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Honda Civic WTCC 2013年シーズンに向けて

Honda Racing Team JASの2012年シーズンは、3戦6レースのすべてで完走を果たし、最終戦マカオで3位表彰台を獲得という成果をもって終了しました。

2月に参戦を表明し、7月下旬にはサーキットテストを開始するという短い準備期間を経て、Civic WTCCは10月の鈴鹿で実戦デビューを果たしました。完全な新エンジンを投入して臨むには、異例の短期間でしたが、5度にわたるサーキットテストを経ることで熟成を図っていきました。そのため、鈴鹿、上海、マカオではトラブルを起こさずに完走を果たすことができたのです。

12年シーズンの戦いには大切な目標がありました。それは、13年シーズンにワークスチームとして2台体制でフル参戦し、なおかつタイトル争いをするために、WTCCの実戦を通じて経験を積むというものでした。

チームにとっては、マシンのセッティング、フリー走行、予選、レースでの戦い方、チームのオペレーションなど、なにもかもが初めての経験でした。また、ライバルたちの実力を知っておくということも重要でした。こうした多くの課題をこなし、経験を積むたびに好成績を残せたことは、13年シーズンに向けて大きな自信となり、同時にさまざまな課題を与えてくれました。

13年シーズンの開幕は、3月下旬に予定されています。Honda Racing Team JASは、ティアゴ・モンテイロ選手とガブリエーレ・タルクィーニ選手の両ドライバーによる2台体制のワークスチームとして、フルシーズンを戦います。

シーズン開幕に備え、1月にエンジンのセッティングを中心としたテストを行います。そして、2月に13年シーズン用マシンの仕上げを進め、実戦を想定したテストに入る予定です。3月には最終テストを行い、本格的なシーズン開幕を迎えることになります。

Honda Racing Team JASは、レースにおける上位争いとシーズン通してのタイトル争いに加わることを目標に、来シーズンに向けた準備を進めています。

ティアゴ・モンテイロ選手 ―2012年を振り返って 「我々はレースごとに進化することができました。全く新しいマシンで鈴鹿を走ったため、マシンについていろいろなことを発見し、学習できました。その上、鈴鹿では初のポイントを獲得できました。参戦して最初のレースでしたし、まだ経験が足りなかったという点で、非常に難しいレースでした。その次の上海では上位に入れませんでしたが、このときもいろいろなことを学べたと思います。そして、マカオでは最初からうまくいきそうだと感じていました。マシンはマカオの難しいコンディションにかなりよく順応し、着実に速く、強くなり、大きく進化したと思っています」

―2013年に向けて 「一番の目標はタイトル争いです。2012年はいろいろと多くを学べましたし、それを生かすことができました。もちろん、これから冬の間にやるべき作業がたくさんあります。Civic WTCCをさらによくするために、この冬のテストは非常に重要だと思っています。来年もライバルたちが強いことは間違いないはずですから、我々ももっと速く、強くならなければと思っています」

ガブリエーレ・タルクィーニ選手 ―2013年に向けて 「3月の開幕までは、シーズンオフのテストが非常に重要だと考えています。この間にいい成果を得られるかが、シーズンの戦いを左右するといってもいいでしょう。3月の開幕戦がHondaにとってはとても重要です。シーズン中にはいろいろなことが起こるでしょうが、チームみんなで努力し、すべてがうまくいけばタイトルを獲得することも可能だと思います。それが実現するようにがんばります」

アレッサンドロ・マリアーニ | Honda Racing Team JASチーム代表 ―2012年を振り返って 「短い準備期間でしたが、目標を一つ一つクリアしてきました。最初の目標は2012年第10〜12戦の3戦を完走し、少しでも経験を得ることでした。次の目標はポイント獲得でしたが、最初のレースで達成できました。また、(2010〜12年のチャンピオンである)シボレー勢にできるだけ近づくという目標に関しては、最終戦でクリアできましたので、思っていたよりもいい結果だったと思っています」

―2013年に向けて 「初めてインタビューされたときに、2013年の初戦で優勝することを目標にしていると言ったら、『それは目標が高すぎる』と返した人がいました。しかし、目標は今も変わっておらず、今年の状況や最終戦の結果を見て、その可能性はさらに高くなったと思っています。そのためにオフのテストに全力を注ぎたいと考えています」

堀内大資 | Honda Civic WTCC開発プロジェクトリーダー ―2012年を振り返って 「今シーズンを振り返ってみますと、非常に短い開発期間でした。エンジンへの最初の火入れは、7月のテスト直前。そして、実際に走り出したのは7月末のテスト(注:7月31日と8月1日のイタリア・ヴァレルンガ)からということを思い出しますと、最終的に上位陣に肩を並べるほどまでに速くなったことは、すごいことだと思っています。『よくぞここまできた』というのが一番の印象です。また、シリーズの終わりに3戦を戦った経験もとてもよいものだったと思っています。やはり実戦でなければ得られないものでした。セッティングの方向性の確認やそれに沿った改善などを行い、マシンのバランス、エンジンのドライバビリティーなどがセッションを経験するごとによくなっていきました。それが、最終戦マカオでの結果につながったと思います。シボレーに肩を並べるくらいの速さが達成できて、とても満足でした」

―2013年に向けて 「WTCCは、マシンのレギュレーションがかなり厳格に定められていますので、マシン作りという点では難しいカテゴリーだと思います。エンジンは、リストリクターや最高回転数の制限などがあり、大幅なパワーアップを図ることはできません。ただ、燃焼効率の追求やターボにおけるALS(アンチラグシステム)のフィーリング向上など、細かいセッティングの積み重ねが大きな差になります。車体も同様で、セッティングの完成度がレースでのタイム差となります。オフのテストは、年明けから3回程度を予定しています。タルクィーニ選手にはとても期待しています。彼のセッティングの能力はテストでも十分に分かりましたし、かなりレベルの高いものだと思っています。彼とティアゴのコンビの相性もいいと感じました。来シーズンの本戦でも、きっと期待に応える活躍をしてくれるでしょう」