犬に手作りごはんは良くない?メリット・デメリット、見落としがちな注意点

useful useful お役立ち情報 お役立ち情報 September.29.2023

犬に手作りごはんは良くない?

メリット・デメリット、
見落としがちな注意点

愛犬のために手作りのごはんを食べさせたいと考える飼い主さんは増えています。しかし、手作りごはんを与えることにはメリット・デメリットがあります。自己流の手作りごはんは愛犬にとって良くない場合も多いので、まずは手作りごはんを理解するために、メリットとデメリット、そして見落としがちなポイントもご紹介していきます。

手作りごはんのメリット

手作りごはんには多くのメリットがあります。これらのメリットが飼い主さんにとって手作りごはんを始める理由になっているのではないでしょうか。

ドッグフードが苦手な犬が喜んで食べてくれる

手作りごはんを始めようと思うきっかけのひとつに、愛犬の食べムラが挙げられます。様々なドッグフードを試したけれど、食べてくれないこともあると思います。食べ残してしまうと1日に必要な栄養を十分に摂ることができません。手作りごはんを喜んで食べてくれたら嬉しいですよね。

新鮮な食材で無添加のごはんを食べさせられる

こちらも手作りごはんを食べさせたい理由のひとつとしてよく聞かれます。毎日新鮮な食材を使い、保存料も含まないので、安心して与えられるという飼い主さんも多いですよね。また、飼い主さん自身で食材を用意しているので、愛犬が何を食べているのかが明確です。

ごはんから水分がとれる

手作りごはんの内容にもよりますが、肉や野菜を使用するため、ウェットフード程度の水分を含んでいることが多いです。

アレルギーの対策ができる

愛犬が食物アレルギーを持っている場合、ドッグフード選びが難しいということもありますよね。食物アレルギーに対応したドッグフードは様々ありますが、そのフードがその犬にとってアレルゲンを含まないとは言い切れません。そんな時に、愛犬が食べても安心な食材だけを使った手作りごはんなら、安心して食べさせることができますね。

手作りごはんのデメリット

手作りごはんを始める前に理解をしなければいけないのが、手作りごはんのデメリットです。手作りごはんが愛犬のためにならないこともある、ということを理解しましょう。

栄養バランスが偏ることで病気のリスクがある

まず、ごはんは愛犬の体の成長、維持に欠かせないものです。そのため、愛犬のライフステージにあった栄養が必要です。愛犬に必要な栄養素は何か、1日にそれぞれの栄養素をどのくらい摂るべきかを知る必要があります。これらを考えずに、愛犬が食べてくれる食材だけを飼い主さんの感覚で食べさせていると、栄養失調、栄養過多による肥満、他にも病気のリスクも高まる可能性があります。

食材の手配、調理が必要

愛犬に新鮮な食材を使った手作りごはんを与える場合、食材の手配をこまめに行う必要があります。また、それらを調理しなければいけません。通常の生活においては問題がなくても、飼い主さんが体調を崩す、天災などにより食材が手配できない、災害時に避難先で食材の手配と調理ができないなど、愛犬に手作りごはんを食べさせられない状況になることがあります。

保存ができない

水分を多く含んでいる手作りごはんは傷みやすく、長期間の保存ができません。基本的に作ったその日に食べさせましょう。

ドッグフードを食べなくなる

災害による避難先でドッグフードしか手に入らない、愛犬が体調を崩し、療法食のドッグフードしか食べさせられないという状況になることがあります。毎日手作りごはんを食べていた愛犬に、いきなりドッグフードを与えても食べてくれないということも考えられます。

手作りごはんの
見落としがちな注意点

手作りごはんのメリット・デメリットに続き、ここでは手作りごはんで見落としがちな注意点もありますのでご紹介します。

オイル類の考慮も忘れずに

手作りごはんに必要な食材として、肉・野菜などを想像すると思いますが、オイル類も必要です。ドッグフードのパッケージに「オメガ3脂肪酸」「オメガ6脂肪酸」と書かれているのを見たことがありませんか。

脂肪酸は、三大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)のひとつである「脂質」の成分のひとつです。
オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は不飽和脂肪酸であり、不飽和脂肪酸はバランス良く摂取する必要があり、アレルギーを予防し、皮膚炎などになりにくくします。
さらに、オメガ3脂肪酸は、腫瘍(がん)の成長速度を遅らせることにも役立ちます。手作りごはんにオイル類も忘れずに加えて愛犬の健康維持に役立てましょう。

犬が食べてはいけない食材

人にとって栄養があるものでも、犬にとっては中毒を起こしたり、体調不良を起こしたりする食材もあります。犬に食べさせられない野菜として、ねぎ類・ニラなどをよく耳にすると思いますが、野菜だけではなく、果物でも実は食べられるが皮や種は中毒を起こすものなど様々あります。与える前には、その食材にはどのような栄養があり、犬に与えても良いのかどうかを確認しましょう。

犬に与えても良い野菜、与えてはいけない野菜について詳しくは「犬が食べても良い野菜・ダメな野菜。気になる栄養素や正しい与え方」をご覧ください。

愛犬に変化が起きていないか

手作りごはんは、飼い主さんが選んだ食材で安心な反面、自分が作ったごはんが愛犬の体質に適しているのかと不安もありますよね。まずは一気に手作りごはんに切り替えるのではなく、少しだけ食べさせてみて愛犬の体重、便や尿、皮膚や被毛に変化が起きていないかを確認しましょう。

食べない原因は、
本当に
ドッグフードなのかを確認する

ドッグフードは犬が生きていくうえで必要な栄養素が含まれており、犬のライフステージに合わせて様々な種類があります。また、フードの酸化を防ぐために小分けになっていたり、嗜好性を高めるために原材料の選定にこだわったりと多くの工夫がされています。様々なドッグフードを試してみても、愛犬が食べてくれない、残してしまうという場合は、まず運動量が足りているのか、愛犬が体調不良を起こしていないか確認をしましょう。

運動量が足りていない場合、消費エネルギー量が少ないので、摂取するエネルギー量も減ります。愛犬が口内のトラブルを起こしている、病気が原因で食欲不振の可能性もありますので、動物病院に相談をしてみましょう。

頑張りすぎない、無理をしない

大切な家族である愛犬のために、役立つことをしてあげたいと考えることはとても良いことです。しかし、一生懸命に食材を用意したり、調理をしたり頑張っていても、手作りごはんも食べてくれないことや飼い主さんが体調を崩すこと、生活の負担になることなどもあります。愛犬にとっても、いつも食べていたごはんが食べられないというのはストレスにもなります。

手作りごはんのメリット・デメリットを理解し、家族で一緒に続けられるのか、食べムラがあるときだけ手作りごはんを混ぜるのか、ご褒美としてたまに作ってあげるのかを検討しましょう。そのうえで頑張りすぎない、無理をしない、飼い主さんのできる範囲で手作りごはんを作ってあげましょう。

監修:秋山 蘭

ヤマザキ動物看護大学 助教

[ 修士(獣医保健看護学)・ペット栄養管理士・CRT ]

/動物臨床栄養学研究室

修士(獣医保健看護学)を取得後、ヤマザキ動物看護大学にて動物看護学の臨床的な実習を中心に担当をする。動物臨床栄養学の教育・研究では、犬の手作り食レシピの作成や犬・猫の肥満の改善をテーマに行っている。

※このコンテンツは、2023年9月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。