HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.05.24 Vol.168 Round 05
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

天候に翻ろうされるも、ペドロサが3戦連続となる表彰台に登壇

第5戦フランスGPは、金曜日、土曜日と不安定な天候が続き、選手にとってもチームにとっても厳しいレースとなりました。金曜日は雨が降ったり止んだりという状況で、路面はハーフウエット、ハーフドライ、フルウエットと、路面コンディションが目まぐるしく変わりました。この状態は土曜日の午前まで続き、午後になってやっと青空が広がり始めました。しかし、この日も完全なドライコンディションで走れたのはFP4だけ。Q1とQ2は時折り小雨がぱらつく微妙なコンディションでした。

そうした状況の中で、マルク・マルケスは、初日のフリー走行で2番手。まずまずのスタートを切りましたが、2日目に実施されたFP3で思うようにタイムを更新できず、総合5番手でQ2進出を果たしました。そして、ドライコンディションとなったFP4では、3コーナーで転倒を喫して7番手。その後に行われたQ2でも、同じく3コーナーで転倒を喫し、その影響で今季初のフロントローを逃す5番手でした。

チームメートのダニ・ペドロサも、不安定な天候に翻ろうされ、フリー走行で思うようにタイムを更新できませんでした。フリー走行では総合22番手。今季初めて、Q1からQ2を目指すことになりましたが、わずかの差で3番手に終わり、Q2進出はならず。13番グリッドが確定しました。しかし、予選前に行われたFP4では、快調にラップを刻んで2番手タイムをマーク。決勝では追い上げのレースが期待されました。

そして迎えた決勝では、予選5番手からまずまずのスタートを切ったマルケスが4番手。5列目から好スタートを切ったペドロサはセカンドグループに加わり、レース中盤には4番手を走るマルケスに追いつきました。その後、マルケスは18周目に、今大会3度目となる3コーナーでの転倒を喫してリタイア。マルケスの転倒で4番手に浮上したペドロサは、終盤、2番手を走るバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が転倒したことで3位フィニッシュ。第3戦アメリカズGPから、3戦連続で表彰台の獲得となりました。

前戦スペインGPは、Repsol Honda Teamの1-2フィニッシュ。今大会は2戦連続での1-2が期待されましたが、不安定な天候の中で思うようにパフォーマンスを発揮できませんでした。今季最も難しいコンディションとなったフランスGPの戦いを、リビオ・スッポ監督が振り返ります。

―今大会は厳しい結果となりました。フランスGPのレース戦略はどういうものでしたか?

「金曜日と土曜日の天候では、レースに向けてきちんとした準備ができず、難しい週末となりました。そして決勝は気温が上がり、予想することがすべて難しくなりました。とにかく、マルクのウォームアップセッションはすばらしかったし、トップのライダーたちに近く、いいレースができる気がしました。ダニにとっては難しい予選となり、13番グリッドからの決勝でした。彼の戦略はいいスタートを切って、できる限りプッシュすること。なぜなら、彼のペースはグリッドポジションよりもかなりいいことが分かっていたからです」

―今大会のよかった部分、そして厳しかった部分はどういうものでしたか?

「ネガティブなのはもちろん、マルクが転倒してしまったことです。フロントから転倒し、ゲームオーバーになりました。ポジティブなことは、ダニのレースです。彼は速さと安定性を証明しました」

―レース中、ピットから見ていて、どんな気持ちでしたか

「序盤、マルクがヤマハ勢をマークし、一方でダニがいいスタートを切ったことがとてもうれしかったです。レース中盤では、2人ともトップ5でフィニッシュできるんじゃないかと思いました。このサーキットは私たちと相性があまりいいところではないので、悪くはない状況だと思っていました。残念ながらマルクは転倒しましたが、これがレースというものです。ダニはいいペースで走れました。とてもいいレースをしたので、表彰台はふさわしい結果だと思います」

―今年は、フロントタイヤが勝敗に大きく影響するように感じるのですが、その点についてはどう思いますか?

「タイヤの選択は非常に重要なことです。今大会は2人とも、正しい選択ができたと思います。ダニが表彰台に上がりましたし、マルクの抱えた問題は、タイヤではありませんでした」

―今大会は、いろいろたいへんだったと思います。

「フランスGPが開幕する直前の水曜日に自転車事故に遭った友人であるニッキーのことをずっと想っていたので、とてもつらい週末でした」

今大会を終えて、3戦連続で表彰台に立ったペドロサのチャンピオンシップポイントは68点に。総合首位のマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)と17点差の総合2位に浮上しました。一方、今大会でリタイアに終わったマルケスは、総合3位から総合4位へダウンも、トップのビニャーレスとの差は27点。ペドロサとマルケスは、これからの戦いで逆転を目指します。

一進一退の戦いが続くMotoGPクラスのチャンピオンシップ。ここから先は連戦となります。第6戦イタリアGPと第7戦カタルニアGPの2連戦のあと、1週間のインターバルを挟んで、第8戦オランダGPと第9戦ドイツGPの2連戦。5週間で4レースという今季最も重要とも言える時期。Repsol Honda Teamの巻き返しが期待されます。

今大会は、Repsol Honda Teamで2006年にチャンピオンに輝いたニッキー・ヘイデン選手が、イタリアで行っていた自転車でのトレーニング中に交通事故に遭い、厳しい状況が報じられる最中でのつらい大会となりました。ヘイデン選手は大会終了後の5月22日、入院先の病院で逝去されました。

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