RACOON - 1994.12

RACOON
RACOON
 
ペダル・アシスト機構の仕組み

 ペダル・アシスト機構は、大きく2つに分けて、踏力とペダルクランク回転数の検出によって必要な駆動補助力の大きさを算出する装置と、必要な電動駆動補助力を発生する装置とから構成されています。
 必要な電動駆動補助力は、踏力センサーによる踏力の検出とクランク回転数センサーによるペダルクランク回転数の検出によって得られたデータをコントローラに入力し、演算をすることによって算出します。
 そして、コントローラ内のモーター通電回路を通してモーターに通電させることでモーターを回転させ、必要な駆動補助力を発生させ、それをワンウェイクラッチを通して踏力と合成させます。さらに、その動力は、従来の自転車と同様にチェーンに伝達され、ハブ内装の3段ギア(軽・平・速)を介して後輪を駆動する仕組みとしています。
 また、この補助力は、ギアが「速」の場合では、車速が0km/h〜15km/hの範囲では人力1に対して1以下の補助力を出力し、15km/h〜24km/hの範囲では速度が上昇するとともに徐々に補助力が減少し、24km/hを超えると補助力がゼロになり踏力のみの走行になるように設計されています。


ペダル・アシスト機構の構造図 ペダル・アシスト構成概念
ペダル・アシスト機構の構造図 ペダル・アシスト構成概念
踏力の検出
 駆動補助力が作動するのは、メインスイッチが「入」の状態で、乗る人がペダルへ踏力をかける発進時や加速時、走行時などの場合です。そこで、ペダルの踏力を検出するために、クランク軸と同軸上にトーションバー(捩れ棒)を配置。このトーションバーは、左右のペダルに交互に踏力がかかると、クランク軸のトルクによって、軸を中心とする回転方向に捩れ変位を発生します。この変位をカムの働きで直線的な動きに変え、移動量検出型のセンサーで踏力の大きさを読みとりコントローラに電気信号として伝達する仕組みとしています。


踏力の検出の仕組み
踏力の検出の仕組み


クランク回転数の検出
 ある踏力が検出された場合、どの程度の電流をモーターに流せば良いかは、現在の車速がどの程度であるかに左右されます。すなわち、車速が変わればモーター回転数も変わってくるために、同じ駆動力を得ようとした場合、モーター回転数に応じて通電電流をコントロールする必要があります。
 そこで、ペダルクランクにパルスローターギアを設置。パルスローターギアが回転すると、パルスローターの歯の動きから回転数を読みとって非接触型のクランク回転センサーから電圧が出力されコントローラに送られることで、現在のペダルクランクの回転数がどの程度であるかを検出するようになっています。
コントローラの働き
 コントローラは、踏力センサーで検出したペダルの踏力の大きさと、クランク回転センサーが検出したクランク回転数に応じてモーター出力を決定します。また、同時にバッテリーの電圧変化を読みとって電圧補正を行った後に、モーターに通電し、適正な駆動補助力を発生させる制御を行います。
モーターについて
 コントローラの制御に基づいて、モーターはバッテリーに蓄えられた電気エネルギーによって駆動力を発生します。このモーターにはDCブラシタイプを採用しています。
電動駆動補助力の伝達機構図
電動駆動補助力の伝達機構図





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