基本設計をすすめました。ゆとりある乗車姿勢を確保するために居住空間とエンジン部を大胆に分離。その結果フロント1輪、リア2輪というユニークなホイールシステムとしました。ホンダはこれを全く新しいカテゴリーとして「スリーター」と呼びます。
 
スリーターの第一弾〈ストリーム〉は———
3ホイールでありながら2輪車の良さを失わず軽快な走りを実現するために数々の独自の新設計、新機構を投入しました。
  スイングジョイント機構
  ナイトハルト式のスイング軸復元装置
  リアの駆動軸につけたデファレンシャル・クラッチ
  軽量車体構造など
それらに加えて更に、3ホイールであることのメリットを生かすことによる、
  2輪車のようにメインスタンドを使わず乗用車感覚のワンタッチで操作できるパーキングロック機構
  ナイトハルトの復元力による超低速走行時の安定感、急ブレーキ時のコントロールのしやすさ
など2輪車にない優れた特性を備えることができました。
〈ストリーム〉は
  個性的に行動するアダルト
  新しい感性と楽しさを志向するヤング
  乗りものに安心感とファッション性を求める女性
などの方々にも楽しんで戴ける“第3の乗りもの”です。

車名のストリームは「新しい乗りものの流れ、方向性をつくり出すもの」の意味あいをもたせて名づけました。
ストリーム




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