環境への取り組み Hondaの環境コミュニケーション誌 e-dream
Earth People 雪エネルギー
 
雪もエネルギーになるって、
ご存知ですか?
財団法人雪だるま財団 チーフスノーマン 伊藤親臣
 
  取材:田端広英 撮影:羽切利夫
   
   上越市安塚区は日本有数の豪雪地帯。降雪量が少なくなった最近でも、積雪は町中で2m、山間部では4mを超えます。水を多く含むこの地方の雪は非常に重く、安塚の人たちは、長年、雪との闘いを強いられて暮らしてきました。
  しかし雪は厄介なだけのものではありません。その豊富な雪解け水は山野をうるおし、名産のコシヒカリや山菜などの大地の恵みをもたらします。晩秋の風物詩「雪囲い」や、凍った雪の上を滑る「しみ渡り」という遊びなど、安塚に移り住んで7度目の冬を迎えた私も、雪国の生活を楽しんでいます。
  そんな雪の価値を改めて見直し、故郷を自慢できるような町づくり、人づくりに活かそうという旧安塚町「雪国文化村構想」のもと、雪だるま財団では1990年より「雪冷房」の実用化に取り組んできました。
  2001年度には小学校の給食室と食堂に、2003年度には中学校の全室に「冷水循環式雪冷房」を導入しています。これは、冬場の雪を「雪室」にストックし、その融解水をパイプで循環させ、熱交換機で冷風をつくって送風するシステムです。
  とくに中学校では、熱交換装置やポンプなどの電源を太陽光発電でまかない、また雪どけ水をトイレの水に利用するなど、トータルな自然エネルギー循環システムにも挑戦しました。こうした学習環境で学ぶことで、子どもたちが安塚をより好きになり、エネルギーの有限性にも気づいてくれたらと思っています。
  2002年の新エネルギー利用法改正で、雪は新エネルギーのひとつに位置付けられました。今後は、個人住宅への雪冷房の導入も進めていきたいと考えています。また、CO2クレジット(※)のひとつとして、企業に海外の森ではなく雪国の雪を買ってもらえるようになれば嬉しいですね。
  日本の国土の50%は積雪地帯です。地球温暖化が進めば、積雪地が減り、自然環境を維持することもできません。一方で、これまで廃棄されるだけだった雪の活用で、大きな省エネ効果が期待できるのです。新しいエネルギー「雪」に、今後は注目していただきたいですね。

※ CO2クレジット:二酸化炭素の排出量を削減する国や企業同士で取引きされる証書。

財団法人雪だるま財団 チーフスノーマン 伊藤親臣
雪だるま財団の入る「雪のまちみらい館」でも、雪冷房を導入している。毎年3月に「雪室」に雪を貯蔵し、エネルギーとして活用している。
   
 
いとう・よしおみ◎1971年、名古屋生まれ。静岡大学工業短期大学部(機械工学)卒業後、編入学した室蘭工業大学の熱エネルギー工学研究室で「雪冷房」と出会う。2000年4月、新潟県上越市安塚区(旧安塚町)の『雪だるま財団』へ勤務。雪国各地で利雪技術の指導にあたっている。
「財団法人雪だるま財団」ホームページ http://www.yukidaruma.or.jp/ZAIDAN/
 
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Vol.13 2007年1月
 
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