PRELUDE - 1996.11

PRELUDE
PRELUDE

Vehicle dynamics

CHASSIS

意志に忠実なコントロール性能と、快適な乗り心地を実現するために
4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンションをさらに熟成させました。
ボディ剛性強化にあわせ、各部を強化するとともに旋回初期から
高いコーナリングフォースを発生させ、コーナリング時の操縦安定性を向上させました。
また、プレリュードが先駆けてきた4WSもさらに進化させています。



ハンドリングと乗り心地の高次元バランスから生まれるしなやかな走りのためにダブルウイッシュボーン・サスペンションを大幅にリファイン
ホンダが世界に先駆け、FF車として初めて4輪に採用した、ダブルウイッシュボーン・サスペンション。フリクションロスが少ないことや、ダンパー性能を最大限に引き出すことのできる利点を活かしながら、このサスペンション形式が持つ設計自由度の高さをフル活用しました。
大幅なボディの高剛性化、ロープロファイル16インチタイヤの採用(Type S/SiR)により、さらに安定感のあるしなやかな走りを実現。また、各部の剛性アップによりフラットな乗り心地とともにステアリングインフォメーションも向上。よりスポーティでコンフォータブルな走行を可能としました。
サスペンション透視図


サスペンションチューニングの主なポイント。

フロントハブベアリング剛性アップ。
ステアリングレスポンスを向上させ、カチッとした剛性感ある走りの実現のために欠かせないチューニングとなる、ハブベアリングを剛性アップ。スポーツマインドあふれるステアリング操作感を実現しました。

フロントコンプライアンスブッシュ高減衰化。
高減衰ラバー採用により、高速走行の快適性向上に欠かせない高速ブレーキスタビリティ、高速時のステアリングの振動などを改善しました。

フロントアッパーアーム取り付け点剛性アップ。
取り付け方法の変更で剛性をアップ。より確かなステアリングインフォメーションを得るとともに、操舵応答性も向上しました。

リアフォースステア特性向上。
トー変化特性をファインチューニング。トーインとなる特性を与えることで、旋回初期からタイヤにコーナリングフォースを発生させます。コーナリング時の操縦安定性をさらに向上させるチューニングです。

リアスタビライザーピロボール支持。
片ピロボール支持を両ピロボール支持に変更。摺動抵抗の減少によりスタビライザーの高効率化とシャープな応答性を実現しました。

フロントダブルウイッシュボーン・サスペンション
フロントダブルウイッシュボーン・
サスペンション
リアハブベアリング剛性アップ。
ベアリングスパンを大幅に拡大することで、キャンバー剛性を32%向上。これにより、ロール感、応答性、旋回ブレーキ性能などがアップしました。

フラットライド(市街地モード)
フラットライド
市街地を模したテストコースを走行したときの振動乗り心地。新プレリュードの方が大幅に振動低減効果が大きい。

ロータリーバルブ式パワーステアリングを採用。
ハンドル切り始めの応答性に優れ、リニアリティに富むエンジン回転数感応型ロータリーバルブパワーステアリングを採用。しっかり感と同時にリニアなステアリングフィールを実現しました。

205/50R-16専用タイヤを開発、採用。
ロープロファイル16インチタイヤ採用(Type S/SiR)により、応答性、限界性能を向上させています。また、乗り心地や騒音なども充分に配慮。現行の55タイヤに対し同等以上の快適性を実現しました。

さまざまな路面状況での走行性を向上させるビスカスカップリング式LSD。
マニュアル・トランスミッション専用のメーカーオプションとしてビスカスカップリング式のLSDを採用しました。
メカニカル方式と比べ、スムーズな差動制御が行える特長を活かし、スポーティな走行ではタイトコーナーでの立ち上がり加速を滑らかに向上させます。また、スプリットμ路(片方のタイヤが滑りやすい路面にあるとき)での発進を容易にすることができます。


剛性感のあるブレーキフィーリングと旋回中の制動性能を向上させた新ABS。
制動力を高め、さらに快適な走りをサポートするために、ABSを新開発しました。
システムを小型軽量化するとともに、制御応答性を向上。各車輪に対し、より最適な圧力コントロールを実現しました。また、ブレーキペダルレシオの見直しとともに、新たなブレーキパッド材を採用。制動力の向上と旋回中の制動による姿勢変化の減少、ブレーキペダルキックバック感を抑えた違和感のない操作フィーリングを実現。
これにより、制動性能、操縦安定性が高次元でバランスし、旋回中のブレーキに対しても、よりニュートラルラインをキープできる優れた性能を獲得しました。
直接制御型
直接制御型(環流式)
ブレーキフィーリング向上の概念図
ブレーキフィーリング向上の概念図


機能および応答性をさらに進化させた4WS(4輪操舵システム)。
世界に先駆け、いち早く4WSを導入し熟成を重ねてきたプレリュードの4WSシステムの制御を、今回さらに進化させ、大幅に機能アップを図りました。

低速時の後輪舵角を最大8度とし、トップレベルの最小回転半径を実現。
時速30km以下の場合、4WSは取り回し性向上のために後輪を前輪と逆位相に転舵します。今回、操舵アクチュエーターのストロークアップ、制御システムの精度アップにより、時速7km以下の後輪最大舵角を従来の6度から8度としました。これにより、4.7mというクラストップレベルの最小回転半径を実現しました(同2WSは5.5m)。
4WSと2WSの最小回転半径比較概念図
4WSと2WSの最小回転半径比較概念図

新制御法により、応答性、収束性をさらにシャープに。
時速30km以上の場合、4WSは切り始めの回頭性を向上させたりアンダーステアを抑えるなどのハンドリング特性の向上、レーンチェンジなどのフラつきを効果的に抑える安定性向上のために同位相から逆位相まで微妙なコントロールを行います。今回、後輪の切れ角制御方法の改善により、過渡入力時の応答性が向上。またアクチュエーター制御により、トー剛性を高めることで、さらに正確な後輪転舵が行えるようになりレーンチェンジなどの収束性が一段と向上しました。
新制御概念図
新制御概念図
現代制御理論(周波数依存評価関数型2自由度最適サーボ)の適用により、定常特性、安定性、応答性、ロバスト性を最適化。
Ks:状態フィードバックゲイン、Kz:積分打ち消し状態フィードバックゲイン、Ksf:重み関数フィードバックゲイン、Kfz:積分打ち消し重み関数状態フィードバックゲイン、Kf:フィードフォワードゲイン、Gi:積分ゲイン



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