Team Asia Report

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2017年シーズンレビュー カイルール・イダム・パウィ

2017年は、Moto2クラスのルーキー、カイルール・イダム・パウィにとって重要な学習の一年でした。シーズンを通してMoto2マシンの特性に習熟しながら着実に前進を続けてきたパウィは、全18戦中15戦で完走を果たし、来季の飛躍に向けた基礎固めの一年を終えました。決して容易ではないシーズンでしたが、前を見据えて研鑽を続けたパウィに、Moto2クラス初年度の一年を振り返ってもらいました。

  • カイルール・イダム・パウィ

―17年シーズンのレースを終えて、まず今の感想は?

「とても厳しいシーズンでした。Moto2のマシンに乗るのは初めてだったので、自分を信じる気持ちを失わずに、毎戦少しずつ成長していくことを目指しました。今年は全く経験がないところからMoto2をスタートしたので苦労をしましたが、今年一年間の積み重ねを経て、来年はいいリザルトの獲得を目指せると思います」

―Moto2に順応するにあたり、なにに一番苦労しましたか?

「僕はMoto3を16年に1シーズン戦っただけの状態で、Moto2クラスへステップアップしてきました。そもそも充分な経験量がなかったので、Moto2に来ても手探りの状態が続きました」

  • カイルール・イダム・パウィ

―では、世界選手権初年度でMoto3クラスに参戦した去年と、中排気量クラスを初めて戦った今年を比較すると、どちらのほうが厳しいシーズンでしたか?

「もちろん、今年です。Moto3に初めて参戦した去年も厳しいシーズンになることは覚悟していて、表彰台を獲得できるとは思っていませんでした。一所懸命がんばることが目標だったのですが、結果的にアルゼンチンとドイツで2勝を挙げることができました。その一年と比べると、今年は明らかに苦戦の連続になりました」

―今シーズンの厳しい試練からなにを学びましたか?

「今年はたくさんのことを学べた一年でした。まだ学習の途中で、速く走る方法を模索している最中です」

―速く走るために、今の自分に一番足りていないのはなんだと思いますか?

「データを見れば、ブレーキング、旋回速度、立ち上がりの加速、すべてが足りていないかもしれませんね(笑) でも、今の僕になにより不足しているのは経験だと思います。経験を重ねれば、どんどん速くなると思っています」

―今シーズンは成績が低迷して辛い状況が続く中、どんな風に強い気持ちを保ち続けていたのですか?

「一言で説明するのは難しいのですが……。いつも前向きな気持ちで取り組みながら、自信を失わないようにしようと心がけていました。レースでいいリザルトを残せなかったときでも、少なくともなにかそのレースから学ぶこと、次に活かせることはあるので、そうやってポジティブに考えてきました。実際に、この一年からとてもたくさんのことを学べたと思っています」

  • カイルール・イダム・パウィ

―Moto3に参戦した16年からMoto2にステップアップした17年で、トレーニング方法を変更しましたか?

「Moto2は肉体的にもキツいので、今シーズンは去年よりもトレーニング量を増やすようにしました。マレーシアにいるときは、自転車やジムのワークアウトでほぼ毎日トレーニングをしています。バイクはCRF450でモトクロストレーニングをしたり、ロードバイクではCBR600に乗ったりと、毎日練習しています。この冬も、自分を追い込んで厳しいトレーニングに励む予定です」

―マレーシアといえば、今年のマレーシアGPには非常にたくさんのファンが観戦に訪れました。母国でのMotoGP人気の上昇を、パウィ選手はどんな風に感じていますか?

「そうですね。マレーシアでもMotoGPはとても人気があります。今年のレースにも、たくさんの人たちがマルケス選手たちの活躍を観ようとセパン・サーキットに訪れました。これからも、この人気がさらに盛り上がってほしいと思います」

―パウィ選手も人気ライダーの一人なのでは?

「ファンの皆さんが応援してくださるのはとてもうれしいことで、やる気もどんどん高まります。でも、僕はマレーシアではごく普通の生活を過ごしていますよ」

―ところで、パウィ選手はいつも89番を使用していますが、なにか理由があるのですか?

「本当は98番が僕のマイナンバーなんです。FIM CEVレプソルインターナショナル選手権を走っていたときも98番を使用していました。でも、去年Moto3クラスにステップアップしてきたとき、すでに98番はほかのライダーが使用されていました。だから、その番号をひっくり返して89を使用することにしたというわけです」

―なぜ98番がマイナンバーだったのですか?

「簡単なことです。1998年生まれだからです!」

―最後に、2018年シーズンに向けた抱負を聞かせてください。

「今年よりもいい走りをして、毎戦ポイント圏内でフィニッシュすることが目標です。そのためにも、この冬は全力でトレーニングに励みます!!」

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