Honda Riders Close Up 〜ワークスマシンを駆って、世界に挑むライダー〜

MotoGP ティト・ラバト Estrella Galicia 0,0 Marc VDS

MotoGP ティト・ラバト Estrella Galicia 0,0 Marc VDS
Profile
生年月日
1989/05/25
出身地
スペイン
身長・体重
178cm・63kg
チーム(マシン)
Estrella Galicia 0,0 Marc VDS(RC213V)
2015年の成績
Moto2 総合3位
Vol.1

2016年シーズン、MotoGPクラスにルーキーとして戦う選手はティト・ラバトのみです。ラバトは14年にMoto2クラスでチャンピオンを獲得したあと、15年も同クラスに残留。負傷などの影響もあってタイトル防衛こそは叶いませんでしたが、18戦中3度の優勝を含む10度の表彰台登壇を果たし、年間ランキングを3位としました。

 

「外から見ているよりも、実は結構大変でした」

 

ラバトは昨シーズンの戦いをそのように振り返ります。

 

「序盤はマシンにうまく乗れなくてフィーリングもよくありませんでした。序盤3戦を終え、スペインに戻ってきてから行ったテストで方向性がみつかり、そこから先はうまく運ぶようになりました。ほぼ毎戦でフロントローを取れたし、表彰台にも上がれました。でも、ドイツGPでケガをしてしまいました。昨年は必ずしもが完ぺきにまとまっていたわけではなかったけど、常に100%の力で走るようにいつもがんばっていました」

2005年の最終戦バレンシアGPで125ccクラスにデビューし、11年からMoto2クラスを戦ってきたラバトは、中小排気量時代を通じてたくさんの経験を積んできました。なかでも大切なことは、マシンにスムーズに乗るためにしっかりとセットアップを見い出すことだと述べています。

 

「大切なのはできるだけスムーズにマシンに乗るということです。レースをたくさん走ってきて感じるのは、セットアップがしっかりしていないと始まらないということ。そして、そのマシンにスムーズに乗ってグリップをしっかりと引き出す。でもMotoGPはまた話が別です。なにもかもが違いますから。同じコースを走っていたとしても、Moto2とMotoGPでは全く別のサーキットを走るようなものです」

 

いうまでもなくMotoGPクラスでライダーに要求される水準は、小排気量や中排気量クラスよりも遙かに高いものになります。その高い水準に適応するために、ラバトはシーズン前から入念なトレーニングを続けてきました。

 

「今まではCBR600RRでトレーニングをしていたけど、今はCBR1000RRでやっています。また、フィジカルを鍛えるために月曜日から金曜日まで、毎日2時間のトレーニングをしています。ジムは昨年よりも積極的に取り組んでいます。これから学んでいくこともたくさんありますが、その準備として肉体作りに励んでいます。自分ではだいぶ強くなってきたと思います。昨年から4kgくらいは筋肉量が増えました。肉体面では、MotoGPへの準備はできています」

 

しかし、十分なフィジカルトレーニングを積んで準備を進めても、プレシーズンテストでは思うようにマシンを操ることができないという現実に直面しました。その困難を乗り越えるためには、ひたすらマシンに乗り込むことだと、ラバトは考えています。

 

「パワーが大きいし、なにもかもが自分にとって新しく、順応しなければいけないことだらけです。マレーシアテストではまずブレーキングに取り組み、フィリップアイランドでは、そこがだいぶよくなってきました。少しずつ速く走れるようになってきたけど、ここカタールのテストのときは苦労しました。フロントのフィーリングが全然よくありませんでした。解決を目指していろいろやっていますが。自信を取り戻すためには、ひたすら走り込むしかないと思っています。重要なのは、今苦労しているところからスタートしてミスをどんどん減らし、ベースをよくしていくということです。そこを解決できれば、速く走れるようになると思います」

 

開幕戦は最後まで走りきり、15位でフィニッシュ。MotoGPの初レースで1ポイントを獲得しました。ルーキーシーズンの目標は、まずは一歩ずつ前に進むことだと考えるラバトにとって、開幕戦のリザルトは間違いなく、着実な歩みだっと言えます。

 

「今年の目標は着実に前進することなんだ。開幕前は厳しい一年になると思っていたけど、プレシーズンテストが終わって、少し違う見方をするようになりました。序盤3戦をもしもトップ10で終えることができれば、上々です。それが今の目標。その後のことは、序盤3戦を終えてから、目標設定をもう一度見直すことにします」