Livio Suppo Track Report Livio Suppo Track Report

Vol. 146

開幕戦カタールでマルケスが表彰台を獲得、ペドロサは5位

2年ぶりのタイトル奪還に燃えるRepsol Honda Teamにとって、2016年シーズンのスタートは、決して順調なものではありませんでした。2月上旬、今季初テストとなったマレーシア・セパンでは、マルク・マルケス選手とダニ・ペドロサ選手ともに、マシンのセットアップが進まず、ライバルに遅れを取りました。トップタイムを競った15年シーズンのスタートが嘘のような低迷。その理由は、今年から全車に搭載された共通エンジン・コントロール・ユニット(ECU)と、2016年型RC213Vの調整がうまく進まなかったからでした。そのため、エンジンのパフォーマンスを引き出せず、その対策に追われることになりました。

その後、テストの舞台はオーストラリア・フィリップアイランドへ。マレーシアテストのデータを基に、オーストラリアテストに向けて必死の調整が続けられました。それが功を奏して、中高速コーナーが続く高速サーキットのフィリップアイランドでは、Hondaパワーを徐々に引き出すことに成功。マルケスがトップタイムを争うなど、やっと本来の調子を取り戻してきたことを感じさせました。

しかし、開幕戦の舞台となるカタール・ロサイルにて行われた最終テストでは、再び苦戦の連続。路面コンディションがどんどん変化していくロサイル特有の路面が、Repsol Honda Teamの両ライダーを苦しめることになりました。最終的に、なんとか戦える状態に持っていくも、ウインターテストでは一度もトップタイムを獲ることができないという、これまで経験したことのない厳しいものとなりました。

最終調整の場となったカタールテストから2週間のインターバル。本番を迎えたRepsol Honda Teamは、フリー走行ではトライ&エラーの繰り返しとなりますが、予選ではマルケスがポールポジション争い、そして決勝では優勝争いに加わりました。新レギュレーションの実施で、思わぬ足踏みを経験することになったRepsol Honda Teamですが、2年ぶりのタイトル奪還に向けて大きな一歩を踏み出すことに成功しました。その舞台裏をHRCチーム代表のリビオ・スッポに語ってもらいました。

―カタールGPの戦略は、どんなものだったのでしょうか?

「ミシュランタイヤと新しい電子制御でレースをするのが初めてだったので、正直どのようなレースになるのか予想するのは難しいものでした。そういう状況の中でも、マルクはFP4とウォームアップともに、いいペースで走ることができました。彼も表彰台争いができるんじゃないかと思っていました。しかし、ダニは、マルクほど順調ではなく、少し問題を抱えていたので、彼の目標はトップ5に入ることでした。もちろん前進するためにもっと一生懸命に取り組まなければなりませんが、マルクが3位になり、ダニが5位になれて、両ライダーがそれぞれの目標を達成できたことはうれしく思います」

―レースを終えて、今大会のポジティブな点とネガティブな点を教えてください。

「ウインターシーズンは、期待していた状況には程遠いものでした。それを思えば、今大会のポジティブな点は、マルクがトップとわずか2秒差で表彰台に上がったことですね。ネガティブな点は、コーナーからの脱出速度とそれからの加速がよくなかったことでした。そのためマルクとダニは、その遅れを取り戻すためにブレーキングで一生懸命がんばらなければなりませんでした。次戦以降、この部分に対して、もっと取り組む必要があります」

―レース中、ピットから見ていて感じたことを教えてください。

「マルクは、スタートがあまりよくありませんでしたが、そこからしっかり持ち直してくれました。レース全体を通してトップグループで戦えたし、自信を持って走っていたと思います。その点では、とてもよかったですね。最終ラップは2位でフィニッシュすることを心から願っていました。それは果たせませんでしたが、3位でもよかったと思います。また、ダニはペースもまずまずだったし、レースウイークを通して調子を維持していたマーベリックの前でゴールできたことはよかったと思います」

―今大会、なにかおもしろいインサイドストーリーはありましたか?

「4日間のレースウイーク中、我々のオフィスに子猫がいました。広報担当のフェデリカが食べ物を与えていたのですが、その子猫はレースウイーク中、ずっと我々のマスコットでした」

開幕戦カタールGPは、マルケスが予選2番手、決勝3位。ペドロサは、予選7番手、決勝5位という結果でした。共通ECUの実施とミシュランタイヤでの初レース。2年ぶりの開幕戦表彰台の獲得となったマルケスは、昨年優勝争いを繰り広げたアルゼンチンGPと3連覇中のアメリカズGPでの、2連勝に挑みます。また、昨年アルゼンチンGPとアメリカズGPを欠場しているペドロサは、初のアルゼンチンと2年ぶりの米国での戦いに闘志満々。ライダー、コンストラクター、チームの3冠奪還を目指すRepsol Honda Teamのこれからの巻き返しに、大きな期待が寄せられています。

Podium finish for Marquez in Qatar, Pedrosa fifth Podium finish for Marquez in Qatar, Pedrosa fifth Podium finish for Marquez in Qatar, Pedrosa fifth