FACT BOOK
FCX CLARITY
FCX CLARITY 2008.11.23
Free3 Driving
コンパクト化を実現しながら、高出力、高トルク、高回転、そしていっそうの静粛性を達成した、新構造の駆動モーター。

力強い加速性能や最高速度の向上、静かで上質な走りなどとともに、パッケージングのためのコンパクト化を目指し、新構造のモーターを開発しました。リラクタンストルク併用低損失磁気回路と全域フルデジタルベクトル制御の適用により、広範囲での高効率と高出力を両立するためにローターやステーターを新設計。ローター磁石の独自の形状や配置によって、高出力、高トルク、高回転を実現しました。これにより、最高出力100kWと圧倒的なトルク密度、出力密度を達成。同時に高周波領域の共振点をなくすことで、静粛性を高めています。

コンパクト化を実現しながら、高出力、高トルク、高回転、そしていっそうの静粛性を達成した、新構造の駆動モーター。

■トルク概念図

トルク概念図

■モーター出力特性

モーター出力特性

新設計ローターにより、高出力、高トルク、高回転を実現
IPM(Interior Permanent Magnet=埋め込み型永久磁石)を採用した新設計ローターにより、インダクタンス(磁気抵抗)を下げて高出力を達成し、さらにリラクタンストルクを向上させ高トルクを達成。しかも、高エネルギーな磁気特性が、いっそうの高トルク化とコンパクト化に寄与。これにより、従来比で出力密度が50%、トルク密度が20%向上しています。また、極数を減らし磁石の幅を大きくしたことによる磁石への応力に対応するため、IPMの外側までヨークで覆いながらセンターリブを設けることで剛性をさらに高め、従来構造を上回る高回転化を実現しました。

■ローター応力分布比較

ローター応力分布比較

新設計ステーターにより、高トルク化、高効率化に貢献
ステーターは低鉄損電磁鋼板を採用するとともに、スロット部の占積率(スロット断面積に対する銅線の占める割合)を向上させ、巻線の抵抗を低減。これにより、高トルク化と高効率化に貢献しています。

■NV性能、高品位な加速音

NV性能、高品位な加速音

極数を減らして共振点を排除し、静粛性を向上
ローターの極数(磁石)を従来の12極から8極に減らすことで、共振点を使用回転域から排除。これにより優れた静粛性を具現化し、高出力化との両立を果たしています。

画期的な発想により大幅なコンパクト化を達成し、モーターの駆動力をダイレクトに伝える同軸ギアボックス。

モーターのローターシャフトを中空構造にし、その中にドライブシャフトを貫通させ同軸化を実現しました。このモーター駆動ならではの画期的な新構造によって、モーターとギアボックスをコンパクトに一体化するとともに、モーターの高出力・高回転の駆動力を、高効率にドライブシャフトに伝達。さらに、ベアリングの工夫やローターオイルシールの削減などによってフリクションを低減し、伝達効率をいっそう向上するなど、よりダイレクト感のある走りを生み出しています。

■ギアボックス構造比較

ギアボックス構造比較
シンプル操作で扱いやすいシフト・バイ・ワイヤを採用。

電気制御を活かしたコンパクトなシフトユニットを実現し、シフトレバーをメーターバイザーに配置しました。固定ギアレシオのため可能となったシンプルな操作とともに、軽い操作荷重、短い操作ストロークで、極めて扱いやすいシフト操作を実現しています。また、シフトレバー、スタートスイッチ、パーキングスイッチを集中配置。他の操作系も機能ごとにゾーニングして配置することで、運転中の誤操作防止に貢献しています。

シンプル操作で扱いやすいシフト・バイ・ワイヤを採用。
メーター類は撮影のため点灯。画面はハメコミ合成です。

■シフトポジション

 
シフトポジション シフトレバー
シフトレバー
パワフルなアシストを持続し、エネルギー回生にも優れたリチウムイオンバッテリー。

燃料電池スタックの出力を、パワフルにアシストするリチウムイオンバッテリーは、モーターの優れた発進加速をいっそう伸びやかに引き上げます。また、エネルギー容量の増加とともに、回生と油圧ブレーキの配分を制御する油圧協調回生ブレーキシステムの搭載によって、従来のウルトラキャパシタに比べて減速時の回生エネルギーの回収率を13%向上。全減速エネルギーのうち65%もの回収を実現しました。

■アシスト時間比較

アシスト時間比較

■回生エネルギー回収率グラフ(日本仕様)

回生エネルギー回収率グラフ(日本仕様)
10・15モード走行によるHonda車での比較

降坂路での回生制御によってブレーキ/アクセルの頻繁な操作を大幅に抑制

アシスト電源のエネルギー容量の増加により、回生制御の自由度を高めたことで、降坂路のペダル操作を軽減する加速抑制機能を新たに設定しました。勾配状況と車速を判断し、アクセルOFFの状態から車速が上がり過ぎて頻繁なブレーキ操作を必要とすることがないように、エンジンブレーキ効果のような加速抑制を行います。この際、アクセルやブレーキの操作をした後の車速を維持するように、減速回生量を自動的に増減制御します。

■降坂回生制御比較

降坂回生制御比較

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