デザイナーズ・トーク-Honda製品のデザインに込められたこだわり

PUYO プヨ

PUYO インテリア篇
 

「柔らかさ」「ゆらぎ」でかたちにする、人とクルマの新たな関係生きもののように柔らかいボディ、伸び縮みやゆらぎで情報を感じさせるインターフェイス……。既存の概念にとらわれずに発想することで、クルマはより「人の気持ちに寄り添う」存在となるのではないか。さらには街の風景までを優しいものに変えていけるのではないか──そんな発想が、これまでにないクルマの造形を生み出した。燃料電池という最先端技術を利用し、「個」が自由に移動するためのモビリティのデザインを再定義するチャレンジ。

PUYOエクステリア篇(株)本田技術研究所 四輪開発センター デザイン開発室 第1ブロック クリエイティブ・チーフデザイナー 箕輪元明

燃料電池はクルマのデザインを変える
私は、Hondaの燃料電池車である、「FCX concept」のデザイン開発を手掛けたあと、燃料電池をパワープラントに据えることを想定したコンセプトカーである「PUYO」のデザイン開発に携わりました。
この燃料電池という技術は、水素と酸素を結合させて水が生成される時に発生する電気で走るクルマのことで、排気ガスはゼロ、出すのは水だけ、という究極のクリーンカーのことです。しかしいくらこの技術が、現在のクルマの百年の歴史を塗り替えるような大変優れたモノであったとしても、いかにも「環境車」的な面白みの無いデザインにはしたくありませんでした。よって「FCX concept」では、燃料電池車らしいボンネットフードのないフルキャビンフォルムで先進感を表現しながらも、セダンが持つクルマのエレガントさやダイナミックを融合したデザインを目指しました。
また「PUYO」の場合も、エンジンがないという燃料電池車の最も大きな特徴をいかし、2800mmという大変短い全長でありながら、大人4人がしっかり乗れる超高効率なフルキャビンパッケージをはじめとし、それ以外にも、安全、爽快な360度全方位パノラミックキャビン、子供からお年寄りまで誰もが乗り降りしやすい大型ウイングアップドア、さらには抜群の取り回し性能、4輪インホイルモーターによる定置旋回機能など、新しい楽しさに満ちたデザインを目指しました。
モビリティとしてどこまで人に近く優しくなれるか
エクステリアデザインは人にそして環境にも優しい角のないハコ型フォルム「シームレスソフトボックス」をテーマにデザインを展開しました。具体的にはまずモビリティとして本当に必要なモノ以外を極限まで削ぎ落とした、街の景観をもきれいに出来るくらいの超ミニマルなデザインとしました。
しかしそれだけだと機能だけの無味乾燥なクルマになってしまいます。そのようなデザインでありながらも、つぶらな顔、短いが踏ん張った足、プルンと張ったおしり等最小限のデザイン要素で、クルマというよりもどちらかというとペットのように可愛らしく親近感を持っていただけるようなデザインを目指しました。

そのような今までのクルマにはないような親近感をより感じていただきたい、という思いから柔らかいボディー素材という発想が生まれました。
ちょっとの衝突だったら傷がつかないとか、万が一の軽い接触だったら安心であるような乗る人やまわりの人に対する安全安心感に加え、人や生物の皮膚感覚に近い柔らかく温かみのある素材にすることによって、思わず触れたり、撫でたくなるような効果を狙いました。
またさらに、加速しているときは赤、停車すると光が消えるなど、ボディを光らせてクルマの状態を知らせることで、人とクルマの新しいインタラクティブな関係を表現するなど、モビリティーとしてどこまで人に近く優しくなれるか、ということに挑戦しました。

「PUYO」というネーミングもボディーにさわった感触を日本語の擬音として表したものです。新しい機種を開発する場合には、本来ちゃんとした開発コードネームがあるのですが、開発チームのみんなが「プヨ」という愛称で呼んでくれていましたので、より人に近く優しい存在のクルマのネーミングとして最適なのではと考え、「PUYO」とさせていただきました。

 
PUYO インテリア篇
PUYO Tokyo Motor  Show 2007