HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.10.18 Vol.178 Round15
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

シーズン稀に見る激闘を展開したマルケスが2位表彰台を獲得。ランキングトップを堅持する

シーズン終盤の3連戦。その最初のレースとなった第15戦日本GPは、3日間ともに雨が降り続ける厳しい条件となりました。その厳しい条件の中で、2年連続4回目のタイトル獲得に期待が寄せられるマルク・マルケスは、フリー走行、予選と順調にセットアップを進めました。そして予選では、今季7回目のポールポジションを確実なものにしていましたが、セッション終盤に、決勝が“フラッグ・トゥ・フラッグ”になったときを想定して、路面が乾き始める微妙なコンディションの中をスリックタイヤで走行。そのためタイムを更新できず、結果的にフロントロー3番手に終わりましたが、今季6勝目を期待させる内容となりました。

その期待に応えて決勝では、ホルヘ・ロレンソ、ダニロ・ペトルッチ、そしてアンドレア・ドヴィツィオーゾらドゥカティ勢とトップグループを形成しました。その中からペトルッチが抜け出し、マルケスが2番手、ドヴィツィオーゾが3番手、ロレンソは後退していくという展開となり、トップグループは、トップの3台が後方とやや間隔を開けて周回を重ねました。そして後半に入るとペトルッチがペースを落として後退してマルケスが首位に浮上、ドヴィツィオーゾが2番手。終盤になると、接近戦を展開するマルケスとドヴィツィオーゾがポジションを入れ替えながらし烈な戦いを繰り広げました。

迎えた最終ラップ。トップを走るマルケスをドヴィツィオーゾが勝負所のバックストレートでかわします。そのドヴィツィオーゾに対してマルケスは最終コーナーで果敢にアタック、一度は抜きますが、クロスラインでドヴィツィオーゾに先行を許し、マルケスは2位でフィニッシュしました。

ダニ・ペドロサは、第13戦サンマリノGP同様、リアタイヤの温度を上げられず苦戦。終盤はポイント圏外にポジションを落とし、タイヤが消耗していたことからリタイアを決断しました。ティト・ラバトが15位。代役出場の青山博一が18位。カル・クラッチローは転倒リタイアでした。今季最も厳しい条件となった第15戦日本GPをリビオ・スッポ監督に振り返ってもらいました。

―厳しいコンディションのレースとなりました。今大会のレース戦略はどういうものでしたか?

「マルクはレースウイークを通じて本当にいいペースを見せました。そのため今大会の戦略は、レース序盤からトップグループに加わり勝利することでした。彼はすばらしい仕事をしました。しかし、不幸にも最終ラップの小さなミスのためドヴィツィオーゾに再び接近を許してしまいます。マルクは最終コーナーでアタックしましたが、優勝を奪われました。ダニにとっては、レースウイークを通じて厳しい状況でした。その理由は、週末を通じてリアタイヤの温度を上げることに苦戦したからです。そのため、ダニの戦略はタイヤを適切な温度にするためにできるだけプッシュすることでした。残念ながら、ポイント圏外までポジションを落とし、ラスト3ラップで戦いを継続することが困難になり、彼はガレージに戻ることを決断しました」

―今大会のポジティブポイントとネガティブポイントを教えてください。

「ポジティブなことは、シーズンを通じて、マルクとドヴィツィオーゾが、また一つすばらしいレースを見せてくれたことですね。マルクとドヴィツィオーゾの戦いは驚嘆に値するものでした。加えて、マルクはツインリンクもてぎで首尾一貫して速いレースを見せてくれました。優勝した昨年の大会をのぞき、このサーキットでは、これまで、こういうレースを行うのは簡単なことではありませんでした。今大会の結果だけではなく、チャンピオンシップのかかった戦いでしたからね。それが一層、レースをおもしろいものにしました。ネガティブなポイントはダニのリタイアでした」

―レース中、ピットウォールから見ていた感想はどういうものですか?

「我々は、ダニロ・ペトルッチがリアにエクストラソフトを履いていたことを知っていました。彼はウエットコンディションでいつも速い走りをするし、序盤からレースをリードしたことには驚きませんでした。マルクがトップに立ったときドヴィツィオーゾが追撃していくことも分かっていました。そしてドヴィツィオーゾがマルクをパスしていきますが、それで終わりではないと思っていました。実際、マルクは再び前に出て、真っ先にチェッカーフラッグを受けるために戦いました。一方、ダニが苦戦しているのを見るのはとても残念なことでした。彼がウエットコンディションで速いことも知っています。しかし、ほかのライダーに比べて体重が軽いために、タイヤにとっていい状態を見いだす必要があります。しかし、今日のような寒いレースでは、とても難しいことでした」

―3レースを残し総合首位のマルケスと2位のドヴィツィオーゾとの差は11点。これからの3戦、どんな戦いを期待しますか。

「チャンピオンシップは、とてもエキサイティングな終わり方になると思います。マルクとドヴィツィオーゾは、とても速いですし、安定しています。2人の戦いを予想することはとても難しいですね。重要なことは、ほとんどすべての大会ですばらしいレースをしてきたことです。それは我々のスポーツにとっては非常にいいことです」

―今大会のインサイドストーリーを教えてください。

「我々は火曜日に日本に到着し、Honda本社を訪問しました。そして、一つはドルナのため、もう一つはレッドブルのためのプロモーションビデオの撮影を行いました。もし、この2つのビデオを見逃しているならHRCのフェイスブックをみてください。2つのすばらしいストーリーを見ることができます」

第15戦日本GPを終えて、チャンピオン獲得の可能性は、マルケスと総合2位のドヴィツィオーゾ、総合3位のマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)の3人に絞られました。その中でも、総合首位のマルケスと2位のドヴィツィオーゾの差は、今大会の結果を受けて、16点から11点へと縮まりました。一進一退の戦いが続いていますが、連戦となる第16戦オーストラリアGPが行われるフィリップアイランド・サーキットはマルケスが得意とするサーキット。再び、リードを広げるチャンスを迎えます。タイトル争いが大きな山場を迎えているMotoGPクラス。オーストラリアでの戦いに、世界中が注目しています。

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