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Honda Face Top > Case58:株式会社本田技術研究所 四輪R&Dセンター EPISODE-1

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株式会社本田技術研究所 四輪R&Dセンター

君たちはクルマというものを分かっていないんじゃないか?この辛辣な一言が新型クラリティのコンセプトを方向付けた。

「クラリティ FUEL CELL」開発総責任者(LPL) 清水 潔 主任研究員

「クラリティ FUEL CELL」開発総責任者(LPL)
清水 潔 主任研究員

Hondaの燃料電池自動車(FCV)の歴史

実験車〜第1・第2世代

実験車

1999年 燃料電池を搭載した実験車「FCX-V1」公開

1999年 燃料電池を搭載した実験車「FCX-V1」公開

世界初のリース販売車

2002年 第1世代「FCX」が世界初の米国認定を取得

2002年 第1世代「FCX」が世界初の米国認定を取得

第3世代

コンセプトモデル

2005年 第39回東京モーターショーに「FCXコンセプト」を出展

2005年 第39回東京モーターショーに「FCXコンセプト」を出展

リース販売車

2008年 日米で「FCXクラリティ」のリース販売を開始

2008年 日米で「FCXクラリティ」のリース販売を開始

第4世代

コンセプトモデル

2014年 「「Honda FCV CONCEPT」を公開

2014年 「「Honda FCV CONCEPT」を公開

市販車

2016年 「クラリティ FUEL CELL」のリース販売を開始

2016年 「クラリティ FUEL CELL」のリース販売を開始

開発責任者が自ら下した評価は、「ライバルに負けているところはひとつもない」

 Hondaの最新FCV(燃料電池自動車)「クラリティ FUEL CELL」が初めてその姿を現したのは、2015年10月の第44回東京モーターショー2015でした。前年のコンセプトモデル「Honda FCV CONCEPT」から、市販予定モデルとしてより現実的なスタイルへと変化を遂げた「クラリティ FUEL CELL」の登場は、HondaがいよいよFCVの普及拡大、市場確立へと本格的に踏み出したことを世に感じさせました。
 それを裏付けるように、2016年3月からリース販売を開始した「クラリティ FUEL CELL」は、第1号車の経済産業省を皮切りに官庁や自治体への納入が次々に進んでいます。

 HondaのFCV第4世代となる「クラリティ FUEL CELL」。開発総責任者(LPL)である清水潔(しみずきよし=本田技術研究所 四輪R&Dセンター 主任研究員)は、クルマの出来栄えを次のように自己評価します。
「居住性、トランク容量、航続距離を含む運動性能、そしてデザインまで、あらゆる面でガソリンエンジン車に引けを取らない、存在感のあるクルマに仕上げることができました。しかも運転が楽しくなる走りの良さもちゃんと備えている。競合車と乗り比べても、自分では負けているところはひとつも無いと感じています」
 もちろん親であればわが子が可愛いいのは当然。贔屓目がまったく入っていないとは言い切れないものの、清水がこれほどまで自信を持つのには理由があります。
「最もこだわったのは、“捨てない、諦めない”ということ。FCVだから仕方無い、環境車だから目をつぶろうという考えを一切拭い去って、クルマとして当然の利便性、付加価値を引き伸ばすことに全力を尽くしました。“当たり前のクルマ”でなければガソリンエンジン車と対等に渡り合うことはできない。その分スタッフはとことん追い詰められましたが、彼らが諦めずに頑張ってくれたおかげで思い描いていたクルマに限りなく近いものになりました」(清水)
 自分たちは単なるFCVを開発するのではない。所有する誰もが、運転する誰もが感動し、誇りを感じる“いいクルマ”を生み出すのだ。
 清水をはじめとする開発陣のそんな想いが結晶したクルマなのです。

忌憚のないユーザーの言葉も愛情あるがゆえ。それに応えることが次モデル開発のコンセプト。

 「ガソリンエンジン車と対等に渡り合えるクルマとしての付加価値」。この清水のこだわりの原点は、8年前の米国体験にあります。
 2007年11月、先代の「FCXクラリティ」がロスアンゼルスモーターショーで華々しいデビューを飾ったのと同時期、清水は駐在員として米国に赴任しました。直接FCVを開発するのではなく、米国における「FCXクラリティ」のユーザー拡大をサポートする立場。清水は各地を周ってクラリティユーザーに会い、意見を聞いていましたが、ある一言に愕然としました。

「君たちはこのクルマをセダンと言っているけど、セダンというものを分かっていないんじゃないか?」

 「クルマの基本形であるセダンのことを分かっていない」と言われたに等しいその一言は、清水の胸に突き刺さりました。
 「FCXクラリティ」は、燃料電池スタックを従来より飛躍的にコンパクト化し、センタートンネル内に収めることで流麗なフォルムを実現した最先端のFCV。燃料電池スタックが車体センターを貫いている構造上5人乗りには出来ないが、これ以上を望むのは無茶というもの。清水が反感を覚えつつも彼の言葉を聞き続けると、「同クラスのガソリンエンジン車に比べて荷物が乗せられない、航続距離が短い、装備が足りない」など「FCXクラリティ」の“欠点”を、いくつも挙げて詰め寄ってきたと言います。しかしその姿を見て、清水は気付きました。

「彼は本音をぶつけてきてる。これは彼の愛情だ」

 当時の「FCXクラリティ」ユーザーは、先進的なもの、新しい価値に敏感に反応し、それをいち早く取り入れることに喜びを覚えるアーリーアダプター、イノベーター層。その一人である彼は「FCXクラリティ」を高く評価しており、毎日このクルマに乗って多くの人々に見てもらいたいと思いながらも、5人乗れない、荷物が積めない、遠くに行けないといった理由で他のクルマを使わざるを得ないケースがあることを、真剣に悔しがっていたのです。

「このクルマは、セダンとしてはまだ足りないものがある」

 彼がこの辛辣な言葉を発したのは、単に「FCXクラリティ」が5人乗りでないからではない。「このクルマはセダンとして当たり前の利便性や付加価値を備えていないじゃないか。それがどんなに悔しいことか分かっているのか」彼はそう言いたかったのだと清水は気付きました。

「アメリカ人にとってクルマは自由の象徴であり、自由を実現する道具。FCVだから、未来の環境車だからという言い訳は一切通用しない。クルマとして普遍的な価値を備えていない以上、ユーザーは決して満足しないんです。彼らの本音の言葉を真摯に受け止め、その愛情に応えなければいけない。このとき、身にしみてそう感じました」(清水)

先代「FCXクラリティ」

先代「FCXクラリティ」

米国仕様車

従来モデルのシステム構成

「FCXクラリティ」は、センタートンネル内に燃料電池スタックを配置した構造(上)のため、後席の乗車定員は2名。よって前後席で4人乗りのクルマだった。

「FCXクラリティ」は、センタートンネル内に燃料電池スタックを配置した構造(上)のため、後席の乗車定員は2名。よって前後席で4人乗りのクルマだった。

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