Livio Suppo Track Report Livio Suppo Track Report

Vol. 152

地元ファンの大声援の中で、マルケスとペドロサが激しいバトルを披露する

第7戦カタルニアGPは、今季3度目のポールポジション(PP)から好スタートを切ったマルク・マルケス(Repsol Honda Team)と、予選5番手からレース中盤にトップに浮上したバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)のマッチレースとなり、マルケスが僅差の2位でフィニッシュしました。

今大会は、フリー走行初日にMoto2クラスに参戦するルイス・サロム選手が、転倒事故で亡くなりました。モーターサイクルレースにとって、とても悲しくつらい大会となりました。2位になったマルケスは、PP獲得と決勝で繰り広げたロッシとのすばらしいトップ争いのバトルを、亡くなったルイス選手にささげました。

ルイス選手の事故を受けて、カタルニア・サーキットは、事故が発生したコース後半セクションのスピードを落とすために、ヘアピンとシケインを備えるF1コースで行うことになりました。従来の2輪コースは、一周4.727km(コーナー数は13)。F1コースは、4.655kmと72m短く(コーナー数は16)、全体的にスピードが落ちることからラップタイムも約3秒ほど遅くなりました。そのコースでマルケスは、予選ではすばらしいスピードを披露しましたが、決勝ではフロントタイヤの消耗と戦いながら、2位でフィニッシュしました。

チームメートのペドロサは、新しいシャシーで今大会に挑みました。レースウイークだけのセットアップだったため、完ぺきとは言えない状態でしたが、予選では今季初のフロントロー獲得となる3番手。決勝では、序盤は4番手を走行し、中盤にはホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)をかわして3番手に浮上。トップ争いをする2人との差をじりじりと縮めました。しかし、優勝争いには届かず、3位でフィニッシュしました。ヨーロッパラウンドに入って、スペイン、フランス、イタリアと連続4位となったペドロサですが、今大会は上り調子をしっかりリザルトにつなげました。

第7戦カタルニアGPを終えて、マルケスは3戦ぶりに総合トップに浮上。ペドロサは総合4位の座をしっかりキープしました。

今大会では、バルセロナ近郊の街で生まれ育ったマルケスとペドロサの両選手が表彰台に立ち、サーキットに集まった9万9000人の大観衆は大喜びでした。表彰台には、2人を含む皆が、亡き友人のサロム選手のTシャツを着て登壇。追悼の意を表しました。

―今大会は全選手にとって、つらく、厳しい大会になりました。最初にカタルニアGPを振り返っていただけますか?

「ルイス・サロム選手が亡くなるという悲しい事故がありました。彼のご家族・友人にお悔みを申し上げます。今大会は、みんなが苦戦しましたが、Repsol Honda Teamの2人は、予選セッションがよくて、その時点で2人ともに表彰台に立てるのではないかという、手応えがありました。決勝でマルクは、フロントとリアの両方にハードタイヤを選択してスタート。つまり終盤の勝負どころでペースを上げられるように、フロントを温存するという戦略でした。彼はパーフェクトに仕事をこなしましたが、残念ながら今日は、バレンティーノ(ロッシ)の方が強く、十分とは言えませんでした。ダニは異なるタイヤ選択をしました。フロントはハード、リアはミディアムでした。レース序盤はリアタイヤを温存をするためにペースを抑えていました。しかし、レース終盤を迎えたときには、すでにリアタイヤが終わっており、ペースを落とさざるを得ませんでした」

―レースを振り返ってよかった点、悪かった点は・・・?

「あきらかによかったのは2人とも表彰台に上がれたことですね。マルクがチャンピオンシップで再びトップになれたこともよかったポイントでした。悪かった点はありません。2人ともによくやってくれたと思っています」

―レースをピットウォールから見ていたときに、どんなことを思っていましたか?

「マルクは最後までアタックできると思っていました。事実、彼はよく戦ってくれていて、最後まで全力で挑んでいました。そのことに我々は満足していますが、今大会はバレ(バレンティーノ・ロッシ)のペースが上回っていました。結果、僅差で2位となりましたが、チャンピオンシップではしっかり20ポイントを獲得することができました。ダニもレース序盤は、マーベリック・ビニャーレスといい戦いをみせてくれました。正直なところ、マーベリックは少しアグレッシブ過ぎたと感じました。トップ争いに加わり、ペースをキープできるいい状態ではなかったと思います」

―今大会、なにかサイドストーリーはありましたか?

「決勝日は、トライアルライダーのトニー・ボウや藤波貴久、ハイメ・ブストを迎えて楽しい時間を過ごすことができました。MotoGPの雰囲気を経験してもらい、モーターサイクルのレースにかける情熱をシェアする楽しい時間になったと思います」

―レース終了後、マルクとバレンティーノがパルクフェルメで握手を交わすというすばらしい瞬間がありました。これについてはどう思いますか?

「バレとマルクが握手したのを見て、いいことだと感じました。モーターサイクルのレースは、我々が愛するスポーツであり、バレとマルクの2人は偉大なチャンピオンですからね。お互いを尊重し合うのはとても大事なことだと思います」

次の戦いとなる第8戦オランダGPは、マルケスが得意とするサーキットの一つ。過去に125cc、Moto2、MotoGPで4勝しています。総合首位に浮上したマルケスは、得意のアッセンで今季3勝目とオランダGPでの5勝目を目指します。また、カタルニアGPで手応えあるレースをしたペドロサは今季3度目の表彰台と今季初優勝を目指します。カタルニアGPでは、今季2度目となる2人揃っての表彰台を達成しました。オランダGPでは、今季初のRepsol Honda Teamの1-2フィニッシュを目指します。

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