ACCORD/ACCORD Euro-R/ACCORD WAGON FACT BOOK
ACCORD/ACCORD WAGON 2002.10.10


高速道路における運転負荷の軽減によって快適性と安全性に寄与することを目的とした、高速道路運転支援システム、HiDS。Hondaが世界に先駆けて開発した技術で、1997年に発表、2000年3月に運輸省(現・国土交通省)大臣認定を取得。
今回のアコード・シリーズから採用していきます。高速道路における長時間の運転は、ドライバーの疲労や集中力の低下を招き、認知・判断ミスの要因となります。HiDSでは、車速を制御して先行車との車間距離を適切に保つ「IHCC(インテリジェント・ハイウェイ・クルーズコントロール)」と、車線の維持をアシストする「LKAS(レーンキープ・アシストシステム)」によって運転負荷の軽減を行い、疲労による「うっかり・ぼんやり」といったミスを防ぎ、ひいては事故の防止に寄与します。
HiDSの車線維持支援機能(LKAS)は、常にドライバーの運転を中心に考えて支援を行うという、新しいコンセプト「ドライバーとシステムのインタラクション(相互作用)」によって開発されました。これにより、ASV(Advanced Safety Vehicle)を提唱する国土交通省の新しい認可を取得し、ほとんどの高速道路で使用可能なアシストシステムとして実現しました。


「人間中心」というコンセプト。運転するのはあくまでもドライバーです。
システムの性格上、自動運転のように誤解されがちですが、HiDSはあくまでも人間を尊重し、人間の負担を軽減し、人間のエラーを未然に防ぐために、いまクルマができる最大限の支援を追求した技術です。そのため、ドライバーの積極的な運転操作に対して速やかに補助を行う一方、ステアリングから手を離したり操作がない場合には警報を発し、運転を促します。
実際に、技術的には自動運転、つまり手放し運転のシステムも可能です。
しかし、常にドライバーの運転操作を優先し、意志を尊重したうえで、高速道路での運転負荷を軽減する、というのがHiDSの在り方です。
だからこそ、運転操作を妨げないようにアシストトルクのフィーリングにこだわり、メーターパネルのインターフェイスやステアリングホイール内のスイッチレイアウトにこだわりました。ドライバーに「これは快適だ」と感じていただくこと。うっかり車線を外れそうになった時に「ああ、付いていてよかった」と思っていただくことが、いちばん大切だと思います。




[HiDSの操作]
HiDSの各操作スイッチは、ステアリングホイール上にすべて配置されています。
HiDSの基本操作は、メインスイッチをオンにして、セットスイッチを押すだけです。
HiDSの作動条件範囲であれば、IHCCの車速と車間距離を自分がドライブしやすい設定にすることで、車速/車間制御機能、車線維持支援機能、車線逸脱警報機能のすべてが作動します。



[LKAS(車線維持支援機能)の概要]
フロントウインドウの上部内側に設置したC-MOSカメラで捉えた画像をもとに、まず画像のコントラストから車線の輪郭を抽出(微分処理)。次に線や点の幅、長さ、連続性などの特徴を解析し(ハフ変換)、車線であるかを判断・評価。車線維持をアシストするのに必要なステアリングトルクをECUにより算出し、EPS(電動パワーステアリング)の動きによってステアリング操作を適切にアシストします。作動範囲は65km/h以上、直線路から半径230mのコーナーで作動するので、ほとんどの高速道路での使用が可能です。また、車線から逸脱する可能性がある際には警報を発し、ドライバーに注意を促します。このシステムはドライバーの操作をベースにアシストを行い、常にドライバーの操作を尊重して作動するように設定しています。ドライバーは車線を維持するよう意識し、軽いステアリング操作によってシステムに意志を伝えることで安定した車線維持が可能となります。
C-MOSカメラ

■車線維持支援機能(LKAS)の作動イメージ
<●車線維持範囲:半径230m以上の曲線路●作動車速:65km/h〜100km/h>


[IHCC(車速/車間制御機能)の概要]
フロントエンブレム奥に内蔵した、対候性の高いミリ波レーダーにより前方距離100m、角度16度の範囲で前走車との距離を測り、車速センサー、ヨーレートセンサーにより自車の走行状態を検出。通常のクルーズコントロール同様、設定した速度を保つ走りが可能なほか、同一車線の前走車両の有無によって、車速、車間を自動制御するクルーズコントロールシステムです。

■車速/車間制御機能(IHCC)の基本制御パターン(概念図)
<●レーダー検知範囲:車両前方100m以内 ●作動車速:45km/h〜100km/h>


定速制御
  希望の車速に設定することにより、定速走行を開始。車間距離は3段階に設定可能。
減速制御
  自車線前方の先行車が設定車速より遅い場合、スロットルやブレーキの制御を行い減速。
先行車の急ブレーキや割りこみなどで減速しきれない場合は、警告音と表示でドライバーの操作(ブレーキ等)を促します。
車間制御
  先行車の車速変化に合わせて、設定した車間距離になるよう追従。
(車速の上限は設定車速まで)
加速制御
  自車線前方の先行車が車線変更した場合は、設定車速までゆるやかに加速し、定速走行に戻ります。


HiDSは前方不注意を補助する装置ではありません。車間距離制御、車間接近警報、減速能力、車線維持支援、車線逸脱警報には限界があります。
道路状況、天候状況によっては、使用できない場合があります。



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