どんなデザインにすれば、フルモデルチェンジをしても、モンキーがモンキーという乗りものでいられるのだろう?なぜモンキーという乗りものは、バイクに乗る人からも、そうでない人からも、愛されるのだろう?それを知るために、開発チームはもちろん、社内にいるモンキーオーナーにも「モンキーとは?」と投げかけていきました。人の数だけ「モンキー像」はありましたが、その「核」となるものを抽出したときに出てきた言葉は「コンパクト」「シンプル」「かわいい」という3つ。なるほど、モンキーを表すにふさわしい言葉です。
それが開発の指標となり、チームが動き始めました。
まず、最初の「コンパクト」。コンパクトなバイクは他にもありますが、モンキーのコンパクトさは、他の「コンパクト」とは意味合いが違います。老若男女誰もが、ひと目見るなり「わッ、ちっこぉ〜い!!」と思えるくらいの、インパクトのある小ささがモンキーには必要なのです。遊園地「多摩テック」で生まれた、子ども向けの遊具がルーツですからね。
次に、「シンプル」。モンキーは、その歴史の中で常に「パーツがどれかひとつでも欠けてしまったら、バイクとして成り立たない」ほど、ギリギリの構成でつくられてきました。デザインの上で「余計なモノがついている」と思われてしまったら、これもモンキーとは違ったものになってしまいます。
最後の「かわいい」。これこそ、モンキーのキャラクターを決定づけるものでしょう。これまでに色々なバイクのデザインをしてきましたが、少なくともバイクに対して「かわいい」などという言葉を使ったのは、モンキーを置いて他に例がありません。
「こうするといいね。かわいいよ」
「それをやってしまったら、かわいくないのでは?」
いい歳をした大人たちが、そんな言葉を交わしながら開発する……。
こんなところでも、モンキーは「モンキー」という独立したジャンルの乗りものなのだと感じますね。「モンキーという独自の世界」をつくりだすために、デザイナーである私が何をめざすべきなのかが、だんだんとはっきりしてきました。
ここからようやく「デザイン」がスタートします。