LEGEND - 1990.10

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CHASSIS

サスペンション透視図

〈サスペンション開発のねらい〉
しなやかで深々とした、なめらかで締まりのある乗り味の実現。
走行中に出会うさまざまな外乱に対して動じることのない、群を抜いた安定性の確保。
ボディサイズを感じさせない軽快感と、正確な操縦性の維持。
これら、いわば柔と剛の相矛盾する要件を満たした、高品位な乗り味、卓抜の運動性能の高度な両立をめざしました。

乗り味、運動性能に新しい次元を築く新開発フラットライド4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンション。
4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンション。レジェンドがこのサスペンション形式を選んだ理由はなにより、設計の自由度が高く狙い通りのジオメトリー設定ができる、ダンパーを外力によるフリクションから解放し、つねにサスペンションのなめらかな上下動が維持できるという、その基本的な資質の高さにあります。すなわち、乗り心地と操縦安定性という相反する要件を高度に両立させ、高級ドライバーズカーのサスペンションとして理想のチューニングが可能な、基本ポテンシャルをそなえた形式だということです。しかも、ホンダには4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンションを乗用車にいちはやく採用し、培ってきた技術ノウハウがあります。新レジェンドのサスペンションを開発するにあたり、そのテクノロジーのすべてを結集。従来形式の優れた点は継承しながら、ボディへの取付け部まで含むサスペンショントータルとしての見直し、縦置エンジンのメリットを活かした大転舵角の確保、ダンパー/スプリング特性の大幅な向上、そしてジオメトリー特性の最適化など全般にわたって改良を実施し、まったく新設計しました。まさに、フラットライドといえる上質な乗り味でありながら、きわめて高い運動性能を実現。ここに、高級ドライバーズカーの走りに新たな可能性を拓くサスペンションシステムを完成させました。

フロント・ダブルウイッシュボーン・サスペンション。
ジオメトリー選定の自由度が広く、しかも前後コンプライアンスをたっぷりとりながら高いキャスター剛性が確保できるなど優れた特徴をそなえる、ロアアームとアッパーアームの間隔を広くとったワイドスパン設計を踏襲。その上でタイヤの切れ角を大きく設定できるL字型ロアアームを採用し、新設計の高応答ダンパー/低バネレート・スプリングを組み入れました。さらに、ボディとの結合は軽量高剛性アルミサブフレームを介してNVH対策を図るなど、構造上は従来形式の利点を残しながら基本から見直し、サスペンションのポテンシャルをトータルに引き上げています。

サスペンション上面図 サスペンション後面図 サスペンション

リア・ダブルウイッシュボーン・サスペンション。
一方リアは、基本的なリンクのとり方は従来形式を受け継いでいるものの、アッパーアーム、ロアアームをホイール径内に配したコンパクトなインホイール・ダブルウイッシュボーンタイプを新設計しました。ハブキャリアが小型化したことでバネ下重量が軽減され、卓越した乗り心地を獲得。アッパーアームをサブフレームを介してボディへ取付ける構造としたことにより、ロードノイズを低減。さらに、アッパー、ロアアームともにサブフレームへ取付けたことによってサスペンション精度を高めるなど、多くのメリットを生んでいます。また、ブレーキング時の乗り心地向上などを目的としてラジアスロッドを横V字型にし、後端をロアアームおよびアッパーアームに取付ける新構造としました。ダンパーはフロント同様に応答性を高め、スプリングも低バネレート化。高品位な走りの実現をめざし、乗り心地改善のためのアプローチを随所に施しています。

サスペンション上面図 サスペンション後面図 サスペンション



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