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Vol.144

ペドロサがポール・トゥ・フィニッシュで今季2勝目。マルケスは転倒リタイア

3週連続開催の3戦目となった第17戦マレーシアGPで、Repsol Honda Teamのダニ・ペドロサ選手が圧倒的な速さで今季2勝目を飾りました。ペドロサ選手は2012年と13年にも優勝を飾っており、セパン・サーキットは得意中の得意のコースです。今年のレースでも、土曜日の予選で過去のサーキット最速ラップタイムを大幅に塗り替えてポールポジション(PP)を獲得。日曜日の決勝レースでも、その速さを存分に発揮して総レース時間を更新し、第15戦日本GPに続く今季2勝目を達成しました。チームメートのマルク・マルケス選手は、予選でペドロサ選手に次ぐ2番グリッドを獲得し、決勝でも序盤の周回から力強い走りで表彰台圏内を争っていましたが、7周目の14コーナーでライバル選手と接触し、転倒リタイアを余儀なくされました。レースリザルトでは明暗が分かれる形になってしまった今大会で、Repsol Honda Teamは選手とスタッフ全員がそれぞれの持てる力を最大限に発揮し、最高の結果を獲得するために最後まで全力で戦い抜きました。今回のレースウイークの一部始終を、HRCチーム代表のリビオ・スッポが語ります。

―マレーシアGPで想定していたレース戦略について教えてください。

「ダニとマルクは、プラクティスから力強い走りを披露していました。一方で、ロレンソ選手も非常に速く、調子がよさそうでした。従って、当初のプランは序盤から全力で攻めよう、というものだったのですが、タイヤに大きな負荷をかけすぎず、レース終盤に向けてある程度の余力を残しておくことにも注意を払っていました。PPからスタートしたダニは、レースが始まると一度も前を譲らずにすばらしい速さをみせつけて最後までレースをリードし、圧倒的な優勝劇を披露してくれました。一方、マルクはレース序盤にロッシ選手とのアクシデントにより、残念ながらその場でリタイアとなってしまいました」

―今回の収穫と反省点を教えてください。

「収穫はもちろん、ダニが力強い走りで優勝してくれたことです。セパン・サーキットは選手たちにとって過酷なコースですが、そこでダニはすばらしい走りを披露してくれました。昨年からシーズン序盤にかけて課題だった彼の右腕は、もはやなにも問題ではないことが、これでだれの目にも明らかになったと言えるでしょう。残念だったことは、言うまでもありません。マルクの身に起こったことです」

―ピットウオールから、今回はどんな気持ちでレースを見ていましたか。

「ダニとマルクがうまくスタートを決めてくれたのは、とてもうれしく思っていました。今シーズンは、なかなかここが決まりませんでしたからね。ダニは、終始レースを完ぺきにコントロールしてくれたのですが、実は我々はもう一つの理由でとても忙しくなってしまいました。アクシデントの発生後に私はレースディレクションに赴き、マルクとロッシ選手の間で発生した出来事の裁定について尋ねました。しかし、レース終了まで彼らは発言しようとしなかったのです。その後は、選手たちに対してレースディレクションやFIMからの聞き取り調査などがあり、きわめて慌ただしくなりました。今後は、このようなことが二度と起こってほしくないと心から願っています」

―公式コメントなどに入れなかったインサイドストーリーがあれば教えてください。

「今回の3連戦は、どの陣営にとっても非常に厳しい3週間でした。今回のマレーシアGPでは、レース前の火曜日に時間ができたので、マルクや仲間たち数名と、クアラルンプール市街へ散策に出かけました。ビル全体が電気街のようなショッピングゾーンや、多彩な商品がひしめくチャイナタウンにも出かけました。そこでマルクが、彼の関連商品の偽物を発見したのです。店員さんはマルクに『100%間違いナシの本物ですよ!』と言って、売りつけようとしていました。さて、次戦はいよいよ2015年の最終戦バレンシアGPです。我々はこの長いシーズンの締めくくりとして、選手とチームスタッフ全員が総力を結集し、レースウイークに臨みます。最高の結果を得るために全力で戦う我々に、皆さまの応援という力添えを、是非ともよろしくお願いいたします」