Livio Suppo Track Report Livio Suppo Track Report

Vol. 149

厳しいレースを乗り越え、マルケスが表彰台に登壇。ペドロサは4位となる

ヨーロッパラウンドの初戦となった第4戦スペインGPは、Repsol Honda Teamのマルク・マルケスとダニ・ペドロサにとって今季初のホームグランプリであり、同時にチームにとっても、Repsolのホームとなるだけに必勝態勢で挑むことになりました。

予選はマルケスが開幕から4戦連続フロントロー獲得となる3番手。ペドロサは7番手から、地元ファンの声援を受けて決勝レースに挑みましたが、Repsol Honda Teamにとって今季3勝目は果たせませんでした。しかし、マルケスが開幕から4戦連続で表彰台に立ち、総合首位をキープ。ペドロサも4位でフィニッシュして総合4位をキープ。ヘレスに集まったファンから温かい声援が送られていました。

今大会は、開幕前日まで不安定な天候が続いていましたが、金曜日、土曜日、日曜日と日を追うごとに青空が広がる絶好のコンディションとなりました。最高気温は25℃前後とそれほど変わらなかったのですが、日差しが強くなるにつれて路面温度が上昇。決勝日は、予選日よりも11℃も高くなり、Repsol Honda Teamの両ライダーは、フリー走行、予選の走りを再現することができず、我慢のレースとなりました。

昨年のマルケスは、優勝を狙うあまり、転倒の多いシーズンでした。その反省を生かし、今大会は優勝を狙えないときは着実に表彰台に立つというレースを実践し、総合首位をキープしました。これで開幕から4戦を終えて、2勝と3位を2度獲得。今年はレギュレーションの変更の影響もあり、RC213Vのパフォーマンスを100%引き出せてはいませんが、チーム、スタッフ、ライダーともに2年ぶり3度目のタイトル獲得に向けてマシンのセットアップに全力を投入しています。

総合4位をキープしたペドロサは、昨年の大会を右腕の手術のために欠場しています。今年は2年ぶりのスペインGPとなり、MotoGPクラスでは大会10度目の表彰台を目指しましたが、あと一歩届きませんでした。しかし、チームメートで総合首位のマルケスに迫る走りは次戦からの活躍に大きな期待が寄せられます。

今大会の直前には、熊本を中心に九州全域で大地震が発生。大きな被害が発生しました。Repsol Honda TeamとHondaチームは「がんばろう 熊本」、「がんばろう 九州」のステッカーをマシンに貼って被災地にエールを送りました。


―ヨーロッパラウンドの初戦となったスペインGPは、どんな戦いを予想していましたか?

「前日までに比べて気温も路面温度も上がり、マルクがプラクティスセッションやウォームアップのときと同じペースをキープするのは難しいとわかっていました。バレンティーノ(ロッシ)とホルヘ(ロレンソ)は、レースウイークを通してとても強かったのでマルクの戦略は、表彰台に上がり、できる限りポイントを稼ぐことでした。その目標は達成することができました。ダニはレースウイーク中、マルク以上に苦戦していたので、彼にとっては4位になるというのが現実的な目標でした。2人とも難しいレースウイークとなりましたが、最低限の目標を達成できたことを評価したいし、うれしいですね」

―マルクは3連勝を果たせず、ダニも表彰台を逃しました。レースを終えて、今大会のポジティブな点とネガティブな点を教えて下さい。

「ダニのスタートはすばらしかったです。7番グリッドから1周目には3番手まで追い上げましたから。また、マルクはレースをしっかり走りきったことがポジティブなことでした。序盤に一生懸命がんばり、その後は、意味のないリスクを負うこともなく自分のポジションをキープするという成長をみせていました。ネガティブな面は明らかですね。とにかく、優勝争いができるペースがなかったことです。でも前進できるように一生懸命がんばります」

―優勝した過去2戦に比べて明らかに厳しい戦いでした。ピットから見ていて感じたことを教えて下さい。

「レース中盤までは、マルクがレース後半をうまく走ってくれることを願っていました。彼はリアグリップが少ない状況でしたが、いつものようにとても力強い走りをしてくれました。残念なことはフロントタイヤの温度が思ったより上がったことですね。そのために彼の強みを生かした走りができず、アドバンテージを得ることができませんでした。ダニは、アレイシ・エスパルガロと距離をうまく保った走りはさすがでした。レースを通してうまくコントロールしていたし、最後は十分なギャップを持って4位でフィニッシュしました」

―マルクが表彰台で日本の国旗を持ちました。日本のレースファンはうれしかったと思います。マルクやダニ、そしてスッポさんから熊本の地震の被災者へのメッセージをいただけたらと思います。

マルク・マルケス
「地震のニュースを聞いたとき、その地域に住んでいる方々はもちろんのこと、友人たちやHondaの熊本工場のすべての社員たちのことを心配しました。今大会は日本の国旗を持って表彰台に立つことができました。僕たちもサポートしているという気持ちを伝えられたと思っています。一日も早い復興を願っています」

ダニ・ペドロサ
「熊本の地震に巻き込まれたすべての人に、心を強く持ってほしいと願っています。被害に遭われた方々や家族に心からお見舞い申し上げます。一日も早く普通の暮らしに戻れることを願っています」

リビオ・スッポ
「被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。HRC MotoGPのファクトリーチームとして、今回の地震で被害を受けた被災者とその家族をできる限りサポートしたいと思っています。とても困難な状況ですが、そういった厳しい状況に立ち向かう日本人の強い気持ちが、きっとこの災難から立ち上がらせてくれると思います。がんばろう熊本、がんばろう九州!」

第5戦フランスGPでは、マルケスが今季3勝目と5戦連続となる表彰台を目指します。チームメートのペドロサは今季2度目の表彰台と今季初優勝を狙います。

Repsol Honda Teamは、2012年にケーシー・ストーナー、13年にペドロサ、14年にマルケスが優勝しています。昨年はマルケス、ペドロサ両選手ともに表彰台を逃しましたが、今年は2年ぶりのフランスGP制覇と、今大会の雪辱に挑みます。

厳しいレースを乗り越え、マルケスが表彰台に登壇。ペドロサは4位となる 厳しいレースを乗り越え、マルケスが表彰台に登壇。ペドロサは4位となる 厳しいレースを乗り越え、マルケスが表彰台に登壇。ペドロサは4位となる 厳しいレースを乗り越え、マルケスが表彰台に登壇。ペドロサは4位となる 厳しいレースを乗り越え、マルケスが表彰台に登壇。ペドロサは4位となる 厳しいレースを乗り越え、マルケスが表彰台に登壇。ペドロサは4位となる