CITY - 1982.09

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●エンジン(3)

(1)ニューコンバックスエンジン

(燃焼)

コンバックスエンジンの高効率燃焼システムの進化

コンバックスエンジン
エンジンが高い出力を出すためには、シリンダー内でより多くの燃料を燃やすことが必要です。もちろん、モノが燃えるためには酸素がいるわけですから、それに応じてたくさんの空気を送りこむことが出来れば、すなわち高い出力を得られることになります。
そのための最も簡単な方法としては、エンジンのシリンダーの容積を大きくする、つまり排気量を大きくするやり方があります。
もっともこの方法では、エンジン自体が大きくなり、重くなったり、またそれを支えるだけのボディ構造が必要となってきます。
では、小排気量で高い出力を得るためには、どうすれば良いか。
ここで若干の補足をしますと——エンジンが吸入する空気(混合気)の量は、シリンダー内をピストンが上下に移動する容積(排気量)にあたりますが、実際に吸入される空気量はこれを下まわります。この比率を充填(じゅうてん)効率と呼び、たとえば1,000ccのエンジンが1回の行程で850ccの空気量を吸入したとすると85%の充填効率が得られたことになり、この数字が大きいほど高出力となります。そのためには、吸入抵抗を出来るだけ小さくするなど、いろいろな方法がありますが、ただし、ほとんど85%〜95%の範囲にとどまってしまいます。
そこで、この充填効率を110%にも120%にもするために、エンジンへ強制的に空気を送りこむ、つまり過給することが考えられます。
この装置を過給機と呼び、排気ガスの圧力を利用して過給する方式をターボチャージャーと言います。
いわばターボチャージャーは、排気量を上げずに充填効率を上げて出力を高めるための、きわめて有効な手段であると言えるわけです。
ところが、単純にターボチャージャーを装着すれば、必ず高出力を得られるかと言えば、それだけでは充分でありません。高出力を生みだすためのエンジンの燃焼室そのものの性能が、この能力を大きく左右してきます。もっと詳しく言えば、ターボチャージャーで過給した分だけ、シリンダーに吸入される燃料と空気の量が増すわけですから、それを圧縮した場合に、圧縮後の圧力ならびに燃焼圧力が増加、ターボチャージャーを装着しないエンジンで高圧縮比化を図る場合と同様に、ノッキングの問題が生じてくるからです。
したがって、エンジンの燃焼室のアンチノック性能が、ターボチャージャーを付けてどこまで高出力化を図れるかの、最初の、そして最大のカギとなります。

過給下の燃焼と出力について

ターボチャージャーで強制的に空気を送りこむ場合に、その送りこまれる空気の圧力を過給圧と言います。
そして、この過給圧が高いほど、エンジンに送りこまれる空気の量が、比例して増えることになります。つまり、出来るだけ過給圧を高めることが出力向上につながる、と言えます。
ところが、過給圧を高めると、シリンダー内の混合気の圧力が高くなり、圧縮ならびに燃焼時の圧力も高くなって、ノッキングを起こしやすくなります。
ノッキングは、燃焼室内の火炎の到達しにくい部分の混合気が、燃焼圧力の上昇とともに、火炎が到達する前に自己着火して大きな圧力変動を起こし、エンジンの損傷をもたらすものです。
過給下の燃焼
ターボチャージャーで過給された空気は、吸気通路内で燃料と一緒になり、混合気としてシリンダーに送られます。
出力
そして、ノッキングの起こりやすさは、燃料の種類や燃焼システム(燃焼方式や燃焼室形状)、点火時期などによって左右されます。
まず、燃料の種類で言えば、ハイオクタン価の有鉛ガソリンを使用すれば、過給圧が同じ場合、無鉛レギュラーガソリンに比べてノッキングがかなり発生しにくくなります。もっとも、国内では無鉛レギュラーガソリンが前提となっていますから、単純に燃料に頼るわけにはいきません。
次に、デバイスなどを使って点火時期を遅らせる方法です。
この方法では、大きな効果を得るためには大幅に点火時期を遅らせなければならず、それでは燃焼効率がきわめて悪くなって、肝心の出力を大きくそこなうことになってしまいます
これでは何ら、本質的な問題解決とはなりません。
そこで、ターボチャージャーを装着し、ターボでなければ出し得ないレベルの高出力を得るための最も基本的で最も効果的な方法としては、過給をしないエンジンが圧縮比を高めていく場合と同様に、どうしてもアンチノック性能の高い燃焼システムが必要不可欠となってくるわけです。
すでにご承知のように、コンバックスエンジンは、無鉛ガソリン車で世界初の圧縮比「10」を実現したように、本来がアンチノック性能にきわめてすぐれたエンジンです。
ハイパーターボでは、この基本燃焼原理を生かしながらも、新たに過給エンジンとしての理想的なあり方を求め、圧縮比と副室諸元を再設定し、さらに燃焼室形状を進化させるなど、無鉛ガソリンを使用する過給エンジンとしては世界でも類を見ない最大過給圧0.75kg/cm2、出力50%アップを実現しました。

COMBAX



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