HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.06.27 Vol.171 Round 08
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

今季初の“フラッグ・トゥ・フラッグ”が適用される中、
マルケスが3位表彰台を獲得

第8戦オランダGPは、レース後半に雨が降り始め、今季初の“フラッグ・トゥ・フラッグ”が適用されました。しかし、一時的に降った雨はそのあと小雨になり、ほとんどのライダーがマシンをチェンジせずにレースを続行。Repsol Honda Teamのマルク・マルケスがトップグループに加わり、3位でチェッカーを受けました。

2戦連続今季4回目の表彰台獲得となったマルケスは、今大会、ウエット、ドライともに順調にセットアップを進めました。そして、いつ雨が降り出してもおかしくない不安定な天候の中で、ヨハン・ザルコ(ヤマハ)、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)らとトップグループを形成しました。

雨が降り始めてからは、転倒のリスクを避けるためにややペースを抑えたマルケスは、追い上げてきたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)やカル・クラッチロー(LCR Honda)と3番手争いの集団を形成。最終ラップまで順位を入れ替える激しい戦いを展開しましたが、最終的に3位でフィニッシュしました。

優勝したのはロッシ。2位にペトルッチが入りました。総合首位だったマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)は転倒リタイアが響いて総合2位にダウン。それと入れ替わりに5位でフィニッシュしたドヴィツィオーゾが首位に浮上し、3位にロッシ、4位にマルケスが入りました。チャンピオンシップは、ランキングトップから4位までが11点差という大接戦となっています。

チームメートのダニ・ペドロサは、レースウイークを通じて断続的に雨が降る不安定な天候に苦戦し、予選12番手、決勝13位と厳しい戦いを強いられました。パフォーマンスを発揮できなかった理由は、低い路面温度とウエットコンディションによるグリップ不足。あらゆることにチャレンジしましたが、解決策を見いだせませんでした。次戦以降、今大会の問題の解消に全力を尽くすことになります。

今大会は、クラッチローが予選8番手から4位でフィニッシュ。昨年の優勝者のジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)も予選13番手から6位と健闘しました。

―今年もアッセンらしい難しいコンディションとなりました。今大会のレース戦略はどういうものでしたか?

「今大会、マルクは表彰台獲得のために戦えるペースがあることを知っていました。戦略は、トップグループにとどまり、リスクを極限まで抑えることでした。彼はレースを非常にうまく管理し、最後のラップは信じられないほどすばらしいものでした。ダニは12番グリッドだったので、表彰台獲得は難しいと感じていました。その理由は、レースウイークを通じて、低い路面温度に苦戦していたからです。とは言え、雨が降り始めるまではいいペースをキープしていたし、トップグループとそれほど変わらないものでした」

―今大会のポジティブポイントとマイナスポイントを教えてください。

「ポジティブなことは、もちろん、マルクの表彰台獲得ですね。8戦を終えて、ポイントリーダーとそれほど点差が離れていないことも重要です。ネガティブなことは、ダニが低い気温とウエットコンディションに苦しんだことですね。我々は、この問題の対策に取り組まなければなりません」

―レース中、ピットウォールから見ていた感想はいかがでしたか?

「おそらく、私の20年のキャリアの中で、最も疲れ果てたレースの一つでした。最終ラップは、特に信じられない気持ちでした。今回のようなコンディションでは、ミスを犯すのはとても簡単なことなのですが、すばらしい走りでした。今年のチャンピオンシップはすごい接戦になっています。ファンにとってはすばらしいショーになっていると思いますが、こういう状況は、戦う我々にとっては非常に難しいものですね」

―アッセンの天気は頻繁に変わります。チームマネージャーとして、最も気になるのはなんですか?

「私たちの優先事項は、常にライダーの安全です。だから、天候によってレースが大きく影響を受けたときが、最も気になります。もし、サーキットのどこかで非常に強い雨が降り始めたときは、ライダーはそれを事前に察知して、クラッシュを避けてほしいですね」

―今大会のインサイドストーリーを教えてください。

「アッセンは、MotoGPのカレンダーの中で最も有名なサーキットの一つであり、ここに来るのはいつも楽しみです。ダッチTTは数千人を惹きつける大きなイベントです。今年はパドックで働く人々が早い時間にサーキットに到着するよう、主催者は「VIPルート」を用意しました。それにもかかわらず、日曜日は大観衆のため、ホテルを午前6時45分に出発しなければいけませんでした。私たちはサーキットに7時20分に到着できましたが、もし30分遅く出発していたら、パドックにつくまでに2時間はかかっていたでしょう」

第8戦オランダGPを終えて、休む間もなく第9戦ドイツGPが行われます。今季2回目の2連戦。これが終わるとサマーブレイクとなるために、選手にとってもチームにとっても、とても重要な戦いになります。昨年の大会は“フラッグ・トゥ・フラッグ”となり、難しいレースでマルケスが優勝、クラッチローが2位と、Honda勢が1-2フィニッシュを果たしています。

ドイツGPが開催されるザクセンリンクは、2010年から12年までペドロサが3連勝、13年から16年までマルケスが4連勝を達成し、Hondaが7連勝を達成しています。シーズン前半戦最後の戦いとなるドイツGPは、Hondaにとって、大会8連勝を目指す戦いとなります。

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