Livio Suppo Track Report Livio Suppo Track Report

Vol. 148

マルケスが4年連続でサーキット・オブ・ジ・アメリカズを制し、今季2勝目

アルゼンチンGPからの連戦となった第3戦アメリカズGPは、これまでアメリカ大会で圧倒的な強さをみせてきたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、今年も快走。4年連続でポールポジション(PP)を獲得し、決勝も4年連続で優勝しました。

アメリカズGPの舞台となるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)は、テキサス州オースティンにあり、マルケスがMotoGPクラスにデビューした2013年に初開催となりました。この大会でマルケスは、MotoGPクラスでの初優勝を達成。デビュー2戦目での優勝は、1982年にフレディ・スペンサーがHondaで達成した史上最年少PP記録と優勝記録を31年ぶりに塗り替え、マルケスの輝かしいGPキャリアがスタートしたレースとなりました。

その思い出のサーキットにおいて、マルケスはすべてのフリー走行でトップタイムをマーク。今シーズンは2戦連続、アメリカズGPでは4年連続でPPを獲得しました。これでマルケスは、MotoGPクラスで32度目、GP通算60度目のPP獲得となりました。

そして迎えた決勝でも、好スタートからオープニングラップにトップに浮上すると、レース序盤に唯一2分4秒台のハイペースでラップを刻んで後続を引き離します。レース中盤には2番手を走るホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)に約6秒の大量リードを築く圧倒的な強さで今季2勝目、そしてアメリカズGP4連勝を達成しました。この優勝でマルケスは、MotoGPクラスで26勝目を挙げて歴代9位。通算では52勝とし、フィル・リードと並び歴代7位となりました。

決勝日の朝のウォームアップでは、フィーリングがよくなかったと不安を抱えたマルケスですが、チームがセッティングを見直したことで、いい感触を手にしました。さらに、ギリギリまで迷ったタイヤ選択も、ミシュランのテクニシャンのアドバイスを受け、フロントにソフトを選んだことが好走につながりました。こうしてマルケスは、11年と12年のMoto2時代を含め、アメリカで開催されたグランプリで10連勝というすばらしい記録を達成しました。

ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、フリー走行と予選では思うようにセッティングが進まず、8番グリッドから決勝に挑むことになりました。そして決勝に向けていいセッティングを見いだすと、一気にペースを取り戻し、ロレンソとアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)と、2番手争いのグループを形成しました。そんな中、7周目の1コーナーでバランスを崩して転倒する残念なレースとなり、前戦アルゼンチンGPからの2戦連続での表彰台獲得は果たせませんでした。

Repsol Honda Teamはウインターテストでは、今年から実施されている新しい車両規定に苦戦しましたが、開幕戦カタールGP、第2戦アルゼンチンGP、そして今回のアメリカズGPと、本来の走りを取り戻しつつあることを感じさせるレースとなりました。

マルケスにとっては、昨年のシーズン中盤戦の第9戦ドイツGP、第10戦インディアナポリスGP以来の連勝。Repsol Honda Teamにとっては、昨年の第15戦日本GP、第16戦オーストラリアGP、第17戦マレーシアGPで3連勝を達成して以来、シーズンをまたいで4戦ぶりの連勝となりました。今季初の連勝を果たしたRepsol Honda Team。リビオ・スッポHRCチーム代表に、第3戦の戦いを振り返ってもらいました。

―まずは、アメリカズGPを振り返ってもらえますか?

「マルクはフロントにソフトタイヤを装着したことを最大限に活用し、レース序盤でギャップを作り、そこから最後までレースをマネジメントする作戦でした。彼はそれを完ぺきにこなしましたね。一方のダニは、3列目からいいスタートを切ってトップグループについていくことを目標にしていました。その通りの走りができていたし、フリー走行や予選に比べると、とても速いラップタイムを刻めました。しかし、ブレーキングで小さなミスをして転倒してしまいます。この転倒でアンドレア・ドヴィツィオーゾに接触し、彼も巻き込んでしまいました」

―レースを終えて、今大会のよかった部分と、もし反省点があれば、それも教えて下さい。

「ポジティブなことは、マルクにとって、レースウイークが完ぺきだったことですね。決勝日のウォームアップを除き、すべてのセッションでリードし、ポールポジションを獲得しました。そしてレースではファステストラップを出し、もちろん優勝しました。彼にとって、これでオースティンでは4年連続の優勝となりました。一方、難しいレースウイークだったダニは、決勝になっていいスタートが切れたし、いいペースで走れたことはポジティブなことでした。ネガティブなことはダニが7周目で転倒し、同時にアンドレアも巻き込んでしまったこと。アンドレアとドゥカティには、とても申し訳なかったです。転倒後、起き上がったダニが倒れているアンドレアにすぐに駆け寄り、謝りに行ったのは印象的でした。さらに、ガレージに戻ってきてからも、ダニが最初にしたことは、ドゥカティのガレージに行き、彼に謝ったことでした。ダニのこうした行動は、彼がすばらしいチャンピオンというだけではなく、すばらしい人間でもあることを、ファンに示せたと思います」

―レース中、ピットから見ていて感じたことを教えて下さい。

「マルクがうまくタイヤをマネジメントできているかどうかは、ピットから判断するのは難しく、残り数周でホルヘとのギャップが安定しているのを目にしたときに、やっと安心しましたね。また、ダニがいい走りをしていたので、とてもうれしかったです。ただ、オンボードカメラがアンドレアとの接触をライブで映し出したときは、信じられませんでした」

―今大会、なにかおもしろいインサイドストーリーはありましたか?

「土曜日の午後、アメリカン・ホンダがパブリックエリアでマルクとダニが参加する、ファンイベントを開催しました。いつもオースティンのレースを観に来るハリウッドスターのキアヌ・リーブスを含め、多くのHondaファンがチャンピオンたちと話しているのを見られたのはとても楽しかったです」

―マルクは11年以降、アメリカラウンドをすべて優勝しています。Moto2時代に2勝。13年以降のMotoGPクラスでは8勝目。アメリカラウンドを得意とする理由はなんでしょうか?

「マルクがアメリカのサーキットでなぜ強いかという理由を答えるのはとても難しいですね。なぜなら彼はオースティンだけでなく、過去には、難しいレイアウトのインディアナポリスやラグナセカでも勝っていますからね。ただ、彼はこの国が大好きなので、それがモチベーションを一段とかきたてられているのかもしれませんね」

シーズン前半戦の最大の山場となったカタールGP、アルゼンチンGP、そしてアメリカズGPと続いた大陸移動の3連戦が終わりました。この3連戦でマルケスは、3位、優勝、優勝とすばらしい結果を残して総合首位。ペドロサは5位、3位、そしてリタイアとなりましたが、総合4位です。

次戦スペインGPは、スペイン人の両選手とRepsol Honda Teamにとっては、今季最初のホームグランプリとなります。昨年、大会2位のマルケスは、シーズン3連勝と2年ぶりのスペインGP制覇が期待されます。そして、昨年右腕の手術のために欠場しているペドロサは、3年ぶりの大会優勝と2年ぶりの表彰台を目指す戦いとなります。

マルケスが4年連続でサーキット・オブ・ジ・アメリカズを制し、今季2勝目 マルケスが4年連続でサーキット・オブ・ジ・アメリカズを制し、今季2勝目 マルケスが4年連続でサーキット・オブ・ジ・アメリカズを制し、今季2勝目 マルケスが4年連続でサーキット・オブ・ジ・アメリカズを制し、今季2勝目 マルケスが4年連続でサーキット・オブ・ジ・アメリカズを制し、今季2勝目 マルケスが4年連続でサーキット・オブ・ジ・アメリカズを制し、今季2勝目