デザイナーズ・トーク-Honda製品のデザインに込められたこだわり

CR-Z

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車で走る楽しさを提案したい(株)本田技術研究所 四輪R&Dセンター 尾崎 貴史
Hondaは「運転を楽しむ」ことを忘れない

車を運転していると、からだ全体で外の情報を得ていることに気付くことがあります。例えば、肌理の細かいアスファルトと荒いアスファルトの違いや、走行中にタイヤが踏んだ物の大きさや素材の違いがわかること。それは目からの情報だけでなくタイヤからサスペンション、ボディーからシートやステアリングなどから伝わってきた情報を、からだ全体で感じているのです。

車は進化の過程で、それらの情報をドライバーに対して「意識させない」方向へと向かってきていると言えるかもしれません。またそれが「快適さ」にも通じている事は間違いではありません。

しかし快適のみを突き詰めていく中で、途中にあるはずの様々な情報を無視し、「目的地に到着する」といった最終的な「結果」だけが車の役割になる事は、ちょっと寂しいことのように思います。

本来、車で走るという事には、ただ目的地へ到着するだけではなく、楽しみながら走るというよろこびがあるのではないでしょうか。

だから車と人との距離を遠ざけるのではなく、車と人とを近づけたい。車が進化を続けても、私たちはそのことを忘れません。CR-Zを通じて、もう一度車の楽しさをからだ全体で感じて下さい。

ワクワクするドライビングポジション

まず、乗り込んでいただいた瞬間にその低い着座位置を感じることができます。そして、扱いやすい小径ステアリングにスポーティーなペダルポジションは、すぐにでも走り出したくなるワクワクするドライビングポジションです。
未来感あるシルバーのバケットシルエット・シートは、実際に車が走り出したときにその機能性の高さが感じられます。コーナーでは2段に設けたシートサイドがしっかりと体を支えつつ、MT操作を阻害しないよう肘抜け性を考慮した立体造形となっています。

走り出した瞬間にシートから伝わるサポート感とシフトの操作性は、これから車にエントリーされる方には新鮮に感じ、楽しみながら走るという感覚が分かって貰えるのではないでしょうか。また、いろいろなクルマを乗り継いで来られた方には、「やるね」と言っていただけるようなものができあがったと思います。さらに、ハイブリッドカーとして世界初となる6速MTを、皆さまに楽しんで頂きたいと考えています。

また走りを楽しむ車を今の時代に提案するにあたって、「ハイブリッド・コンパクトスポーツ」として新時代の車を提案したいという想いがありました。そこで車の走行状態を表示するメーターはハイブリッドカーの持つ未来感をテーマに、クリスタルブルーを基調とし、CR-Z最大の特徴の一つである3モードドライブシステムの切り替え表示は、読ませるのではなくイルミネーションの色の変化で感じさせるようにしました。例えば「SPORT」を選択するとメーターセンターがレッドに輝き、走る気持ちを高揚させます。

また、ステアリングを中心に使用頻度の高いスイッチ類を近くに配置し、運転に集中できる使いやすさを追求しています。
手触りのいいインストルメントパネルや、美しい光沢を持ったドアグリップなどには、新しい製法も取り入れて上質感を追求。さらに、手の届きやすいところに、使いやすい収納やカップホルダーなど、日常の使い勝手も追求しました。
休みの日のドライブはもちろんのこと、日常のちょっとしたシーンでも、走らせる距離に関係なく、楽しみながら走っていただけたら幸いです。

車と人を近づける

CR-Zのデザインを行うにあたって忘れないようにしたかったのは、「目的地まで楽しみながら走る」ことであり、「ただ目的地に向かう」というのではない。快適便利至上の時代だからこそ全身を使って車を操る楽しさを感じて欲しいということです。運転者が全身で車を操り、車が運転者の全身に応える。この単純なやりとりが車と人を近づけるのです。
CR-Zは、「多人数乗車」とか「とにかくたくさんモノを積める」という便利なだけの車ではなく、常に運転する楽しみを追求し提供し続けてきたHondaにしかできない、新しい提案であると思うのです。
CR-ZはHonda独創の軽量でコンパクトなハイブリッドシステムにより、毎日の暮らしに必要なものを搭載することができます。しかし、それだけでは運転をすることの楽しさには繋がりません。運転の楽しさは、クルマのコンセプトそのものが重要なのです。だから、あのドライビングポジションが決まり、運転者に応えるシートの形が生まれ、運転に集中できる感じる表示や手元スイッチが意味を成すのです。
CR-Zに乗り込み、走り出していただければ、きっとこれから始まる車との心地よい関係を予感してもらえるはずです。