Honda CIVIC CVCC - 1973.12

CIVIC
CIVIC CVCC 1973.12
CVCCとは 燃料供給法
 左図に示すように発生する有害ガスと使用される空燃比とは密接な関係にあり、排気ガス対策では、いかように燃料を供給するかが、対策上の一つの決め手であることが知られています。
 CVCC方式においては、原則としてシリンダーの外で混合気にして供給する方法の一つとして、現在はもっとも普及している気化器を採用していますが、このほか、最近使われはじめている電子式燃料噴射ポンプ、あるいは機械式の燃料噴射ポンプも吸気管内へ噴射する方法であれば同様に使用可能です。もちろんマスキーレベルをカバーする気化器ともなれば従来の気化器よりさらに高い精度が要求されるのは当然ですが、近来公害問題がとり上げられて以来、気化器に関する技術も長足の進歩をしていますので、CVCCに関しての燃料供給装置としては気化器がいまのところ、もっとも適しているといって過言ではないと考えます。というのはいったん気化器に限定して進めると、
(1) 混合気の導入の仕方
(2) 点火栓の構造
(3) 点火寸前の混合気の態様
(4) 点火装置の仕様
に関して従来蓄積された技術がフルに活用できる利点があり、かつ始動およびウォームアップ技術も通常エンジンの技術が利用できることとなるのです。
CVCCとは 燃料経済性について
 CVCC方式のもう一つの根幹となる思想の中に排気ガス対策を施しながら燃料消費量を犠性にしない、できれば燃費を向上したいという二重の希望がありました。
 結論からいいますとCVCC方式では、排気ガス対策を行ないながら燃費も充分かせぐという両方が達成されています。
 元来、自動車のエンジンとしては低公害であることはもちろん必要ですが、やはり本来、自動車の動力源として要求されている動力特性を充分満足することが絶対必要であるとともに、最終的には燃料経済が確保されることが、もっとものぞましいことはいうまでもありません。

 ところが一般に知られているように、排気ガスの低減をはかると大なり小なり、燃料消費量が増加する傾向にあり、とくに燃焼最高温度と関連するNOxの抑制は直ちに燃料消費の増大を招くといわれてきました。したがってCVCC方式を選ぶ条件の一つとして燃料消費の増大を回避しながら、CO、HC、NOxを同時に減らすという目的があったわけです。元来3バルブ方式のエンジンは燃料消費の節減を目指して考案されたものであり、事実、排気ガス対策をあまり考慮しない場合、またとくにNOxの発生をあまり気にしない場合は、この種のエンジンは抜群の燃費性能を示し得るのです。したがって本来、燃費性能のよいこの方式をベースとして排気ガス対策を進めるならば、結果として従来エンジンにまさるとも劣らないものができるはずであるという見込みがありました。はたしてCVCCエンジンではすぐれた燃費性能を確保できたことは方式の選択がまさに適中したものと考えます。
 このようにCVCCエンジンは従来エンジンとはまったく異なった空然比範囲で作動し、エンジン内部でクリーンな燃焼を行なうと共に、燃費運転性も共にすぐれたエンジンシステムであるといえるのです。
CVCCとは 触媒などの後処理を避けた理由
 自動車の進歩の方向として、できるだけサービス・フリーの方向へゆくことがのぞましいはずです。したがって公害対策を行なう場合でもそのために交換部品が増加したりそのための費用がかさむことは好ましくないことです。
 一方触媒の特性をみた場合、この種の装置は新品の時とそれが使用されてゆく間に機能の差を生じ、必ずといってよいほど性能劣化する宿命をもっています。
 将来触媒における技術が進歩して、それが劣化するにしても半永久的というか、車の寿命と同じ位長持ちするようになれば交換もいらなくなるわけですが、現状ではまだそんな性能は到底望めないことなのです。したがってできれば交換部品をふやしたくないというしごく単純な要求が、この種の後処理装置を回避する根本思想でありました。その上触媒の使用に関しては、触媒用金属の確保、触媒の交換、回収、二次公害への考慮など解決すべき多くの問題を有しており、そのような理由も重なってCVCC方式では極力触媒使用を避けたわけです。

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