CITY - 1982.09

CITY
CITY

シティは、ニュースにあふれてる。

●エンジン(9)

(4)ニューコンバックスエンジン

(構造)

高出力を支えるマッスルエンジン構造

CONBAX TURBO
ハイパーターボのエンジンは、ターボ専用に新しく設計をしなおしたニューコンバックスエンジンです。
ファンネル型燃焼室と、すぐれた低フリクション性能を実現するベースとなった、66mm×90mmという超スモールボア・超ロングストロークの基本コンセプトを受け継ぎながらも、50%アップの高出力をフルに引き出すため、その90%以上の部品を新設計しました。
一般にこれだけの高出力化に対応するためには、各部品とも大型になりやすく、エンジン全体も大きく重いものとなり、フリクションロスも増大するのがふつうです。
そこでハイパーターボでは、次のような新構造や新材料の採用により、各部品の強化を図りながらも、低フリクション性能と軽量化、ならびにコンパクトなエンジンレイアウトを実現しています。エンジン構造として、強く、しなやかで、ムダのない、いわば鍛えあげたマッスル構造とも言うべきもので、このことが高出力化と燃費性能の向上のための効果的なベースとなっているのです。

強化と低フリクション性能を両立させた「新設計ピストン・クランクシャフト系」
耐熱性の高い「チタニウム添加アルミ合金シリンダーヘッド」
超軽量「マグネシウムヘッドカバー」
軽量でスペース効率の高い、国内初のエンジン直接マウント式の「樹脂製エアクリーナー」
スペース効率の高い「高性能新型ラジエター」
軽量の「高回転型・新ACジェネレーター」
高回転振動を大幅に低減する「フレキシブルパイプ付直下型キャタライザー」
排気効率が高い「小型シンプルサイレンサー」

コンパクトでシャープなエンジンのデザインが、エンジンルーム全体の機能美を生み出しています。

新設計ピストン・クランクシャフト系

新設計ピストン・クランクシャフト系
出力が50%上がるということは、そのぶんピストンにかかる熱負荷が増えることになります。また、ピストンリングのすき間から下へ逃げようとする燃焼ガスの圧力や量も増えてしまいます。ハイパーターボでは、これらに対応する方法として、ピストン重量の大幅な増加を招く方法やピストンリングの張力をあげるといった安易な方法ではなく、ピストンからシリンダーへの熱伝達を出来るだけ高めるとともに、ピストン自体の熱バランスが最適になるよう設計し、構造を工夫しました。
その結果、ピストン重量の増加もなく、フリクションの増大を回避することが可能となっています。これは、ほんの一例で、そのほかクランクシャフト、カム・バルブ系など、エンジンすべての運動部分についても、計算と実験の積み重ねにより、諸元や設計構造の最適化を図り、あのコンバックスエンジンのもつきわめて低いフリクションと同等の性能を維持しながら、高出力をしっかりと受けとめることに成功しているのです。
あわせて、過給エンジンであっても、無過給エンジンと同等以上の、すぐれたオイル消費率を実現しています。

チタニウム添加アルミ合金シリンダーヘッド

ピストンの場合と同様に、シリンダーヘッドにかかる熱負荷も50%増加します。それによって、いくつかの耐久上の問題が発生しやすくなります。
ハイパーターボでは、重量アップなどをともなわずにこれに対処するため、一つは、シリンダーヘッド全体の熱バランスを最適化するよう、冷却水の流れを工夫するとともに、新たにチタニウム添加のアルミ合金を量産用に開発し、シリンダーヘッドの素材として採用しました。
これにより、高温での靱性にすぐれ、信頼性の高い軽量シリンダーヘッドが生まれたのです。



← 前のページへ --- 目次へ --- 次のページへ →