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加藤大治郎選手事故調査委員会調査結果報告(抜粋) 加藤大治郎選手事故調査委員会は、5名の多方面の専門家により構成され、第三者機関として公平・中立の立場から科学的に事故原因を解明することを目的に活動してまいりました。通常、事故は単一原因ではなく色々な要素が複雑に絡み合って引き起こされる場合がほとんどです。我々は、検証に関する基本方針を、「責任追求型」ではなく「原因究明型」の結論を導くこととし、何が事故の引き金となったか、そしてなぜ重大事故に至ったかの二つの側面から検討を行いました。 本委員会は、サーキット、警察、病院への訪問聞き取り調査、事故車両と装備品等の現物確認、車載計測データと映像の解析等、関係各位にご協力いただきながら可能な限り情報を収集し、まず本事故の全容を解明することに多くの時間を費やしました。そして、事故に至る経緯について各分野の専門家が可能性の高い推論を行い、委員会で審議を重ねてきました。 その結果、事故原因についての本委員会の見解を以下のとおり示し、本日を持って事故調査委員会を解散致します。 (1)事故車両に関する検証結果 特に、フロントブレーキディスクの破損については、ディスク破断面の解析により、衝突後に発生したものと判断した。 (2)車両運動面からの検証結果 各ライダーは、事故現場手前のコーナー(通称130R)出口では、マシンがバンクした状態でリアタイヤが浮き上がるレベルまでフルブレーキングを行い、さらに切り返しを行っている。リアタイヤの接地力が弱まっているこのような状況下で、車体慣性力により車体後方が突発的に横振れし始めた。 この挙動を止めるためにフロントブレーキを弱めたが、これによりリアタイヤの接地荷重が増し、ハイサイド(※1)が発生した。このハイサイドをきっかけにウィーブモード(※2)が発生し、コントロールを失ったマシンは激しく振られながら左へコースアウトした。 本委員会は今後、ライダーの操縦動作を含め様々な状況下における二輪車固有の振動現象の要因解明が重要であると考える。 (3)コースに対する検証結果(タイヤバリアとスポンジバリアの状態) なお、本レース開催直前に事故現場前後の改修が行われたが、コース改修以前に今回の事故現場において重大事故は発生しておらず、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)とIRTA(国際レーシングチーム協会)による改修後の確認および各チームの練習走行会においても事故現場の危険性の指摘はなかった。FIMによるコース公認証が発行され、レース開催において全て最終確認が完了していた。 本委員会からの提言として
(4)法医学面からの検証結果 WGPは、世界のトップライダーたちが、その個人の持つテクニックでマシンを操り、限界ぎりぎりの状況で、また、超高速でし烈な争いを展開する、世界最高峰の二輪車レースです。ライダーたちは、常に極限の状態でマシンをコントロールしています。各ライダーの技量により、リアタイヤのスライドやリアタイヤの浮き上がり、軽度のハイサイド等は彼らのコントロール下にあります。 しかし、人間の対応できる反応速度には限界があり、どんな人間であってもその反応時間を縮めることはできません。極限の反応速度を持っているライダーでも、その極限状態において、ライダーたちの予想を上回る挙動が発生した場合、これらの危険を回避することはできません。 今回の事故は、このような状況下で発生したものであり、卓越した技量を持った加藤選手は、この極限の状況下で優勝を目指すべく車体挙動の収束に対して最後まで諦めることなく果敢に闘ったものと考えます。
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