

今の日本における「かわいさ」に関しては、自分なりに色々な人に話を聞いたり調査をしたことがあり、現在一つの自論を持っています。それは、例えば昔の「かわいさ」というのは愛らしいキャラクターがずっと笑っているような「かわいさ」であったものに対して、今の人の求める「かわいさ」とはそのときの自分の感情に合わせてくれる「かわいさ」ではないのか。自分が悲しいときは一緒に悲しんでくれ、うれしいときには一緒に喜んでくれるような「かわいさ」ではないのか。ということです。
「PUYO」をデザインするにあたっては、従来の押し付けがましい「かわいさ」ではなく、時と場合によっていろいろな感情を持つ人に対してクルマが拠りそってくれるような、ニュートラルな「かわいさ」を意識してデザインを進めました。

特にフロント廻りは、光が浮き上がるヘッドライトのつぶらな表情と、口を一文字に結んだような微妙に前に盛り上がったフロントバンパーによって、そのような可愛さを目指しました。
ただし一方でHondaとしてのクルマらしさという点にもこだわってデザインを進めてきました。例えばサイドパネル全体は、キャビンスペースを最大としながらも、下部を絞り込むことによって、13インチという大変小さいタイヤでありながらも、ちゃんと地面を踏ん張るしっかりした盛り上がりを持ったフェンダー造形にこだわったデザインをしました。さらに、ウェストラインを前傾させたり、タイヤの位置も意識的に前にずらすことによって、ミニマルなデザイン要素でありながらも動きのあるフォルムとしています。一方リアは、テールゲートの開口ラインとリアコンビライトを一体化したデザインとし、張りのあるテールゲート面とあわせて「PUYO」独特の特徴を表現しました。更に、ボディー全体は基本的にはソフトでやわらかい素材となっていますが、クルマを支える安心感のあるしっかりした下半身を表現するため、ドアカットラインから下の部分はアルミの素材を採用しています。
この「PUYO」は環境のさらにその先にあるモビリティーのひとつの方向性として、街を走るだけで皆様の気持ちを軽やかにして楽しさを広げられるような、人とクルマの未来を明るくしていけるような、そのような提案を目指してデザイン開発を進めて来ました。