CIVIC&CR-X - 1987.09


CIVIC & CR-X
FACT BOOK
CIVIC&CR-X
SUSPENSION

走りと乗り心地を高次元でバランスさせる
4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンション。
(リアはマルチコントロール式)



操縦性、安定性、乗り心地、スペース効率。
すべてに、次代の脚まわりを追求。
走りの究極といわれるF-1でも採用されている、ダブルウイッシュボーン・サスペンション。このきわめて高いポテンシャルをもつサス形式を、どこまでも気持ちのよい爽快な乗り味と、スポーティな走りを追求するシビック&CR-Xの脚として、新たに開発しました。開発にあたり着目したポイントは2つ。まず、サスペンションの重要要素であるアライメント・コントロール・ファクターをそれぞれ独立して最適に設定できること。そして、ダンパー/スプリング・ユニットを車輪の支持に使わずにすむため、フリクションがほとんどなく、ショックの吸収という本来の目的にのみ使えること。これらのメリットを徹底して追求することで、エンジンの誇る性能を最大限に引きだしながら、俊敏で滑らかなハンドリングと安定感ある走り、そして引きしまったフラットな乗り心地を実現しています。さらに、路面からの入力に対する振動の低減および遮断というテーマに対しても、充分なホイールストロークとコンプライアンス、バネ下荷重の軽減によってボディの不必要な揺れ動きを抑え、ダンパー機能を分離させたこととあいまって、快適な乗り心地を生みだしています。また、走行条件に応じて、タイヤの動きを最良の状態にコントロールするジオメトリーを設定。キャンバーおよびトー・コントロール機能を向上させ、タイヤの性能を最大限に引きだします。またシビックの4ドアと5ドアのリアルタイム4WD車にも同形式のサスペンションを採用。そのマッチングは絶妙です。
さらにホンダは、サスペンションとしての機能を追求しながら、かつてない高いスペース効率を達成。低く、フロア下に部材のない構造とすることで、低フロア化をもたらしています。
後面図
■後面図

上面図

■上面図


イラスト:3ドアSi
イラスト:3ドアSi



高い運動性能を追求した、
新世代のフロント・ダブルウイッシュボーン・サス。


フロント・サスペンションにとって大切なことは、リニアな応答性と操舵感覚、優れたコーナリング性能、直進安定性、そして低ボンネット化のためのスペース効率です。新しいシビック&CR-Xでは、アコードなどで採用しているワイドスパン型のダブルウイッシュボーンをさらに発展させ、アッパーアームを、ダンパーを取り囲むように配置したA型アームに変更。新しいスタイルの新世代ダブルウイッシュボーン・サスペンションとして完成させました。このサスペンションは、ロール時の対地キャンバーを0(ゼロ)に近づけることで、コーナリングの限界性能を高め、また同時にゼロ・バンプステアとすることにより、外乱の影響を減少させ常に安定感のある高速直進性を実現。さらに、ダンパーをショック吸収機構のみの目的に独立させたことで生まれる、フリクションの少ないフラットライドな走りは、ダブルウイッシュボーンならではのもの。その乗り心地のよさと高い操縦性・安定性は、きわめて水準の高いものです。また、A型アッパーアームとダンパーの直立配置により、コンプライアンスブッシュへの分力を軽減。コンプライアンス特性をさらに安定化し、乗り心地を向上させています。そして、ハイキャスター(3°)、ロートレール(5mm)ジオメトリーにより、直進安定性と操舵レスポンスも一段と高めています。さらにはスペース効率、低ボンネット化についても徹底追求。その結果、これまでに比べ、フロアで20mm※1、ボンネットで30mm※1下がるという、数値を達成しています。また、リンク配置の最適化により、大舵角に対応。最小回転半径を4.8m※2、4.5m※3とし、ロングホイールベースでありながら、小回り性能を高めています。

※1 シビック3ドア ※2 シビック3ドア、4ドア、5ドア ※3 CR-X


イラスト:シビック3ドアSi

(1)

A型アッパーアーム

(2)

ナックルアーム

(3)

低フリクション&ガス封入ダンパー

(4)

ダンパーフォーク

(5)

フロント・スタビライザー

(6)

ラジアスロッド

(7)

ロアアーム

(8)

タイロッド

(9)

ベンチレーテッド・ディスクブレーキ
キャンバー変化 トー変化
イラスト:シビック3ドアSi
FRONT SUSPENSION
■キャンバー変化 ■トー変化




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